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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十三章 女帝の塔は準備を進めます!
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437:【節制】同盟も会議は活発なようです!



■アズーリオ・シンフォニア 42歳

■第487期 Aランク【節制の塔】塔主



 塔主総会では案の定、私の【節制の塔】が6位に後退した。

 前期で【竜鱗】がSランクに上がった時点で分かってはいたことだが、一大決戦を控えた現状では気持ち的に前向きとはならん。

 しかし落ち込んでいる暇などない。今は無理矢理にでも前を向くしかないのだ。


 アデルの同盟は予想通りに四塔がランクアップ。

 しかも【女帝】が20位、【赤】が25位と、三年目とは思えない高順位を叩きだした。


 これもある程度予想できていたことではあるが、それでも尚、驚愕に値する。

 デルトーニの【戦車】が21位なのだぞ? それがこんなにも早く抜かされるとは……まぁ実際【女帝】と【戦車】が戦えばデルトーニは負けるだろうがな。それでも信じたくないという気持ちが強い。


 【女帝】はすでにAランクの実力を有している。【赤】がそこまで強いとは思わんが【戦車】と大差はないだろう。

 まだ依然として私の【節制の塔】との格差はある。

 しかし一年後ならばかなり接近されている可能性もある。それほどヤツらの勢いは衰えることを知らないのだ。



 メルセドウにおける中立派粛清の噂。それのせいで時間に追われているのは確かだが、それがなくてもヤツらの成長速度によって私たちは追われる立場にあるとも言える。

 どちらにせよ時間はない。今のうちに叩かなければいけないのだ。

 塔主としても、中立派貴族としても――。



 同盟戦(ストルグ)の条文は事前に協議し、作成しておいた。

 塔主総会が終わればすぐにそれを出すつもりで。


 狙いとしてはいくつかある。

 第一に考えなければならないのが、なるべく早くに塔主戦争(バトル)を成立させること。

 第二にヤツらを焦らせることで、こちらの優位を築くこと。

 第三にヤツらの強みである局所戦力を削ること。


 他にも考慮すべき部分は沢山ある。

 例えば限定スキルだ。まだその詳細は全く掴めていない。


 新年祭で起きた【狂乱】事件で【女帝】かアデルのどちらかが察知型もしくは防御型の限定スキルを持っているのではないかと予想していたが、それであれば塔内に潜入させている<創作戦車>が未だ無事である理由が分からない。

 【女帝の塔】も【赤の塔】も侵入者の最高到達地点までしか進めていないので単純に距離的な問題で発見されていないだけかもしれないが、それもまた憶測にすぎない。


 【輝翼】の持つ諜報能力は限定スキルではないはずだ。それは確信を持っている。

 それくらいなのだ。ヤツらの限定スキルに関する情報は。

 デルトーニが拾い切れていないだけの可能性もあるが、今のところ限定スキルに関して同盟内で話している様子はない。



 他にも【忍耐】の持つ神授宝具(アーティファクト)であるとか不安要素はあるのだが、すでに判明している情報内でこちらが警戒しなければいけない部分を取り上げれば、条文にすべき狙いは上記三つになる。

