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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
32/486

32:同盟戦、終了しました!



■エメリー ??歳 多肢族(リームズ)

■【女帝の塔】塔主シャルロットの神定英雄(サンクリオ)



 【力の塔】十五階。上ってみるとそこは……混乱の極みといったご様子で。



「きゃああああ!!!! 来たあああああ!!!」

「く、来るなっ! 死神っ! この死神がっ!」



 と恐慌状態の二名。



「くそがあああ!!! やってやるよおらあああ!!!」

「死ねえ! 死ねえ! 死になさい!!!」



 と向かって来る者二名。こちらは【鋼刃】と【魔杖】の塔主ですね。


 この二人は神賜(ギフト)神授宝具(アーティファクト)だったそうで、今わたくしに向けている剣と杖がそうなのでしょう。

 どのような効果を持っているかは不明ですが、おそらくこれが最後の頼み綱。


 情報のない神授宝具(アーティファクト)を前にわざわざ様子見するつもりもありません。

 わたくしは素早く動き距離をとりつつ、マジックバッグから鎖付きの分銅を取り出します。


 即座に投擲。二人の頭を撃ち抜きました。



「きゃあああああ!!!」



 それでまた恐慌状態の二人が騒ぐのですが、もう無視です。


 わたくしは最奥に座ったまま苦虫を噛みつぶしたような顔をしている男性を見ます。おそらく彼が【力】の塔主。

 すでに二人ほど()ってしまいましたが仕切り直しいたしましょう。まずは侍女として礼から。



「ご挨拶遅れました。わたくし、シャルロット様にお仕えしております侍女のエメリーと申します。【力】の塔主様でいらっしゃいますか?」


「お……お前は……」


「?」


「お前はなんなんだよ一体!!!」



 ……自己紹介したのですが、お聞きになられていなかったのでしょうか。


 こちらとしてはせめて首を刎ねられるか、宝珠(オーブ)の破壊に留めるかくらいは選ばせて差し上げる予定でしたが。



「こんなのありえないだろうがよ!!! ふざけんな!!! なんなんだよもうワケわかんねえよ!!! 理不尽すぎるだろうが!!! ズルだこんなもんズルに決まってる!!!」



 ……これはもう聞く価値もないですね。さっさと終わらせましょう。





■シャルロット 15歳

■第500期 Dランク【女帝の塔】塔主



『はいしゅ~~~りょ~~~! 【女帝の塔】【忍耐の塔】【輝翼の塔】同盟の勝ち~~~! おめでと~~~!』


「よっしゃー! やったでー! シャルちゃんありがと!」


「うむうむ! シャルのおかげじゃな! 今夜は宴じゃ!」


「いえいえ、ドロシーさんの戦略とフゥさんの情報があればこそです! エメリーさんやゼンガーさん、魔物の皆さん、全てのおかげです!」



 【女帝の塔】七階層。玉座に座る私にドロシーさんとフゥさんが寄ってきました。ハイタッチで喜び合います。

 こういうのっていいですね。同盟戦の勝利ってこういうものなんですね。


 六階層の戦いを終えて戻ってきたヴィクトリアさん、パトラさん、ゼンガーさんとも喜び合います。

 グランドタートル(グッチー)は眷属ですけど大きすぎるので六階層に居残りです。労いはドロシーさんに任せましょう。



「エメリーさん! 本当にお疲れさまです! 助かりました!」


『お嬢様こそお疲れさまです。わたくしは【力の塔】から色々と接収いたしましてからそちらに帰還いたします』


「あ、はい。すみませんがよろしくお願いします」



 またアレですね。火事場泥棒的な……。

 いやまぁこれも報酬に含まれているのでやらざるを得ないですけど。



『いやー、やっぱこっちが勝ったかー。フッツィルちゃんとエメリーちゃんがいるから何とかなるかなーとは思ったけどさ』


「神様もそう思っていて下さったんですね」


『それでもDランクの塔がBランクを斃すなんてほとんどないんだからね? 普通は無茶に思うものさ』



 神様からして予想以上の戦果だったということでしょうか。

 それともエメリーさんが予想以上に強かっただけ、ということも。



『いくら自信があるからってあの条件で塔主戦争(バトル)を受理するってのは僕としても遠慮してもらいたいねー。もうちょっとランクに見合った条件を提示するべきだったよ。あっ、これアドバイスになっちゃうな……まいっか、報酬の一部ってことで』


「そうなると益々こちらに有利になったのでは?」


『今回はたまたま相手がバカだったから有効だったんであって、普通なら怪しむでしょ。あんな不利な条件で受理しちゃったんだもの』


「なるほど、そういうものですか。すみません、勉強になります」


『僕は神様だからある程度公平にはするつもりだけどさ、君らには期待している部分もあるんだ。変なミスでうっかり死なれちゃうとつまらないからね』



 アハハ……と変な苦笑いしかできません。

 でもこうして言ってもらえるだけ、目を掛けて頂いているということなのでしょう。

 とりあえずポジティブに捉えておきます。



『それと報酬の分配の件だけどね。エメリーちゃんが持ち帰って来るバベルジュエルと魔石、ぶんどったお金とかもTPに替えちゃうのかもしれないけど、それらをシャルロットちゃんの宝珠(オーブ)で合算して分配できるようにしておくね。後から変更とかできないから注意してね』


