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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
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36:赤×女帝会談、終わります!



「わたくしが目指すのは″覇道″。狙うはバベルの頂点ただ一つのみ」



 アデルさんは自信と決意を籠めた目でそう言います。

 とても強い思い。とても強い覚悟。とても強い人なのだと。



「英雄になりたいわけではありません。全ての塔を斃して成し遂げたいとも思いません。いくらわたくしの力やジータの力があっても、それが許されるほどバベルは甘くありませんから。

 しかしそれでも塔主となったからには――わたくしは頂点を目指します。″バベルの頂き″を」



 矛盾しているような言葉を繋ぎます。

 でも事実を受け入れ、それでも自分の″道″を見失わない。

 それも含めての強さを感じます。



「シャルロットさん、貴女は【女帝の塔】という名高い塔を手に入れた。そしてエメリーさんという強力な神定英雄(サンクリオ)を引き入れました。

 おそらくエメリーさんのお力は単独戦闘において″バベルの頂き″と呼べるものでしょう。

 その力を得て――貴女は何を為すのですか?」



 私は何を目指すのか。私は何を為そうとするのか。


 塔主としての目標――。


 フゥさんは精霊王に会うというちゃんとした目標がありました。

 ドロシーさんはよく分かりません。でも毎日真剣に楽しんで塔を運営している印象があります。


 私は――。



「……私は塔主になるのが嫌でした」


「…………」


「なぜ人は命を賭して塔に挑むのか。なぜ塔は幾人もの人の命を奪うのか。なぜそれで世間には″英雄″などと称されるのか。――私には全く理解できません」


「…………」


「それでも私は塔主となった。″死の螺旋″の中心に立ってしまった。私にはここで生きる以外の″道″がないのです」



 塔主となって三ヶ月と少し。

 今まで何人の命を奪ってきたのか。

 これから何人の命を奪うのか。

 想像するのも怖いほど。



「死んだ両親に言われました。真っすぐ前を見て生きなさい、誇りある女性になりなさい、と」


「…………」


「だから私はこの″死の螺旋″と真っすぐ向き合って、誇りある【女帝】として生きようと思います」


「……なるほど」



 死から目を背けてはいけない。自分の生きる″道″から目を背けてはいけない。

 アデルさんのような強い心を、私も持たなくてはいけない。


 そうして成長していった先にあるのが、私なりの――【女帝】なのだと。


 喋ってみて、初めて自分で気付かされたような感覚でした。



「少なくともわたくしとは″道″が重ならない。わたくしの″覇道″の邪魔をするつもりはない。そう考えてよろしいですわね?」


「アデル様が私に″死″を与えようとしない限りは」


「ふふっ、ありえませんわ。もっとも貴女がわたくしと同じ目標を口にするようでしたらその限りではありませんでしたが」



 バベルの頂点ですか。

 そんなものは欲しいとも思いません。

 現在のSランク――【聖の塔】【黒の塔】【世界の塔】――でさえ、どれほどの強さなのか知ろうとも思いませんし。



「ならば貴女の同盟に入り、共にバベルで生き残りつつ上を目指す……というのも考えましたが、そうなるといざ戦うとなった時に困りますからね。悩ましいところですわ」



 同盟同士で戦うことはできません。

 そして一度同盟を結んでしまうと、脱退してすぐに塔主戦争(バトル)を申請するということもできなくなります。

 それが可能ならば『将来的に斃す為に情報を得る目的で同盟に入る』ということができてしまうから。


 アデルさんは私のことを、『自分の道の邪魔にならない、尚且つ強力な戦力をもつ同期』と見ているのでしょう。


 同盟を結んだ方がおそらく得るものは多い。

 しかし将来的な可能性を考えると、同盟は結ばない方がいいかもしれない。そんな葛藤。


 そこでアデルさんの後ろに立つジータさんが口を開きます。



「俺としちゃ同盟を結んで欲しいんだが」


「貴方はエメリーさんと模擬戦したいだけでしょう?」


「ああよ。同盟を結べばどっちの塔にもお邪魔できるぜ? そしたらいつだって訓練できるだろう。 そっち(エメリー)だってちったあマシな訓練相手になるだろうぜ? いくら俺が弱くてもよ」



 ああ、英雄ジータってこんな人だったんですね……戦闘好きというより訓練好き。強くなる欲求みたいなものが強いと。

 しかし自分を弱いって言えちゃうのがまた英雄らしからぬと言うか何と言うか……。


 私はたまらず口を出します。



「あの、でしたら同盟でなくとも『お友達』というのは、どうですか?」


「「お友達?」」


「ええ。模擬戦したり、お話ししたりするのに同盟である必要はないはずです。情報を他言しないような約束事は必要でしょうが、例えば【訓練の間】を使ってもいいですし――」