 逆に言えば、その三つを活かせれば我々の勝利はほぼ確実となるということだ。



『――そしていざ戦うとなった時には勝てる策を用意する。というアデルの言葉で【女帝】も了承したようです。これで同盟の全員が納得したと』


『何と言いますか……よくそれで納得しましたな。ようはアデルの我が儘を受け入れたということでしょう?』


『同盟の在り方としてはありえませんね。命を預けるには不十分すぎる動機ですから』


『納得している様子を見るに、どの塔主からもアデルへの信頼が見られます。おそらく今までの戦果がアデルの知恵によるところもあるのではないでしょうか』


「なるほど、今まで勝ち続けてきたが故か。それはこちらにとって都合の良い話だ」



 申請を行った直後からデルトーニには諜報させ、会議の流れをそのまま伝えてもらったが、思いの外すんなりと事が運びそうで私としても安堵している。


 やはりアデルに送り続けて正解だったな。

 ヤツの勝ち気な性格を考慮すれば、挑発めいたこちらの仕掛けを無下には出来ないと踏んだのだが、どうやらそれは実ったらしい。


 王国派貴族としての矜持か、単に私を嫌っただけか。いずれにせよアデルは決着させるべきと急いた。

 【女帝】を始め同盟の塔主たちはアデルの意思を尊重した。

「今までもそれで勝ってきている」「今までもアデルに助けられている」そういった考えの元に――。



 結果としてヤツらが焦る事態となっている。

 本来ならば焦るのはこちらで、向こうには余裕があったはずなのに。心理的に逆転しているのだ。

 でなければ私心で同盟を巻き込み、命を賭けさせ塔主戦争(バトル)をするなどありえない。


 デルトーニの話では、やはり『神賜(ギフト)禁止』は却下するらしい。それはこちらも承知の上で記載したからどうでもいい。

 あくまで主目的は『局所戦力の削り』だ。

 ヤツらは『配置数制限』の裏に隠した『局所戦力の削り』にも気付いたらしい。そこはさすがと言えるだろう。


 しかし気付いて尚、受け入れることを選択したのだ。

 取り消す前提の条文を入れたり、受け入れやすく『階層当たり二百体』としたり、今までアデルに送り付けた条文が蓄積となっていたりと、撒いた種は色々ある。

 本音を言えばもう少しこちらに有利な点を持たせたかったというのが偽らざる気持ちなのだが、それをやるには時間がない。

 今できる最高の結果は出せた。種は見事に実った。それで良しとしておこう。



『アデル側が配置数制限を受け入れたということは、これで二十体以上保有しているという固有魔物の数が減る……ということですよね』


「普通に考えればな。しかし減らずとも良いのだ」


『と申しますと?』


「指揮官である固有魔物とその配下の数が問題になる。例えば――」



 私の持つ【節制の天使ミカエル】(★S)を指揮官とした場合、配下の天使部隊は最低でも三十体は必要だ。多くても百体が限界だろう。

 三十より下回れば部隊としての強さは失われ、ミカエル単体で戦うのとほぼ変わらない。

 固有魔物である以上、個の強さは持っていて当然だが、部隊としての強みは消える。

 単体のほうが対処しやすいのは当然だ。だから固有魔物は部隊の指揮官として据えるのが当たり前。それはどの塔でもどの魔物でも同じだろう。


 二百体という制限の中でその部隊を配置するとした場合、仮にミカエル部隊を三十体とするならば、一階層に最大で六~七体の固有魔物が存在することになる。

 六~七体の全てが相性の良い組み合わせとなるわけがなく、必然的にバラバラの寄せ集め部隊となる。

 それと″まとまりある二百体の攻撃陣″が戦えば、結果は火を見るより明らかだ。


 逆にミカエル部隊を百体とするならば、一階層に最大二体の固有魔物となり、二部隊であればまとまりがあると言えるだろう。

 しかしそうなると主力を固めた攻撃陣に力負けすることになる。単純な″質″の勝負になるからな。



 つまりアデルたちは二十体以上いる固有魔物をどう配置しても十全に活かすことは出来ないのだ。

 我々が固有魔物三~四体、残りは全て高ランク魔物という攻撃陣を組めば、どうやっても勝てる勝負になる。


 打開策として考えられるのは『固有魔物十体以上を攻撃陣に回し、攻略速度の勝負に持ち込む』というもの。

 向こうの持ち味である局所戦闘を重視した策だが、当然攻撃陣にまとまりなどないし、第一私の【節制の塔】はそう簡単に攻略できる塔ではない。

