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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十三章 女帝の塔は準備を進めます!
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439:同盟戦力をまとめ始めます!



■フッツィル・ゲウ・ラ・キュリオス 52歳 ハイエルフ

■第500期 Bランク【輝翼の塔】塔主



 一日の休塔日を経て、わしの【輝翼の塔】はBランクとしてのスタートをきった。

 【忍耐の塔】【六花の塔】も今日からじゃな。

 ただ【世沸者の塔】は改装にもう一日掛かるらしい。当然とも言える。



 今回は全体的に見てもランクアップした塔が少ないこともあり、わしらの塔には二の鐘の直後から大量の侵入者がなだれ込んで来た。

 とは言えそれで一気に攻略されるわけでもない。

 特にBランク侵入者など慎重な者が多いと聞いておる。先達たるシャルとアデルからのう。


 仮にAランクに近い実力を持つ者が紛れていても三・四階層を突破するには時間的余裕があるじゃろうし、五・六階層まで到達し往復転移魔法陣を使えるようになっても『樹氷雪原』を突破するのはいつになるのかという話じゃ。

 Cランクの時点で往復転移魔法陣を使えるようになったパーティーもいるが、数月経っても突破の気配は感じられぬ。


 Bランクとなれば突破出来る者もいるじゃろうが……簡単にはいくまい。

 突破出来たところで七・八・九階層は攻略不可能じゃしな。Sランクパーティーとかならば分からぬが、というレベルじゃ。


 そういう自信があったので、わしはランクアップ直後の大改装は九階層までの拡張作業と魔物を少々増やした程度で済ませておる。

 大改装とも言えぬような単純なものじゃな。それで十分と思っておった。



 【忍耐】も【六花】も同じようなものじゃ。

 わしほどとは言わぬが、とりあえず拡張して新しいランクの侵入者の受け入れ準備が出来ればそれで十分と、今日からオープンした形じゃな。

 新階層に着手したり、侵入者のレベルに合わせて構成を弄るというのは塔主戦争(バトル)が終わって落ち着いたら行うことになるじゃろう。



 というわけで、わしは大改装もそこそこにアデルとの打ち合わせと自塔の戦力把握を進めておった。


 アデルから話は聞いたが、同盟戦力の部隊化とそれに伴う各塔の戦力把握というのはわしも賛成じゃ。

 それをわしの元に集め、わし・アデル・ドロシーの三名で集計しておくというのも同意した。

 聞くからに大変であるとは分かるが、どう見てもわしが適任じゃからのう。


 塔主各自で戦力を書き込むようなフォーマットをアデルが作り、それを手紙で送ってある。

 皆はそれに記入し、わしに送り付けるというわけじゃな。

 六塔分の手紙が集まったら三人で集計するという形じゃ。



 わしは昨日の時点で【輝翼の塔】の戦力をまとめていたわけじゃが……改めて見ると随分と脆いな、という印象を受けた。

 普通に塔運営をしたり塔主戦争(バトル)をする分には何の問題もなかったのじゃが、同盟戦(ストルグ)のために部隊化するとなるとかなり意味合いが違ってくる。


 大前提として指揮官……小隊長が必要じゃ。しかも中隊長や他の小隊長と連携のとれるような指揮官でなければならぬ。

 となるとわしの塔は少ないんじゃよな。

 鳥の群れはいくらでもあるが、Aランクのガルーダやフレスベルグにしても指揮官かと言われると首を傾げる。

 鳥は統率できても中隊の中で連携をさせようと思ったら指揮官として不足に思えるのじゃ。


 つまり現状でわしが書き起こせる部隊は眷属の数と同じということになる。

 それにしてもゼンガー爺やフェンリル(フィルフ)は自前の配下を持っておるわけではないから部隊として書けんしのう。

 あくまで『同盟戦(ストルグ)でも使える指揮能力を持った単体戦力』ということで別枠に記載しておいた。……ネクロトレントも一応載せておくか。

 ノノアのヨグ=ソトース(ヨギィ)やシルビアの氷獣ファーブニル(ペロ)も同じようなもんじゃろう。まぁあれらの場合、指揮も出来ぬがのう。



 ただ塔主戦争(バトル)の直前には魔物を召喚するつもりじゃし、そうなれば【陰魔シュルガット】(★S)やエンシェントヴァルキリー(S)も部隊化させて載せるかもしれぬ。