 この【会談の間】の並びに【訓練の間】というのもあるはずです。

 そこも予約制で塔主なら誰でも使えますし、何より死ぬことがありません。

 バベルジュエルを持った侵入者のように復活する(・・・・)と聞きます。


 なのでそう提案したのですが、アデルさんは驚いたような顔をした後、急に笑い出したのです。



「ハハハハハッ! はぁ~~~こんなに笑ったのはいつぶりでしょう。記憶にございませんわね」


「な、何か私、変なことを言いましたでしょうか……」


「いえ、素晴らしい案だと思いますわ。それでいきましょう。情報漏えいに関してはわたくしの方で魔法契約書を用意しますわ」



 魔法契約、ですか。強制的に契約を破るような真似ができなくなると。

 それは重要な契約でしか使われない貴重な魔法紙だったはずです。

 私は見たこともありません。さすが大貴族ですね。お金持ちです。


 私たちはそれからも少し他愛ない話をして、この場は終わりました。


 緊張はしていましたが、結局はアデルさんとも仲良くなれましたし、私としては満足です。

 一番怖いのは敵対されることですからね。それを回避できただけで大収穫じゃないでしょうか。


 明日にでもドロシーさんとフゥさんに報告しておきませんと。

 あ、その前に帰ったらエメリーさんと反省会ですね。ちゃんと【女帝】らしくできていたか確認してもらいましょう。





■アデル・ロージット 17歳

■第500期 Dランク【赤の塔】塔主



 【赤の塔】へと帰って来たわたくしたちは、改めて二人でお茶をしました。

 なかなか得るものが多い会談でしたからね。



「いやしかし『お友達』は驚いたな。その発想はなかった。あれをポンと出してくるあたり、本当に大物だぜ? 【女帝】ってのも伊達じゃねえってか」



 ジータはエメリーさんと模擬戦が出来る運びになってご満悦ですが、それ以上に『お友達』の提案をしたシャルロットさんが面白いという感じですわね。



 塔主は争い合う者。これはバベル不変の定理です。


 同盟というのも『共に争う為の仲間』という制度である。これが一般的な塔主の考えでしょう。



 しかしシャルロットさんは『同盟になれば友達になるのは当然』『同盟にならなくても友達になることはできる』と言うのです。

 確かにバベルの在り方が理解できないという独自の考えをお持ちでしたが、まさかそんなことを言い出すとは思いませんでした。



 争うべき相手と手を取り合おうとする。

 だと言うのに、自らを脅かす者には容赦せず、徹底的に殲滅する。


 それは――まさに【女帝】ですわね。



「主があんな笑うの初めてみたぜ」


「あれは発想や提案どうこうではないですわ。わたくしの個人的な都合です」



 幼少から″神童″と持て囃されたわたくしは、いつも周囲の人の上に立っていました。

 家でも、貴族の派閥でも、学校でも。

 今まで、誰もわたくしに並ぶ者などおりませんでした。


 ましてや『オトモダチ』など……。


 エメリーさんを有しているシャルロットさんはわたくしを潰すことも可能なはず。しかしそれもせず。

 平民の街娘が、公爵令嬢であるわたくしに対し「友達になりましょう」と口にする。

 これがどれだけ異端なことか。何の気なしに口にできるシャルロットさんに【女帝】としての器を見たのです。



 敵わない。恐ろしい。でも負けないという思い。

 それと同時に「友達」に誘われたことがこんなに嬉しく感じるものかと驚愕したのです。



「貴方は良かったではないですか。お望み通りエメリーさんと模擬戦できるのですから」


「おお! いやあ、部屋に入ってきた瞬間からヤバかったんだぞ!? 一瞬視線が向いたと思ったらめちゃくちゃ細くて鋭い殺気がバーンってきてよ! 警告のつもりなんだろうけど死ぬかと思ったわ! ありゃまるで――」



 ジータがこれほど饒舌なのも初めて見ますわね。

 一体、異世界のメイドというのがどれほどの強さか、わたくしも気になりますわ。


 それを見るためにも魔法契約書を用意しないといけませんわね。


 ああ、それと近々ご一緒に街に行くことも考えておきましょう。あの恰好では【女帝】として未熟に見られてしまいます。

 ちゃんとしたお洋服を選ぶにはわたくしくらいでないと務まりませんでしょうし。


 それくらいのアドバイスはしてさしあげるべきでしょう。――お友達なのですから。




第二章完ッ! 次回第三章に続け!


シャルロットさんの考え方はこの世界において異端。塔主としても異端。

でも日本人感覚だと普通に思える部分もある。そんな感じです。


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