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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第十二章 女帝の塔はBランクになります!
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239:続・フゥさんのエルフ会議です!



『デュフフなななんたることかまさか愛しのエレオノーラたそにやられるとはこれもまた運命か拙者我が人生に悔いなしデュフフ』


『ちょっとマスター! こいつ超キモイんですけどー!』


『おうふ、アアアイアタルたそに罵倒されながらジエンドとはこれはこれでデュフフ』


『さっさと逝きなさいよこの変態がー!』


『アッ――――!』





■クラウディア・コートレイズ 126歳 エルフ

■第475期 Aランク【緑の塔】塔主



「って感じだったんですけど……」


「それは何とも……災難だったな……」


「な? だから言うたじゃろ? アイアタルを突っ込ませんほうがいいと」



 【春風の塔】が【忍ぶ者の塔】を斃しこれでエルフを付け狙う輩は一掃できた。

 もちろん隠れて狙っている塔主もいるかもしれないし、バベリオの街に出れば同じような輩がいないとも限らん。


 とは言え一先ずは片付いたわけで、その戦勝報告という形で『会談の間』に集まったわけだが……。


 エレオノーラは異常に憔悴していた。

 それほど厳しい戦いだったのかと聞けば「塔主のデュフ・ゴザールが想像以上にキモかった」と。



 眷属のアイアタルが最上階まで攻め立てたらしいが、最期は晴れやかな笑顔のままで散っていったらしい。

 普通の塔主は暴れたり叫んだり泣いたりするものなのだがな……そのような最期のできる塔主もいるのだな……。



 どうやらアイアタルの方が逆に叫んだり怒ったりしていたらしく、帰って来るなり風呂に直行。

 上がって来ても「もうしばらく人間と戦いたくない」とダダをこねる始末だったらしい。


 エレオノーラも同様に「しばらく塔主戦争(バトル)したくない」と言っている。

 心中察する。私にはご愁傷さまとしか言えないな。



 肝心の塔主戦争(バトル)内容については事前に私とフッツィル様とで行った指導を実践してくれたようだ。

 対【忍ぶ者】に適した魔物の召喚と攻略するための策の実践だな。


 【忍ぶ者】は斥候系の魔物が多く、塔には罠が多い。

 敵は正面から仕掛けては来ず、奇襲や強襲を多用する戦術をとってくる。

 これが【忍ぶ者】の塔構成と戦力リストを見て思ったことだ。



 対策としてはまずこちらも相応の斥候能力を持つ魔物を用意すること。

 【春風の塔】で言えばハイフェアリー(C)やサーチオウル(C)、奇襲を受けた時のことを考えてクリアパピオン(D)などもだな。

 【忍ぶ者の塔】には暗闇階層もあるため、<暗視>持ちのサーチオウルは尚更必須だった。


 本当は盾役の前衛がいると安定するのだが【春風の塔】にいる物理防御特化の魔物となるとトレント系が主なので、防衛は大丈夫なのだが攻撃陣には向かない。

 なのでそこはアイアタルに担ってもらう必要があった。最前線が総指揮官となるわけだな。



 防衛に関する策というのは普段の塔運営の延長線上なので特に指導することもなく、攻撃についてのみ策を授ける形になった。


 地図があり戦力が揃っているのならば、あとはどこをどう進んでいくか、どこに注意を払えば良いかを考えるのみ。

 そうした諸々を私たちが教え、エレオノーラは勝利をもぎとったというわけだ。



 まぁ最後の最後に嫌な思いはしたのかもしれないが、結果だけ見れば喜ばしいのは間違いない。

 エレオノーラにしても嫌がらせを受けていた相手だ。自分の手で斃せて良かったではないか。



「しばらく塔主戦争(バトル)したくないならばしなくてもよいぞ」


「ホント!?」


「そりゃ戦う理由がないからのう。この先どこぞから申請された時にでもまた考えればよいことじゃ」



 エレオノーラは途端に元気な表情になった。

 ここ数ヶ月で五連戦。その最後の相手がアレだからな……戦いたくないというのは本音だろう。



「一旦はわしのほうから指導するのも打ち止めにする。報酬TPも好きに使うがよい」


「ええっ!? 指導終わり!? え、あ、あたしの好きにしちゃっていいの!?」


「わしの指導は元々死に体だった【春風の塔】を救う為じゃったからな。すでにEランク以上の戦力もあるし塔構成も相応になっておる。これ以上わしが手を加えるまでもないじゃろ」



