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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十四章 女帝の塔は節制同盟と戦います!
469/486

448:お互いの攻撃陣が出揃いました!



■シャルロット 17歳

■第500期 Bランク【女帝の塔】塔主



「【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】に勝利を!」


「「「「「【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】に勝利を!」」」」」



 いよいよ塔主戦争(バトル)が始まりました。

 私は【空城】同盟戦と同じように並ぶ皆さんと声を掛け合い、画面を見つめます。


 【赤の塔】から【節制の塔】へと転移門をくぐって向かうのは最初に決められた攻撃陣。

 その陣容はこのようなものです。



=====


〔本陣〕

 海姫ハルフゥ(★S)、氷獣ファーブニル(ペロ)(★S)

 フェンリル(フィルフ)(A)、フェンリル(シルバ)(A)+フェンリル(A)5


〔地上前衛部隊〕

 ジータ(神)

 黄神騎士ランスロット(★S)+ロイヤルナイト(A)5+ジェネラルナイト(B)20+ブラッディナイト(B)20

 ナイトメアクイーン(バートリ)(★S)+ヴァンパイア(A)20+ヨグ=ソトース(ヨギィ)(★S)


〔地上遊撃部隊〕

 影の女王スカアハ(★S)+ロイヤルジェスター(A)10+クラウンスカウト(C)30


〔地上後衛部隊〕

 ゼンガー(神)

 六道魔導オルフェウス(★S)+ウィッチクイーン(A)5+ハイウィッチ(B)30


〔飛行前衛部隊〕

 妖精女王(ターニア)(★S)

 フェニックス(クルックー)(★S)+ヘルキマイラ(★S)+マンティコアフレイム(★A)+マンティコア(A)5


〔飛行後衛部隊〕

 忍耐の天使ウリエル(★S)+主天使(ドミニオン)(A)5+力天使(パワー)(B)20


=====



 計189体と2人。スカアハさんはロイヤルジェスターの影の中、クルックーは最初から超小型となりマンティコアフレイムの鬣に隠れています。

 見た目は187体と2人に見えるでしょう。出来れば気付かれないまま進みたいところです。


 9体分の余地を残したのは色々と理由があるそうなのですが、大きく二つ挙げるとすれば「配置替えをしやすくするため」と「敵に警戒させるため」だそうです。


 配置替えというのは防衛陣から攻撃陣への援軍を指しますが、それだけでなく防衛陣の中での階層移動も指します。

 神様から階層移動については説明がありましたが、一体ずつ交差するような移動ではなくある程度まとまって一気に移動が出来るように予め増援の余地を作っておくと。


 つまり攻撃陣だけでなく【赤の塔】の各階層も二百体限界まで配置はしていないのです。

 それによって局所戦力+少数の配下だけでも先に動けるようにしているとのこと。

 ここら辺はアデルさんだけでなくドロシーさんやフゥさんも一緒に考えたそうです。私は「へぇ~」とただ聞くだけですが。



 エメリーさんを防衛陣に置いている理由もほとんど同じです。

 敵攻撃陣を見ての様子ですが、エメリーさんには奇襲をかけてもらうかもしれませんし、第二陣として【節制の塔】に向かってもらうかもしれません。

 仕事は多く、移動も臨機応変なものになる。奇襲もどの階層で仕掛けるか分かりません。

 だからどこも二百体限界まで配置していないのですよね。エメリーさんを動かすために。



「ハルフゥがおらんかったらそんな手も打てんけどな。総指揮官を教育しといてくれて助かったわ。【空城】同盟戦もいい実戦経験になったし」


「【節制】側から見てもエメリーが防衛に控えているというのは不気味じゃろう。攻撃も防衛も常に警戒するはめになる。心理的陽動作戦じゃな」


「当然攻撃陣にいるものと思っていらしたでしょうしね。それも攻撃陣の総指揮官だと。まぁ【空城】同盟戦を覗いていればハルフゥの存在も分かっているでしょうが、エメリーさんがいるなら総指揮官はエメリーさんだと考えるのが普通ですし」