 TPの具合を見てどれほど召喚できるかによるが、増えるのは間違いない。

 とりあえず現状の同盟戦力を出しておかんとどうにもならんからのう。まとめられるものはまとめておこうと思っておる。


 集計結果如何によっては召喚する魔物を変更するということもありえるかもしれぬ。わしに限った話ではないがな。

 だからこそ現状戦力の把握はしておきたいのじゃ。

 喫緊に迫った【節制】同盟戦のためにも。



「とは言うものの、これは思ったよりも膨大ちゅうかゴチャゴチャちゅうか……こうして見ると【空城】同盟戦での配置決めでどれだけ苦労したのかよく分かるな。ホンマよく勝てたもんやで」


「大改装も絡んでおりますのに皆さん提出が早くて助かりますわ。こちらで整理するだけで時間が掛かりそうですもの」


「とりあえずはそれぞれの部隊でまとめておいて、暫定の配置決めはまた後日じゃな。まとめるだけでもある程度のイメージはつきそうじゃし」



 というわけで皆から集められた戦力の一覧を、まずはまとめて書き出してみた。

 詳細となると膨大になるのでとりあえずは主だった指揮官だけを並べてみる。


=====


〔本陣〕

【女】海姫ハルフゥ(★S)


〔地上前衛部隊〕

【女】ナイトメアクイーン(バートリ)(★S)、蒼騎士サグラモール(★A)

【赤】ジータ(神)、黄神騎士ランスロット(★S)、バーンレックス(チロチロ)(A)

【忍】クリスタルゴーレム(キラリン)(A)、スクイッシュドラゴン(★A)

【輝】ネクロトレント(★A)

【世】ヨグ=ソトース(ヨギィ)(★S)


〔地上遊撃部隊〕

【女】エメリー(神)、影の女王スカアハ(★S)

【赤】マナガルム(★S)

【輝】フェンリル(フィルフ)(A)

【世】ミミックスライム(ペコ)(神C)

【六】フェンリル(シルバ)(神A)、氷獣ファーブニル(ペロ)(★S)


〔地上後衛部隊〕

【輝】ゼンガー(神)

【世】エンジェルスライム(パルク)(★A)、リッチ(ディーゴ)(A)

【六】ジャックフロスト(ジャック)(C)、フロージアクイーン(A)


〔飛行前衛部隊〕

【女】妖精女王(ターニア)(★S)、ウィッチクイーン(ベアトリクス)(A)

【赤】フェニックス(クルックー)(★S)

【忍】ウィッチクイーン(フワリン)(A)、竜人将パルテア(★S)、ヘルキマイラ(★S)

【輝】虹竜アイダウェド(ブリング)(★S)、翼人将イカロス(★A)

【六】クロセル(クロウ)(A)、マンティコアフレイム(★A)


〔飛行後衛部隊〕

【女】白翼天使アラエル(★A)

【赤】セイレーン(パタパタ)(★S)、ルサールカ(A)

【忍】忍耐の天使ウリエル(★S)、スフィンクス(スフィー)(A)

【輝】彩鳥シムルグ(エァリス)(★A)