 どうやらフッツィル様はエレオノーラへの指導を終了とするらしい。

 余計な口出しはしないということだろう。

 本来、【春風の塔】はエレオノーラが自分で考え運営するものだから正しくはある。


 今までが危うすぎたのだ。フッツィル様が口出ししなければならないほどの危機的状況だったから世話を焼いていただけ。


 エレオノーラ自身も自分でどうにもできないと分かっていたからこそフッツィル様を頼ったのだ。

 それが改善された今、塔主は塔主らしく、自分の塔を立派に育て上げよとそういうわけだ。



 ただ当のエレオノーラは困惑しているようだな。



「え、あー、いや、嬉しいんだけど怖いっていうか、あたしが好きにやっちゃうとまたダメにしちゃうんじゃないかとか……」


「ならばわしやクラウディアに相談しながら進めればよかろう。何も全てを一人でやれと言っているわけではない。指示はせぬが相談にはのるからのう」


「ホント!? ああ、じゃあまたその時はお手紙出すわ!」



 そうだな。私のほうからも気に掛けるようにしよう。

 以前までのエレオノーラは私や他のエルフにも頼るようなことをしなかったのだ。だから一人で悩んで失敗ばかりしていた。

 それをまた繰り返すわけにはいかない。と、エレオノーラ自身が一番思っているだろう。


 おっちょこちょいな性格を考えればどうせまた失敗したり躓いたりするのだろうが、その時はちゃんと力になれるよう、私も密に連絡をとるようにしないといけないな。

 フッツィル様ばかりにご面倒かけるわけにはいかない。



「というか後期の塔主総会で【春風の塔】はDランクになるじゃろ。その時のために塔構成を考えTPをどう使うか考えておけ」


「Dランク……かぁ……私なんかが。ホントに行くのかしら」


「そりゃ行くじゃろ。そうなればDランクの侵入者が入るようになるし下手な構成にしていれば一気に攻略されるからのう。そうならないよう今から頑張るのじゃな」


「うへぇ……わ、わかった。頑張ってみるわよ」



 うむ、やる気が出たようで何より。

 エレオノーラが【春風の塔】をどのような塔にしていくのか、私も楽しみになってきたな。


 このまま解散の流れかな、と思っていたところにフッツィル様から一つ申し出があった。



「クラウディアよ、エレオノーラの相談もそうなのじゃが、この機にエルフ塔主の互助会めいたものは作れぬか?」


「互助会、ですか? 同盟ではなく」


「元よりお主らはエルフで固まると目立つからと誰とも同盟を結ばずにおるのじゃろ? それでクラウディアが中心となり手紙のやりとりだけで済ませていると」



 我々エルフが人間の社会で狙われるというのは周知の事実だ。

 それは【魔術師】のような悪人しかり、【忍ぶ者】のような変態しかり。


 だからこそ『集まっている』と布告するような″同盟″という形はとりづらい。

 別に同盟を組まずとも相談はできるし塔運営に影響はないからな。まぁ同盟を組んだほうが色々と楽にはなると思うが。


 しかし滅多に会わず相談し合える環境にないからこそ、エレオノーラが危機的状況にあってもろくに手助けできなかったのは事実。


 私から探ることもせず、エレオノーラから相談を受けることもなかった。

 固まらないことを意識しすぎた結果、関係性を薄めすぎてしまったのだ。



 おそらくフッツィル様が仰っているのはそうした薄い関係性の改善だろう。



「出来れば五人で定期的に集まれるような会合ができればと思うんじゃが。食事会などでもよいし」


「おおっ!?」


「五人ですか? ということはフッツィル様のことを……」


「うむ、それを考える前にクラウディアに一つ聞きたい。言えなければ言わんでもよい」


「はい」



 フードの端から見えるフッツィル様の目が険しいものとなった。



「お主は諜報型限定スキルかそれを察知するタイプの限定スキルを持っておるか?」


「……微妙なところですね。自塔限定ならば諜報が可能、といった感じです」


「なるほど。さすがに虫が良すぎたか」



 ホッとしたようながっかりしたような表情だ。諜報を警戒しているということか?



「実は【青】のコパンが諜報型限定スキルを持っておってのう、わしの正体を知っておったのじゃ。おそらくこの三人の会談を覗いたのだと思う」


「ええっ!?」


「なるほどそれで【霧雨】と手を結び仕掛けてきたのですか……合点がいきました」


「他にも諜報型限定スキルを持っている連中はいるはずじゃ。わしの正体を知る者もおるじゃろう。表面化はしていなくともな」


「だからエルフが集まる中にフッツィル様もご参加すると」


「表立っては隠すぞ? フードも被るつもりじゃし。ただ過敏に隠れる必要性がなくなったというのと、正体を知った者を釣り上げたいという狙いもある」



 ああ、そういうことか。

 フッツィル様がハイエルフだと知られれば悪人が近寄って来てもおかしくはない。我らエルフ以上に狙われるだろう。


 しかし近寄ってきたということは『知る術』を持っているということ。

 それは即ち諜報型限定スキルに他ならない。


 フッツィル様は″敵″を見極めたいということか……自らが囮になって。



 そして我らが集まっている時に覗く者がいるとして、私にそれを察知するような限定スキルがあれば一気に敵が炙り出せる。質問の意図はそれか。

 まぁ【青】の覗き見に気付けなかった時点で分かっていらっしゃっただろうがな。一応聞いただけだろう。



「なるほど、承知しました。そういうことでしたら私のほうからアリシアとミケルに持ちかけてみます」


「すまんが頼む。二人にバラすのはわしが直接やるからお主は黙っていてくれ」


「分かりました」



 フッツィル様はその互助会を行うことでエルフ塔主の結束と安全を培おうとしている。

 仮に目立ち、悪人に狙われようとも一番の標的となるのはご自分だからと。

 それは正しくエルフの上に立つハイエルフ様のお考えに違いない。



 しかし――


 悪人が狙うとしても周囲から削るのが常道だ。つまりは我々エルフから。

 ならば我らはフッツィル様の盾となりお守りしましょう。


 一番最初に接敵するであろう我々が″敵″を見つけ、フッツィル様に情報を流す。


 ふふっ、私にとっても非常に価値のある互助会になりそうだな。




一旦ここいらでエルフをまとめておきます。次話ではありません。


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