 という三軍師様のご意見。

 つまりはエメリーさんの存在を敵の画面に入れないことでプレッシャーになっているということですね。

 そうなると仕掛けるタイミングや増援のタイミングが難しくなりそうですが……そこら辺はお任せです。


 そんなわけで攻撃陣の総指揮官はハルフゥさん。

 中隊長はスカアハさん、ジータさん、ゼンガーさん、ウリエルさん、ターニアさんとなります。

 それぞれ抱えている小隊は少ないですし、十分にまとまると思っています。

 少なくとも【空城】同盟戦の時よりはだいぶマシなのではないでしょうか。


 個人的にはバートリさんがジータさんの言うことを聞くかと、ヨギィを上手く使えるのかというのが心配でなりません。

 昨日エメリーさんから個人指導を受けていましたがね。主にヨギィとの連携について。

 それでも一人で突っ走ってしまいそうなのが怖いところです。私も眷属伝達はこまめに行いましょう。



 私たちの攻撃陣と入れ替わりで敵攻撃陣が【赤の塔】に入ってきました。

 警戒はしていましたが、どうやら一階層で戦い始めることはないようです。一安心ですね。

 敵の陣容を見てみますと……。



=====


 黒い亜人(?)+ロイヤルジェスター(A)30

 蒼騎士(おそらく★A)+ロイヤルナイト(A)30+ロイヤルビショップ(A)30

 ライカンスロープの将軍(?)+ライカンスロープ(B)20

 例の亜人(?)+デビルプリースト(B)20+デビルキャスター(B)20

 トゲトゲしたマンティコア(?)+マンティコア(A)10

 座天使(スーロン)(A)20、ルサールカ(A)10、天貴精(マルト)(A)5


=====



 Aが135、Bが60、不明が5。……計二百ぴったりですか。普通に編成してきましたね。

 位置的に指揮官はライカンスロープの将軍のようです。おそらくSランクでしょう。

 あと蒼騎士はうちのサグラモールさんとそっくりなのでおそらくAランク固有魔物だと思います。【蒼刃】の魔物ですかね。


 それと……やっぱり例の亜人が出て来ましたか。

 パレードで見た【節制】の固有魔物です。

 周知であるはずの【節制の天使ミカエル】を連れずに、わざわざアズーリオさんが連れていた正体不明の魔物。


 これについてはレイチェルさんから事前に教えて頂いていました。「あの魔物に注意なさい」という忠告と共に。

 それはアデルさんが【女帝の塔】に来た時にお話ししまして、【輝翼の塔】に皆さんで集まった時にもアデルさんから説明して頂きました。

 ですので私たち全員があの魔物を危険と見ているということです。



 レイチェルさんは毎年パレードの際、セラさんの<人物鑑定>で出来るだけの情報を集めていると言います。

 当然、アズーリオさんが連れている魔物についても調べようとしたそうなのですが、セラさんでも<鑑定>は出来なかったとのこと。

 ついでに言えば隣にいるアズーリオさんも鑑定不能だったそうです。


 つまりあの魔物は「自分及び味方に対してスキル無効」という能力を持っているに違いないと。

 自信満々に連れている様子を見るに限定スキルに対しても同様だろうと。

 【赤の塔】で使われるであろう限定スキルに対してカウンターの意味で、攻撃陣として配置されるはずだとレイチェルさんは仰いました。それを皆さんで共有しておいたのです。



 というわけで最初に打つべき手は、私たちの攻撃陣の最後尾にいたウリエルさん。

 彼女には出来るだけ敵攻撃陣を<人物鑑定>してもらってから転移門をくぐるよう、ドロシーさんから指示が出ています。

 互いに侵入しあう最初のこの時が一番のチャンスなんですよね。ですのでここを利用して探ろうと。



「――了解。助かったわ。そしたら攻撃陣を頼むで」


「どうじゃった、ドロシー?」