=====


 あくまで各塔主が「この部隊はここに配属だろう」と決めた分類じゃな。

 シャルが目論んでいた形とは多少異なっておるが、細かいところは後から修正すれば良い。今はただ並べるだけじゃ。


 上記に加えてまだ書ききれていない部隊もおる。戦力的・指揮能力的に劣るであるとか、どこにも分類できないとかじゃな。

 例えば【女帝の塔】で言うと、海の魔物、アスラエッジ、Bランクのクイーン種などがこれに当たる。

 デスクリオネ(★A)など能力的にも指揮能力的にも優秀なのじゃが、海以外では使えんからのう。つまりはそういうことじゃ。



 これに加えて塔主戦争(バトル)直前に召喚予定の魔物なども入ってくるじゃろうな。

 先に述べたわしの魔物もそうじゃが、ドロシーは【聖弓姫アタランテ】(★S)を召喚するじゃろうし、そうなれば〔地上後衛部隊〕か〔地上遊撃部隊〕に配属となるじゃろう。



「こうして並べると壮観やけど……バラバラにもほどがあるなぁ。中隊長を決めたところでホンマにまとまるんか、これ」


「小隊単位で置くよりも数段マシですわよ。改めて見ると全体的に質の高い戦力が揃っているという印象ですわね。攻撃に偏重している節はありますが」


「地上後衛部隊など悲惨じゃのう。ほぼ確定しているのはディーゴ部隊のみじゃし、それも防衛に使うようなら攻撃陣はほとんどおらぬ。ランスロットを後衛に回すと前衛部隊の中隊長がジータとなるしのう」


「問題外ですわね。ジータとバートリは小隊長がいいところです。すぐに持ち場を離れて突っ込みますから」


「おい、俺も一応いるんだからな。聞いてんだぞ、全部」



 そこら辺の調整を部隊配置しながら考えなければならぬな。

 今のうちからそういったイメージが出来るというのは大きい。

 こうしてまとめて見なければイメージの共通意識もしにくいからのう。



「攻撃陣の本陣としてハルフゥが確定してるのは大きいな。ちゃんとした本陣を組まなあかんちゅうのが問題やけど、そこを基準に二百体を構成させればいいと考えればだいぶ楽や」


「いっそのこと【六花】の魔物で固めてもいいかもしれぬ。フィルフを一緒に置いても良いが」


「シャルロットさんもペロを本陣で使うことを想定していましたからね。しかしゼンガーさんが攻撃陣であった場合、フィルフはご一緒のほうがよろしいのでは?」


「いつもは足代わりに乗せてるだけじゃからのう。同盟戦(ストルグ)の攻撃陣はハルフゥの足に合わせる形となるじゃろうからそこまで速度を求める必要はないと思っておる。それに乱戦となればどちらにせよゼンガー爺はフィルフから下りるしのう。完全に後方支援に回るわけじゃし」


「その場合はフィルフが本陣に行くか、遊撃になるかっちゅうところか。ゼンガーさんも一緒に本陣に行ければ楽なんやけどな」


「ほっほっほ、凍え死んでしまいますぞ」



 ペロを攻撃陣で使うならばやはりそこら辺が問題になるのう。

 強力な魔物には違いないが周囲の味方にも被害が出る。

 ハルフゥに寒冷耐性があるから使い道はあるが、それもなければ同盟戦(ストルグ)では防衛でしか使えんからのう。


 ただペロを防衛で使うというのは正直アリなんじゃよな。特に今回は代表塔が【赤の塔】なわけじゃし。

 【節制】同盟の攻撃陣は必ず熱対策をしてくるはずじゃ。溶岩階層などがあることも知っておるはずじゃしのう。

 そこにペロを出せば、その周囲は冷気により【六花の塔】と化す。

 予期せぬ地形変化は対策しようと思ってもなかなか難しいじゃろう。有効な手には違いない。



 まぁそういったことも最終会議で決めることになるじゃろうが……ここからどれくらい部隊が増えるのかのう。

 どこも新たな固有魔物を召喚するはずじゃし、それによって部隊はかなり増えることになる。

 今回まとめた一覧も大幅に更新することになるじゃろう。

 それを一日二日で整理し配置するというのは至難の業じゃ。



「……今から好きに召喚させて部隊編成をさせておく、というのはどうかのう。何を召喚しどのような部隊にしたのかは、わしらにしか伝えぬように厳命すればよいのではないか?」


「ふむ……少しでも諜報の危険性を減らしたかったのですが、確かにそうですわね。事前にある程度決めておかねば最終会議でろくに作戦も立てられませんし」


「ウチも賛成。召喚しなくても大体の部隊イメージは出来てるけどな。実際に召喚してみないと分からんこともあるし。ちゅうかはよ召喚したいし」



 欲望に忠実じゃのう。まぁドロシーはずっと我慢しておったから仕方ないのじゃが。

 ならばそのように通達するか。

 おそらくシルビアかノノアの戦力は丸裸となるじゃろうが……肝心のヨギィとペロの能力が不明ならば問題ないじゃろ。





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