 それに万が一の時は魔物を上層に移動させ、防衛を固めればいい。



 配置数制限に囚われアデルたちは気付いていないようだが、階層に配置した魔物を後から移動させても問題はないのだ。二百体を超えなければいいのだからな。

 例えば十階層の固有魔物を十一階層に上げ、代わりに十一階層にいたBランクの魔物を十階層に下ろす……ということも出来る。

 敵攻撃陣を見極め、そうした配置移動で対処するということも可能なのだ。

 まぁこれは条文の隙を突いた策でもあるし、すぐに気付けないのも無理はない。


 いずれにせよ二百体という配置数制限はこちらにとってメリットしかない。

 アデルも不利だとは分かっているようだった。

 それでも「そこまで不利にはならない」だとか「不利であっても受けて斃したい」という気持ちがあったのだろう。


 甘さと野心――それがアデルの敗因となる。



『アズーリオ様、アデルは限定スキルを縛るような条文を加えると言っておりましたが……』


「時間的都合を考えれば提示された修正案を飲むべきだが、焦っているのは向こうのほうだ。ならばこちらは一度却下の姿勢をとっておく」


『余裕があると見せつけるわけですな』


「ただそれでも食い下がってくるようならば使用できる限定スキルは二つまでと縛っても良い。その場合は私の<制圧節義>とデルトーニの<魔動戦車>とするしかないな」


『せめて情報収集のために<節制の豊杯>と<創作戦車>は使いたいですが……二つとなれば仕方ないですか』



 我々が所持している限定スキルは七つ。そのうち【節制の塔】の塔主戦争(バトル)で使えるものは五つにもなる。

 これはヤツらが想定しているよりも多いはずだ。

 限定スキルの中には『自塔限定のもの』と『同盟塔でも使えるもの』があるが、後者のほうが多いと思うはずがない。

 だから『限定スキル禁止』が通らなくても大した痛手にはならないだろうと勘繰るに違いない。


 我々の限定スキルで『自塔限定』なのは私の持つ内政型の<節制の王権>とデバフ型の<制圧節義>だけ。

 デルトーニの<魔動戦車>、クァンタの<蒼き鋭刃>、ゾロアの<魔を満たせし霧>は【節制の塔】でも使える。

 それに加えて諜報型の二つ、それすら使えるのなら完勝となるだろう。


 時間を掛けてでも「使わせろ」と言う価値はある。

 例え向こうに「【節制】側は危険な限定スキルを持っているぞ」と悟られることになろうともだ。



「逆に限定スキルさえ縛られなければ神賜(ギフト)禁止も異世界アイテムの貸与も取り消しても構わん。私としてはそれくらいのつもりでいる」


『確かに。天秤に懸ければ限定スキルが優先されるでしょうな』


『異世界アイテムというのがどのようなものか……少々恐ろしいところではあるのですがね』


『それを言ったら異世界人メイドそのもののほうがよほど恐ろしいだろう。ある程度は受け入れるしかあるまい』



 私たちは【空城】同盟戦がどのような内容だったのか、詳しくは知らない。

 ただ条文の抜け道として神定英雄(サンクリオ)の指揮と異世界アイテムの貸与を行うという話は聞いた。

 同盟会議の中でもそれを重要視していた節がある。

 つまりアイテムにしてもそれほどの価値がある代物だということだろう。


 おそらく武器だろうとは思っている。

 メイドの武器を魔物に持たせることで【空城】同盟戦を有利に戦ったのだろうと。


 ただそれはメイドが戦いに参加出来なかったから使った苦肉の策だ。

 神賜(ギフト)禁止が盛り込まれないとすればメイド自身が使うだろうし、異世界アイテムの貸与はそこまで縛る必要もないのではないかと思う。

 条文として拘るポイントではないということだ。



 今回申請した条文は今の私たちで出来うる限りの手を尽くしたものだ。

 とりあえず今のところは手応えがいい。アデルたちの反応はこちらが望んだ以上のものであると言える。


 ただこれはまだ決定稿ではない。

 数度のやりとりを経て、神の立ち会いの元、承認を得なければ戦いの場に立つことすら出来んのだ。

 今はまだ用心するに越したことはない。

 バベルの塔主戦争(バトル)に絶対などないのだからな。





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