表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第五章 女帝の塔は知って知られて成長します!
96/486

94:いよいよ新年祭です!

年越しに際し、全員一律で年齢を一歳上げました。ご了承下さい。



■シャルロット 16歳

■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主



 塔主となって九ヶ月。私たちは初めてバベルでの年越しを迎えました。


 バベリオの街は年末年始とお祭りですが、私たちが街に出ることはなく、同盟の皆で集まってお食事をするに留めました。



 そして新年初日。この日はバベル内全ての塔が強制的に休塔日となります。


 ある意味で塔主として年で一番のお仕事、神様からも参加を義務付けられるパレードが行われます。


 お祭りモードのバベリオの街中を魔導車に乗ってゆっくり周るというもので、私たちは大きめの魔導車の上に立つようにして進むのだそうです。

 バベリオの皆さんに対する顔見せということですね。


 一つの車に一塔の塔主。乗せられればその眷属も、といった形。

 つまり三百台以上の魔導車が列を為すというわけですか……いえさすがに百台ずつを三~四回転といった感じでしょうか。


 なんにせよ街中に注目されてしまうので恥ずかしいですし、それでも【女帝】として臨まなければいけませんし、私としてはかなり億劫な行事です。



 それと塔主が直接(・・)一堂に会するというのも問題です。


 塔主総会であれば画面越しですが、【傲慢の塔】同盟のように顔を合わせたくない人たちもいるわけですし、ヴォルドックさんに仕掛けられた時のように直接触れることで発動する【限定スキル】などもあるわけで。