「わかりました」



 私がお二人に分配する形なんですね。

 後から変更できないと言うのは『分配は一回限り』ということでしょう。何度もやれてしまうと普通にTPをあげるのと変わらなくなってしまいますし。

 いくら同盟内でもTPをあげるというのは禁止ですから。『貸す』はアリらしいですけど。



『魔物の召喚権利については三人の宝珠(オーブ)を見てもらえば分かるけど、共有になってるからね。例えば【グレイオーガ:〇〇TP(1回)】ってのが三人とも同じようになってて、誰かが召喚したら他の二人は召喚できなくなる感じ』


「なるほど」



 1回っていうのが『三人で1回』ということですね。

 つまり三人とも同じTPで召喚できるということですかね?



「そのTPの多寡というのは三人とも同じなのですか? 塔による変化などは」


『相手の塔を斃した事により召喚可能となった魔物、については【相手の塔で召喚した場合のTP】が適用されるよ。だから三人とも同じだね。もしその魔物が自分の塔でも召喚可能だった場合、そして相手の塔で召喚した方が安かった場合は1回だけ安く召喚できるって感じだよ』



 例えば、【グレイオーガ:3000TP(1回)】だとした場合。


 私とフゥさんは元々召喚不可。でもドロシーさんは【忍耐の塔】で元々5000TPで召喚できたとします。

 その場合、ドロシーさんがもしグレイオーガの召喚権利を使うのであれば、一回は3000TP。次回以降は5000TPとなるわけですね。



『じゃあ僕からはこんなとこかなー。しばらくは注目されちゃうと思うけど無視するなりバトっちゃうなりがんばってねー』



 神様はそんな不穏な言葉を最後にいなくなりました。いえ、最初から声だけでしたけど。



「な、なんだったんですかね、最後の……」


「そりゃ【力の塔】だけ考えてもBランクの二十神秘(アルカナ)が消えたんやで? 騒ぎになるやろ」


「しかも同盟まるごとじゃから一気に五塔も消えた。相手は新進気鋭の【女帝の塔】とその一派。こんなもん話題にならんほうが難しいわい」


「え、なんで私が代表みたいになってるんです!?」


「今さら何を言うてんねん。ランクも一番高いし神様かて代表と見なしてたやろ。ウチらなんか『その他』で十分やわ」


「うむ、矢面に立つのはシャルだけでよい」


「そ、そんなこと言わないで下さいよ!」



 その日、エメリーさんが帰って来てからも皆さんと盛り上がり、報酬の分配を兼ねたお食事会となりました。


 その頃になって初めて実感したんです。


 みんなで考えて戦った。そしてみんなで勝った。

 みんなが消されないで本当に良かった。

 これが同盟、これが同盟戦っていうものなんだなって。





■アデル・ロージット 17歳

■第500期 Dランク【赤の塔】塔主



『神様通信

 本日行われた塔主戦争(バトル)にて【女帝の塔】【忍耐の塔】【輝翼の塔】同盟が勝利!

 【力の塔】【鋼刃の塔】【魔杖の塔】【詩人の塔】【噴石の塔】が消えました! 以上お知らせでした! 神様より』



「なっ……!」



 思わずガタッと席を立ちました。それほどの衝撃を受けたのです。

 わたくしらしく冷静にと言い聞かせ腰を下ろしましたが、羽扇を握る手は強いままです。



「おいおいおい、【力の塔】ってBランクじゃなかったか?」


「Bランクですわね。おまけにキャリアが十五年。二十神秘(アルカナ)であることを無視しても強者に違いありませんわ」


「たった三ヶ月程度しか塔主経験がないヤツらには無理だぞ。そもそも普通にDがBを斃すだなんて、俺も聞いたことがねえ」



 交塔戦(クロッサー)ならばそうでしょうね。

 しかし今回は同盟戦(ストルグ)。その条件次第では勝つ見込みがあるのではないでしょうか。


 ……どう考えても厳しいですがね。それくらいしか勝ち筋が見えないと言った方が正しいです。



「相手同盟のランクは?」


「BCCDDですわ」


「それをDEEの同盟が消したってのかよ! 信じらんねぇな……どうやりゃ勝てるんだ」


「何らかの隙を突くような攻撃手段か、防衛手段か、そもそもの条件か……」


「条件にしたって相手にも旨味があって、実はそれ以上にこっちに旨味があるって条文にしなきゃならねえんだぞ? じゃなきゃノらねえからな。しかも相手は塔主歴十五年の猛者だろう。そうそうミスらねえと思うんだがな……」



 塔主の経験値というのは本当に大きい。

 だからこそわたくしも過去に神定英雄(サンクリオ)として呼び出された経験のあるジータに助けられているのです。


 【力の塔】の経験値は【女帝の塔】のそれをはるかに凌ぐはず。

 それを覆すほどの何か(・・)がなければ……。



 ……やはりあのメイド、ですか?




条件提示の段階で神様的にも悩ましいところだったようです。

どういう条件でどう戦ったにせよ結果しか公表できませんからね。


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