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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十一章 女帝の塔の周りはいつも慌ただしい!
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399:審判同盟も頑張っているようです!



■セリオ・ヒッツベル 24歳

■第499期 Cランク【審判の塔】塔主



『神様通信

 【悪魔の塔】と【風水の塔】が同盟を結びました!

 以上お知らせでした! 神様より』



 今年は話題性のある新同盟の結成が多い。

 Sランクとなった【緑の塔】はエルフ六塔主を集めてエルフ同盟を結成し、Aランクの【黄の塔】はおそらく【橙の塔】の新塔主となったエドワルド前王陛下に誘われる形でバレーミア王国出身者ばかりの四塔同盟を結成した。


 僕と【風雷の塔】の新同盟も一応は話題に上ったらしい。

 これでも499期トップだし二十神秘(アルカナ)の一塔でもある。

 少なくとも500期が入ってくるまで注目されていたのは間違いない。

 そういったわけで一応僕も「話題性のある新同盟」に加えさせてもらう。


 ようやく少し落ち着いたか、というところでこの一報だ。

 同盟を組むはずがないと思われていた塔が、また新同盟を結成した。

 おまけにAランク二塔という訳の分からない陣容だ。



 Aランク9位の【悪魔の塔】は十七年目。二十神秘(アルカナ)の一塔だ。

 塔主はリト。セブリガン獣王国出身の山羊獣人。


 獣人の中では最上位であるが、これまでどの獣人とも絡まずただ一人で塔を成長させ続けた。

 いくら【悪魔の塔】が名塔であるからといって9位にまで上り詰めたのは尋常じゃない。塔主としての手腕が優れている証拠だろう。



 獣人は肉食系獣人と草食系獣人で明確な差があると聞く。

 簡単に言えば、肉食系は力が強く、その分ガサツな者が多い。

 対して草食系は力が弱く大人しい性格が多いとか。


 力を才と見る傾向の強い獣王国では肉食系獣人が上に立つことが基本。王族からして肉食系獣人だ。

 【世沸者の塔】のノノアはどうなのだろうな。狐も一応肉食系だが性格的には草食系に思える。

 【風】のヴォルドックに虐められていたのも単に″弱い″からだろう。まぁ塔の名前からしてアレだから馬鹿にされるのも無理ないのかもしれないが。獣人だから余計に、というのはあっただろうな。


 【悪魔】のリトは草食系獣人。そんなリトが二十神秘(アルカナ)の名塔を賜ったことで当然、肉食系獣人からは目の敵にされたと思われる。山羊獣人のくせに生意気だぞと。


 だからこれまで孤独を貫いてきたのだと思っていた。

 これからも孤独を貫くのだろうと思っていた。



 ところがここへ来てまさかの同盟結成だ。

 相手は獣人ではない。人間でしかも――我がグリンラッド王国の民だ。



 【風水の塔】のセルミアイナ。十二年目のAランク28位。

 王都にある商家の娘だという。特に何かに秀でているという話も聞かない。


 だが十二年も塔を継続していることが即ち塔主としての才の証明でもある。

 その上でAランクにまで上り詰めているのだから、最早グリンラッドが誇る英雄的塔主と言っていいだろう。


 前期の塔主総会でAランクに上がったばかり。Aランクの中で最下位なのは間違いない。

 27位の【鏡面】が未だにBランクなのだからそれも当然だ。

 むしろ【大軍師】の恩恵を受け、二十年以上も塔主でいるのに未だBランクに留まっている【鏡面】のほうがおかしい。

 まぁこれで名実ともに【鏡面】はBランクトップになったわけだが。



 ともかく、セルミアイナは塔主の才のおかげか着実に塔を成長させていったわけだが、【風水の塔】自体は既存の塔であり人気があるわけでもない。

 同盟を組むこともなく、ただ一人で地道な運営を続け、その末にAランクにまでなったのだ。

 どちらかと言えば「目立たない、パッとしない塔」と見られるだろう。あくまで主観だが。



 その【風水】がなぜか【悪魔】と手を組んだ。

 グリンラッドの街娘と獣王国の山羊獣人。接点など全く分からない。

 同盟を組むはずがない二塔がなぜか同盟を組んだ。そう不思議がるのは僕だけではないだろう。


 いずれにしても強大な同盟がいきなり出来たのは間違いない。

 たった二塔ではあるが、Aランクの塔が手を結んだのだ。

 六塔同盟の【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】とどちらが上かと聞かれると悩むところではないかと思う。