 潜在的な敵ばかりの中に生身で飛び込まなくてはいけないというこの状況は危険なのですよ。

 まぁあの一件で危険だと分かった、という方が正しいですけれど。



「むしろそうした事件が起こることを期待して毎年パレードしてるんじゃありませんの? 神様のご趣味で」



 と、アデルさんのご意見。何かが発展して塔主戦争(バトル)がおきないか、ってことですか。

 遊び心のある神様だとは思いますが嫌がらせめいたことはちょっと……。



 ともかく私たちは朝一から【世沸者の塔】に集まりまして、パレードの開始前にバベルの一階に出るといった流れになります。


 私も随分早起きしてエメリーさんにドレスアップと髪結いを手伝ってもらいました。完全女帝モード。

 アデルさんも同じようなドレスですね。真っ赤ないかにも公爵令嬢といった姿。

 他のお三方はそれほどでもありません。フゥさんなんか灰色のローブにフード被ってますし。



 皆さん一緒に魔導車に乗る眷属を連れて来ています。私は当然エメリーさんと二人。


 アデルさんはジータさんと……ジータさんの肩に炎の鳥が止まっています。燕ほどの大きさ。



「これが噂のフェニックスですか。こんなに小さいんですね」


「大きさを変えられますのよ。本来ですとかなり大きいのですがね」



 へぇ、それは便利ですね。これで神聖魔法と火魔法まで使えるそうですよ。さすがSランク固有魔物です。


 ドロシーさんは土精霊(ノーミン)と、最近ずっと一緒にいるスフィンクスを連れて来ました。



「画面外では初めましてスフィーさん」


「初めましてシャルロット様。ドロシー様がお世話になっております」



 ラフなドロシーさんに対してかなりお堅い感じの女性です。

 上半身はヴァルキリーのような騎士っぽさがあり、背中には白い翼、下半身は完全に獅子です。身長もジータさんくらいありますね。武器は長めのメイスのようです。


 最近はドロシーさんの話し相手と言いますか、魔物に関するアドバイザーみたいな役割になっていると聞きます。


 フゥさんはゼンガーさんだけですね。


 ノノアさんが抱えているのは……小さな六枚薄羽のドラゴン……これは。



「フェアリードラゴン!?」


「あ、いえ、これ擬態です。本当はペコです」



 ああ、ミミックスライムですか。こんな擬態もできるんですね……神造従魔(アニマ)だからですかね。


 今回はバベリオの皆さんに注目してもらって集客アップを図るのが目的とのことで、ペコはフェアリードラゴンの姿でいくらしいです。

 なるほど、考えてますねー。私も集客アップとか考えないとダメでしょうか。



 とそんなことを話しているうちに集まり始めたようです。

 私は皆さんに念入りに【付与魔法】を掛けまして(願掛けのようなものです)いざ転移門をくぐりバベルへと。





 バベル一階の円形広場。そこには続々と塔主が集まり始めていました。

 やはり若い塔主や低ランクの塔主が多いです。


 パレードはランキング順に出発らしいので出番は相当後のはずですが、やはり見ておきたい気持ちがあるのでしょう。高ランクの塔主やその眷属を。



 私たちは【世沸者の塔】の転移門のそばにいましたが、固まっていたのでかなり目立つのでしょう。視線がバンバン飛んできます。

 特にジータさんとか見たいでしょうしね。歴史書にある英雄ですから。



『あれが【女帝】か……こう見ると小さいんだな……』

『本当に腕が四本あるんだな……画面じゃよく分からなかったけど……』



 あ、あれ? ジータさんより私とエメリーさんが注目されてませんか? おかしいですね。

 いえ、それでも聞かぬふりで【女帝】っぽく振る舞っておきませんと。気にしたら負けです。


 ん? 妙にザワザワしてきましたね。ああ、高ランクの塔主も集まり始めましたか。




■アデル・ロージット 18歳

■第500期 Cランク【赤の塔】塔主



 まぁ本当に錚々たる顔ぶれですこと。見ているだけで飽きませんわね。

 ここにいる全員が敵同士なわけですから、牽制し合い、探り合い、なんとも言えない雰囲気ですわ。

 中には有名人見たさのミーハー塔主もいるようですけれども。



 わたくし達と同じように早めから集まっている中では……


 Cランク【強欲の塔】のマグドリオ。神定英雄(サンクリオ)の姿は見えませんがこれ見よがしに【強欲の悪魔マモン】を連れていますわね。確実にSランクの固有魔物。

 情報の流布は悪手ですが大商人ならではの考え方ですわね。武器は見せることに意味があると。


 同じ七大罪(ヴァイス)ではBランク【色欲の塔】のドナテアもおります。ケバいですわね。

 こちらは神定英雄(サンクリオ)を連れていますわね。悪名高き【異界の魔女】プリエルノーラ。



 神定英雄(サンクリオ)は塔主百人に一人の割合と言われておりますが、さすがに高ランクの塔には結構おりますわね。


 まぁ戦力が段違いですから低ランク帯ではやられにくく、高ランク帯では牽制になりやすいと。

 結果、神定英雄(サンクリオ)持ちの塔主は生き残りやすくなっているということでしょう。

 もしくは以前にジータを賜った塔主のように、先んじて狩られるということも考えられますが。



 ああ、そんなことを考えていたら別の神定英雄(サンクリオ)が近づいてきますわね。ご挨拶ですか。



「【竜狩り】ジグルド・バルッジオだっけか?」


「ははっ! 【英雄】ジータに名前を憶えてもらってるとは感激だ」



 Aランク【火の塔】ウィリアム・エバートンの神定英雄(サンクリオ)ですわね。

 塔主は近くにいないんですかね。【竜狩り】が先走って来たという感じでしょうか。


 この方は生前Sランク冒険者ですわね。どことなくジータと雰囲気は似ています。間違いなく強者でしょう。

 ちなみに塔主の方は元Bランク冒険者の斥候らしいですわ。



「是非ともあんたと手合わせしたかったんだ。今度うちと塔主戦争(バトル)してくんねえか」


「はんっ、Aランクの塔がなに言ってやがる。うちが上がるまで待ってろよ」


「何年も待てねえよ。じゃあ『訓練の間』はどうだ? な?」



 なんなんでしょうねこの戦闘狂は。同盟でもないのに手の内見せるわけないでしょうが。

 その後適当に追い返すまで少々時間がかかりました。ジータも変なのからモテますわねえ。


 と、そこへ新たなお客様ですわね。



「アデル様おひさしぶりです。ご活躍のほどはかねがね」


「まあ、シンフォニア伯、ご無沙汰しておりますわ。こちらのほうこそ――」



 Aランク【節制の塔】アズーリオ・シンフォニア。我がメルセドウ王国の伯爵位ですわ。

 それに取り巻き貴族が他に三名。全員『中立派』の関係者。

 ちなみにロージット公爵家は『王国派』です。彼らが『貴族派』でないだけマシという程度の扱いですわね。


 アズーリオ様の神賜(ギフト)神授宝具(アーティファクト)の杖だったはず。

 連れている眷属は……よく分かりませんわね。魔法使いっぽいおそらく固有魔物。



「しかし驚きました。早くもCランクというのもそうですがあの【風】の一派を斃されるとは。【白雷獣】ディンバー王は手強かったでしょうに」


「あのヴォルドックと十年も一緒だったのですから腕も鈍っていたのでしょう。同盟も練習相手に不足そうでしたし」


「ははっ、これは手厳しい」



 当たり障りない会話をしつつ腹の探り合い。まぁなんとも貴族らしいですわ。

 早いところ適当に終わらせたいですわね。


 ……ああ、ちょうどいい。お見えになりましたわ。



「シンフォニア伯、わたくしこれで失礼しますわ。レイチェル様にご挨拶したいもので」


「っ! ……そうですか。ではまた何かの機会に」


「ええ、ごきげんよう」



 さすがにレイチェル様のお名前を前にしては引き下がるしかありませんわよね。勝手にお名前を使ってしまって申し訳ないですが。


 どのみち皆さんでご挨拶する予定でしたからね。

 レイチェル様はパレードの一番手ですから早めにご挨拶しなければなりません。

 さあ皆さん、さっさと行きますわよ。




バベリオ住民への顔見せでもありますが塔主同士の顔見せでもありますね。


面白そうだなと思ったら下の方にある【評価】や【ブックマークに追加】を是非とも宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こんな小説も書いてます。
カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~
エメリーさんも出てますよ!
ハーレム・チート・奴隷物が大丈夫な方はぜひ!
ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~
村娘に転生してスローライフを夢見ていたのに就いた職は【毒殺屋】!?
暗殺者とか嫌なんで、こうなりゃもう冒険者になります!
シリアスなしのギャグ作品です
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