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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二十章 女帝の塔は三年目も戦います!Ⅱ
393/486

376:【女帝の塔】vs【白雷の塔】始まります!



■アドミラ 43歳

■第487期 Bランク【白雷の塔】塔主



――カラァン――カラァン――



『時間だよー、二人とも準備はいいかなー?』


「はい」『はい』


『じゃあ始めるよ! 交塔戦(クロッサー)! 【白雷の塔】対【女帝の塔】! 塔主戦争(バトル)スタートっ!』



「ジェンダさん、よろしくお願いします」


「ああ、任せておけ。死力を尽くす」



 隣に立つジェンダさんの雰囲気はいつものそれではありません。

 素人の私にでも分かるほどの戦意。それはまるで周囲の気温が上がったかのように感じるほどです。


 私も塔主として、創世教の信徒として、精一杯頑張らねばなりません。

 それこそ死力を尽くしてこの塔主戦争(バトル)に臨みます。



 私たちは結局、防衛策に出ることにしました。

 ジェンダさんに攻撃陣の指揮官を任せて【女帝の塔】に攻め入るというのも考えましたが、【女帝の塔】の三・四階層は明らかに時間稼ぎを狙った塔構成となっていて、攻略には時間が掛かるだろうと。


 一方で【白雷の塔】は拓けた屋外階層ばかりですし、連結階層も多いため、攻略に必要な距離が【女帝の塔】に比べて圧倒的に短いのです。


 もちろん攻略速度には色々な要素が絡んできますが不確定なものを比べることなど出来ませんので、単純に距離だけで判断すれば、ジェンダさんたちが【女帝の塔】を攻略するより、敵攻撃陣が【白雷の塔】を攻略するほうが速いだろうと。


 そういう理由で、私たちはまず防衛に徹し、敵攻撃陣を壊滅させた後に攻め込もうと決めたのです。

 ジェンダさんも「それしかないだろう」と仰っていました。【白雷の塔】で勝てずして【女帝の塔】で勝てるわけがないと。



 塔内に配置している魔物にも眷属を通して事前に指示を出しています。

 いつも侵入者と相対しているように配置に拘る必要はない。敵攻撃陣は大隊がまとまって来るはずだから、それを目がけて一気呵成に攻めるべしと。


 私の<白天の空域>はTPを消費し、全ての屋外階層に掛けてあります。

 一階層から様子見などせず、とにかく削ることを意識する。


 どれだけ魔物を喪っても目を瞑ります。意地でも削る、意地でも勝つ、そのつもりで。



 宝珠(オーブ)によって映し出される一階層の画面を、私とジェンダさんは険しい表情で見つめました。

 どのような魔物が乗り込んで来るかと、不安な気持ちを押し殺して。


 神様の号令のあと、間を置かずに転移門に動きがありました。

 やはり攻めてきましたかと、これも安堵半分、恐怖半分です。


 しかしその陣容を見て、私はどんどんと″驚き″に変わっていったのです。



=====


 ヴァンパイアのクイーン(?)1、ヴァンパイア(A)20

 フェアリーのクイーン(?)1、ハイフェアリー(C)40

 女性型の魔物(?)1、ロイヤルナイト(A)5、ジェネラルナイト(B)15

 ヴァルキリー(B)10、ユニコーン(B)5、グリフォン(B)5

 ウィッチクイーン(A)1、ハイウィッチ(B)40、ガーゴイル(B)20

 天使(?)、権天使(プリンシパリティ)(C)10

 ロイヤルジェスター(A)5、クラウンスカウト(C)20


=====



 Aが31、Bが95、Cが70、不明が4……計200体。


 主力の全てを投入してきたのかと思うほどの陣容だったのですが、冷静に考えればそんなわけありません。

 亜人のメイドもいないですし、ロイヤル系統も騎士と斥候しかいないのですから。


 となれば防衛として相応の魔物を配置しているに違いありません。

 こちらが攻め入ることも考慮しているはずですから当然ではありますが。


 それにしてもこの数は……と思ってしまいます。Aランクが31体というのは異常ですよ。



 おまけにランク不明の魔物――つまり固有魔物が四体もいます。

 ヴァンパイアとフェアリーのクイーンが【女帝の塔】の固有魔物だとすればあの二体はSランクで確定。


 天使がいることにも驚きましたが、私の塔のAランク固有魔物である【白雷天使ラミエル】と雰囲気が似ていることから、あの天使もAランクではないかと思われます。


 そして残った女性型の魔物ですが……これが分かりません。


 ただあの配置を見るに……前衛のヴァンパイア部隊と後衛のヴァルキリー部隊に挟まれ、ロイヤルナイト(A)に囲まれたあの位置は″指揮官″以外にありえません。


 敵攻撃陣の総指揮官があの魔物だと。ならばあれもまたSランク固有魔物……?