 まぁ僕の意見としては【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】のほうが上だとは思うがな。

 いくら【悪魔】が強いからと言ってもあのエメリーを斃せるものかと思ってしまう。

 それは模擬戦の様子やティナの戦いをこの目で見ているからかもしれないが。贔屓目というやつだ。


 しかしエメリーの力を知らない他塔やバベリオの民はどうだろうな。

 おそらく【悪魔】同盟のほうが上と見るのではないだろうか。

 それくらいAランク二塔というのはインパクトがあるのだ。おそらくこの先も注目されるに違いない。



「【審判】同盟もそれくらい注目されればいいのですけどね」


「馬鹿を言うな。CとEの二塔がAランク二塔に勝てるわけがないだろう」


「話題性はあるのですがね。二十神秘(アルカナ)の【審判】と神定英雄(サンクリオ)が侍女の【風雷】ですし」


「自覚はある。だが所詮は四年目と一年目だ。僕たちは地道に成長し続けるしかない」



 ――と、その時、僕の画面に通知が入った。



「地道な成長は出来そうですか?」


「ああ、限りなく地道だな。とりあえずの一歩は踏み出せそうだ」


「それは何よりです」



 その一報は同盟戦(ストルグ)の申請の返信だ。結果は″受理″であると。


 相手は【矛盾の塔】【恐震の塔】【水艶の塔】。CCDの三塔同盟だ。

 【矛盾】【恐震】はランキング的に僕の【審判の塔】と大差ない。【矛盾】が僕より少し上だ。

 【水艶】は200位程度だったが、500期のプレオープンでは8位の成績を残している。


 まぁ500期の場合はトップ4に加えて5位の【正義の塔】あたりまでが荒稼ぎしていたようだからな。プレオープンの成績で計るのはおかしいかもしれない。

 ただあの(・・)連中と同期となると少し身構えてしまうところもある。

 油断はせずにおきたいものだ。



 【矛盾】は七年目、【恐震】は五年目。どちらも僕より塔主歴は長い。

 それでランキングがほぼ同じなのだから、おそらく【矛盾】あたりは僕の存在が目障りだっただろう。

 だからこそ僕も狙ったわけだが無事申請を受理してくれてホッとしている。


 まぁ侮っているだろうな。僕のことは過大評価しているかもしれないが、【風雷】に関しては相当下に見ているだろう。


 ティナのことももちろん知ってはいるだろうが、「同じメイドの神定英雄(サンクリオ)でも【女帝】とは違う」と見ていそうだし、仮に脅威と感じていても「斃すなら今のうちだ」と思っているに違いない。



 僕としてはその隙を突きたいところだ。

 せいぜいティナのウォーミングアップの相手になってくれ。

 出来れば固有魔物の一体でも持っていてくれるとありがたい。ティナはそういう相手こそ望んでいるのだからな。





――カラァン――カラァン――



『さあ準備はいいかなー?』


「はい」『おう』


『じゃあ始めようか! 同盟戦(ストルグ)! 代表塔を【矛盾の塔】と【審判の塔】にしての交塔戦(クロッサー)だ! 塔主戦争(バトル)スタートっ!』



 塔主戦争バトル申請が受理され、神との立ち会いもすんなりと終わった。

 敵方と協議しながら神の前で同盟戦(ストルグ)の条文を詰めていくのだが前回は緊張したものだ。今回は二回目ということもあり、ある程度演技(・・)も出来ていたと思う。


 自分に都合の良い条件だと思わせる。僕たちを侮らせる。その上で神から了承を得なくてはいけない。

 そういった駆け引きが前回はよく分かっていなかったからな。


 奇しくも貴族社会に通じる部分もあって、準男爵の息子という身分ながら貴族の集まる学院に通わせてもらっていて良かったと後から思ったものだ。

 相手の顔色を窺いながら話を詰めるというのは僕の得意分野と言っても過言ではない。

 伊達に田舎町の弱小貴族領主の息子ではないのだ。今だけは誇れる。



 条文の内容としてはまず、大まかな形式として代表塔一塔同士の交塔戦(クロッサー)となった。一番無難と言われているやつだ。

 同盟塔は代表塔に魔物を集め、塔主も代表塔に集まり、そこから互いに攻略し合うと。


 相手はCCDの三塔同盟、こちらはCEの二塔同盟ということで格差があったのだが、それを合わせる意味で配置する魔物の総数を最大千体と揃えた。

 代表塔が共にCランク全十階層ということで差がないし、戦力で均衡を保つくらいしか方法がないのだ。それもあっての魔物数制限というわけだな。



 一見するとこちらの不利である。

 向こうは三塔分の眷属や高ランク魔物を集められるわけだし、対してこちらは二塔分。しかも【風雷】はオープンしたてでろくな戦力などいるわけがない。

 だから【矛盾】側は意気揚々と受理したのだ。その条件なら戦っても良いと。


 【矛盾】と【審判】ならランキング的に若干【矛盾】が上。

 【恐震】【水艶】と【風雷】ならば圧倒的に前者が上だ。

 誰が見たって【矛盾】同盟が勝つに決まっている。だから申請を受理し、条文も認めたに違いない。



 しかし僕からすればそうして侮らせることが作戦だった。

 第一、主目的は「ティナにほどほど強い魔物と戦わせる」ということなのだから、その為の条文を用意したまで。何も不利なことはない。

 神がこの条文で認めたのも分かっていたからだと思う。ティナの力量と僕らの狙いを。


 侮ってくれてありがとう。誤解してくれてありがとう。

 【矛盾】同盟の三塔にはいくらでも感謝してやろう。


 ――その分、頂けるものは頂くがな。




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