「例の亜人が転移門から出てきた瞬間に鑑定出来なくなったらしい。やっぱ常に攻撃陣全体に対してスキル無効になってるみたいやな」


「魔法ですかね? バフ魔法の類でしたら効果時間で切れるでしょうから、しばらくは観察してみましょうか」



 切れたところでウリエルさんはもう【節制の塔】ですから鑑定は出来ないですけどね。

 でも魔法をかけ直すかどうかの確認は必要だと思います。

 このままだと<赤き雨の地>も全く使えませんし、仮に限定スキルを防いでもかけ直していればそれだけ魔力を消費していると分かりますからね。



「ただヤツがくぐる前に侵入してきた固有魔物については分かったわ。転移門の内と外じゃ効果は持続しないってことやな」


「となると魔物に対するバフとも違うのですね。単純に範囲魔法かもしれませんわね」


「そうなると余計に魔力を消費しているはずです。永続効果の範囲魔法などありえません」


「固有魔物の特殊能力や固有スキルという可能性もある。そうなれば魔力も消費せんじゃろ」


「や、やっぱりSランク固有魔物なんですかね……全然ありえますけど……」


「とにかく分かったヤツを言うで。まず――」



 ウリエルさんの鑑定で分かったのは以下の通り。


 ・黒い亜人=シャドウイーター(おそらく★A)。斥候部隊指揮官。

 ・蒼騎士=蒼騎士ガングラン(おそらく★A)。前衛部隊指揮官。

 ・将軍=百獣騎バルバロス(おそらく★S)。攻撃陣総指揮官。


 バルバロスは統率かバフのようなスキルも持っているようです。

 それに加え例の亜人とトゲトゲマンティコアがいると。

 そうなると……Sが3、Aが137、Bが60と見るべきでしょうか。



「想定していたよりも弱めと言えるのですかね」


「ミカエルもおらんしSランクの普通の魔物もおらん。確かにまとまりは良さそうやけどな。前衛・後衛・物理・魔法・回復としっかり分かれとるし」


「わしらの攻撃陣のスケールダウンバージョンと言ってもよいが……そうなると余計に例の亜人が厄介じゃのう」


「敵は限定スキルに対処する術を持っていて、こちらは持っていないということですね」


「せ、【節制の塔】で絶対に使ってきますからね……」



 ですよね。アズーリオさんもそこに絶対の自信があるからこそこうした布陣を組んだのでしょうし。

 【節制】同盟は限定スキルがこの塔主戦争(バトル)の鍵だと見ている。それはこの攻撃陣を見ても明らかです。

 【赤の塔】で使われるであろう限定スキルを封じ、【節制の塔】では限定スキルで守るということでしょう。


 そう考えると攻撃陣を普通に進ませていいものか悩みますね。

 出来れば階層毎にちゃんと斥候を行ってから進ませたいところです。

 クルックーを超小型のまま先行させるか、スカアハさんを<影潜り>のまま先行させるか、というのが無難でしょうか。



「例の亜人については強襲してでも先に斃したいところですけれど、まずは見極めですわね。対限定スキルに特化した能力なのか、それとももっと厄介な能力を秘めているのか分かりませんから」


「それはそうやな」


「タイミングを見てエメリーさんかアタランテを動かすことも考慮しておきましょう。攻撃陣との兼ね合いもありますし」



 アデルさんの防衛策との兼ね合いもあるでしょうしね。

 そこら辺も合わせて、いつ仕掛けるのか検討するのでしょう。防衛に関してはアデルさんにお任せです。


 では私は攻撃陣に集中して……と思った時、ハルフゥさんから眷属伝達が入ったのです。



『シャルロット様、ヨギィの正体を先に見せてもよろしいでしょうか』



 えっ、どういうことです!?






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