「Sランク固有魔物が三体、Aランク固有魔物が一体と見るべきだな」


「やはりそうですか」


「想像以上に攻撃陣を厚くしてきた印象だ。部隊構成も整いすぎている」



 地上部隊の前衛に斥候・盾役・攻撃役、後衛に回復・魔法攻撃役。

 飛行部隊にも魔法攻撃・物理攻撃・回復ですからね。

 それがあの指揮官のもとにまとまっているとすれば……悔しいですが理想的な攻撃陣と言わざるを得ません。



「まず狙うべきは飛行系魔物だ。次に斥候。これを徹底して削るべきだな」


「分かりました。その旨を眷属伝達しておきます」





■シャルロット 17歳

■第500期 Bランク【女帝の塔】塔主



「やはり完全防衛策でしたか……ちょっと考えすぎましたかね」


「完全に外れたわけでもありませんし、宜しいのではないでしょうか」



 どうやら【白雷の塔】は攻撃陣を送り込んで来ないようです。防衛が第一だと。

 こちらの攻撃陣が厚いと見て、これは攻め入るチャンスだと速度重視の攻撃陣を送り込んで来ることも考えられますけどね。

 それに備えるためにもエメリーさんはまだ動かせません。



 私は悩んだ挙句、クイーンの皆さんを攻撃陣に回すことに決めました。

 【白雷の塔】が防衛策で出た場合にそれを打ち破る戦力が欲しかったのと、攻撃し合う形となった時に速度のある攻略が求められたからです。

 ならば攻撃陣を貧弱にするわけにはいかないと、クイーン全軍を攻撃陣に配置しました。


 ちなみにスカアハさんはロイヤルジェスター(A)の影の中に隠れています。ですので見た目は全200体ですが、実際は201体ですね。


 これを【白雷】側が察知できるのか、というのも確認したいので、最後の最後まで隠れて指揮をとってもらうようにしています。

 もし気付くようなら影めがけて攻撃してくるでしょうからね。それで判断できればなぁと。



 ハルフゥさんは攻撃陣に回すか本当に悩みました。雷は弱点なので。

 しかし全体指揮の訓練と、ロイヤルシリーズの検証も兼ねて攻撃陣に配置しました。


 ロイヤルシリーズは今回初めて攻撃陣で使うことになります。

 斥候部隊はスカアハさんが指揮をとってくれますが、ロイヤルナイト(A)とジェネラルナイト(B)はハルフゥさんが直接指揮をとります。

 ハルフゥさんの護衛ですね。それをちゃんと熟せるのかというのが見たいわけです。


 ただロイヤルシリーズは基本的に足が遅いんですよね。斥候は別ですが。

 だから敵の塔を攻略するのに向かない、逆に防衛で使いやすい、というのがあるのですが、今回はあえて攻撃陣で使ってみようと。


 ハルフゥさん自身の足が遅いというのもあります。【白雷の塔】が最短距離で行ける階層ばかりというのもあります。


 いずれにしても今回は、ハルフゥさんを含めた本陣が硬くて遅い。

 それに周りは合わせないといけないわけで、その指揮もハルフゥさん自身やクイーンの皆さんの手腕に掛かっているということですね。



 しかし先に言ったとおり、敵が攻撃陣を送り込んで来ることも考えられますし、攻略に速度が求められる場面が出て来るかもしれません。

 そうしたらハルフゥさんとロイヤルシリーズを置いて攻略するつもりです。そこからは速度重視で。

 中層あたりまででしたらハルフゥさんとロイヤルシリーズだけで帰還することも十分可能ですし。



 というわけで今回はこうした攻撃陣を編成したのです。

 これでアドミラさんがどう出るか……と言いますかジェンダさんをどう動かすか、ですね。

 それによって今後の戦い方が変わってくると思います。



「スカアハさん、地形や魔物に何か変化はありますか?」


『今のところ特に問題はなさそうでス』


「了解です。何かあったらすぐに報告を」


『了解しましタ』



 最前線の斥候部隊は罠や魔物の察知がメインですが、今回はアドミラさんの限定スキルが分かっていませんからね。

 例えば【空白】の時のようなエリアに対するデバフであるとか、そういうのがあると困るのです。

 何かしらの変化があればスカアハさんが一番気付けるはずですので、そこに関しては一任しています。


 ハルフゥさんの指揮もなかなか堂に入っていますね。

 エメリーさんと一緒に訓練をしていたので今回は実践のいい機会です。

 なるべく好きなようにやってもらいましょう。



 とりあえず序盤は安心して見ていられる……かと思ったのですが、そういうわけにもいかないようでして。



 【白雷の塔】の一・二階層は『草原』なのですが、連結階層ということもあり序盤から鳥が襲ってくるのです。

 基本的にはサンダーバード(D)やシルバースワロー(D)といったDランクの魔物なのですが、中にはCランクのスパルナ(C)なども混じっていると。


 その情報は持っていたのですが、私たちの攻撃陣めがけて次々に襲って来まして……。



『あらぁ? ハイフェアリーちゃんがやられちゃいましたね~。<風の壁(ウィンドウォール)><風の壁(ウィンドウォール)>それと~<暴風の嵐(ウィンドストーム)>』



 数体ではありますがハイフェアリー(C)やクラウンスカウト(C)に被害が出たのです。

 ランクで勝っているはずなのに。おまけにターニアさんやスカアハさんが指揮している配下ですよ? そう簡単に落とせないはずです。



「ターニアさん、大丈夫ですか?」


『え~と、魔法の威力が高いですねぇ。バフか何かかしら~<炎の嵐(フレイムストーム)>』


「お嬢様、鳥の速度も相当速いです。うちのサンダーバード(D)が本気で飛んでもこれほど速くは飛べません」


「ええっ、そうなんですか!?」



 さすがに俯瞰視点では速さや威力まで分かりませんよ。

 鳥が速いのなんて当たり前って感覚で見てしまいますし。


 ということは、もうバフ型限定スキルで決まりですかね。

 他の可能性は……多分ないと思います。神授宝具(アーティファクト)を持っているわけではないですし。


 問題はそのスキルの効果範囲ですか。

 【白雷の塔】だけなのか、【女帝の塔】でも作用するのか、塔全体なのか、階層限定なのか、それとも魔物を限定して掛けているのか。


 とりあえずは「【白雷の塔】にいる魔物は全て強化されている」と思っておいたほうが良いでしょう。



「ハルフゥさん、防御重視で。なるべく敵を近づけないよう注意して下さい」


『了解しました!』



 これで対応するしかありませんが……何となく幸先不安ですね。油断せずにいきましょう。





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