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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第十二章 女帝の塔はBランクになります!
241/486

232:同盟戦の反響が出始めています!

第十二章開幕。



■チーノス 16歳

■Eランク冒険者 パーティー【一光一影】所属



 二年目を迎えた【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】だが、どうやら落ち着くつもりはないらしい。


 昨年度どれだけギルドでその名前が挙がったことか分からない。

 それほどのニュースをギルドに与え続け、人気を得続けてきた。



 501期の新塔主も入るしさすがに話題の中心はそっちに移るかな、と思っていたのも束の間。

 新塔主の塔がオープンして早々にAランクの【傲慢の塔】同盟を斃すというこれまで以上の快挙を成し遂げる。


 やっぱり本年度も一番人気は【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】なのか、そんな空気がギルドにあった。


 案の定その後も、新塔主で第二位だった【浄炎の塔】が【世沸者の塔】に斃され、新塔主で第一位の【六花の塔】が【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】に加入。


 新塔主同士の塔主戦争(バトル)や【春風の塔】【反逆の塔】の躍進などもニュースに挙がったが、それでも【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】のインパクトには敵わず。

 依然としてその人気が衰えることはなかった。



 そこへもってきて今度はAランクの【魔術師の塔】同盟を斃したというニュースが飛び込んできた。

 ギルドが大騒ぎになったのは言うまでもない。


 俺は後から知ったが、どうやらその塔主戦争(バトル)の直前にBランクの【霧雨の塔】が【魔術師】同盟に加入したんだそうだ。


 そこから数日後に【魔術師】同盟が負けて消えた。

 つまり【魔術師】側が【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】と戦うつもりで【霧雨】を同盟に引き入れ、速攻仕掛けたにも拘わらず【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】が返り討ちにしたと、そういうことらしい。



 Bランクの先輩曰く「わけがわかんねえ」そうだ。驚くと言うより困惑していた。


 【傲慢の塔】同盟も【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】から見れば格上に違いないが、【魔術師の塔】同盟とは大きな差があるという。


 【傲慢】と【魔術師】だけ見ても同じAランクとは言え昨年末のランキングでは15位と9位であり難易度は全く別物らしい。俺にはたった6位の差にしか見えないが実際に挑戦している人から見ればまるで違うのだそうだ。


 同盟塔を見比べても【死屍】【雨林】【砂塵】【猫髭】の【傲慢】同盟に対し、【青】【霧雨】【宝石】の【魔術師】同盟のほうが明らかに上……らしい。


 俺としては四塔と三塔だしなぁという感じなのだが、確かにBCCDとBBCだからまぁ納得できるところもある。



 加えて【魔術師】同盟がメルセドウ王国の貴族とのことで、【赤の塔】のアデルとの確執も話にあがっていた。


 同じ国の貴族同士で戦うとか俺からすれば内戦と同じように見えるが、本当のところはどうだか分からない。

 いずれにせよメルセドウ王国のもう一つの勢力、Aランクの【節制】同盟が今後どう出るか、注目されているらしい。


 大変だなぁメルセドウ王国も。貴族同士で争うとか、そんなのバベルに持ち込まないで欲しいもんだ。



 【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】はこれまでの塔主戦争(バトル)、ほぼ一貫して『差別主義者への断罪』みたいに謳われているが、今回の塔主戦争(バトル)がそれと同じなのかは意見が分かれている。


 【魔術師】側から仕掛けたのがほぼ確定しているから、おそらく今回は違うんじゃないかというのが主流だ。

 塔主戦争(バトル)を受けたんだからこれも断罪の一貫だろうと言うヤツもいるが、まぁ少数派だと思う。



 何にせよギルドが騒がしいのは変わらず、Cランク以下の冒険者パーティーはこぞってお目当ての塔へ……と言いたいところだが、一報が出た翌日、【赤】【忍耐】【輝翼】の三塔は休みだそうで、挑める塔は【女帝】【世沸者】【六花】に限られた。


 まぁ明日には普通に開いてそうだけどな。塔主戦争(バトル)の翌日に休塔日ってのはよくあるし。


 俺のパーティーはEランクだから【世沸者】か【六花】のどちらかだ。幸い両方とも開いている。

 どっちに行っても良かったが、パーティーで話し合った結果【六花の塔】に行くことにした。



「うわぁ……こうなっちまうのか……」

「いつも人気の塔がさらに人気を集めるとこうなるってことだな……」

「【六花】が【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】に加入して初の同盟戦(ストルグ)ってのもあるしな……」

「これ他のE・Fランクはほとんどガラガラじゃねえの?」



 ともかく大混雑だ。

 FとEランクの挑戦者がどれだけ集まっているのかと。


 Eランクのヤツは【世沸者の塔】にも流れているだろうがあっちはあっちでDランクの挑戦者も大勢いるはずだからな。

 一方こちらはFランクのルーキーが意気込んで押し寄せているわけだ。



 しかしどうしたものか。

 人の波に乗っていけば戦わずして進むことはできる。罠だって前のヤツらが勝手に引っ掛かってくれるだろう。

 楽して二階層あたりまでは行けると思うが……。



「それはそれで危険じゃねえか?」

「だよな。多少は戦っておかねえと感じを掴むことも出来ねえし」

「俺らは俺ららしく慎重にゆっくりやってこうぜ」



 流行りには乗りたいが慎重にも行きたい。着実に実績を積み、戦果を得る。

 うん、俺たちらしいな。よし、じゃあそんな感じで行ってみるか。





■シルビア・アイスエッジ 22歳

■第501期 Eランク【六花の塔】塔主



 【魔術師】同盟との一戦が終わったのが昨日の朝方。

 そこから私はなかなか寝付けず、翌日の塔運営の準備を行い、あとは宝珠(オーブ)を見ながら魔物の召喚リストと塔構成のリストを見比べながら過ごしていた。


 アデル様たちから言われていたのだ。明日の塔運営は覚悟しておけと。

 予想以上の集客になるはずだからそれに備えておけと。


 実際、そのお言葉は正しかった。

 プレオープン1位としてオープンした時も、【浄炎の塔】が消えた時も、【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】に加入した時も確かに大勢の侵入者が訪れたわけだが、今回はその比ではない。



 私は冒険者だったからバベリオのギルドがどのような騒ぎだったのかは想像できる。

 まずあの(・・)【魔術師の塔】が消えるというのが信じられないし、それを斃したのが話題の【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】となればお祭り好きの連中が騒ぐに違いないとな。


 とは言え冒険者の立場で想像できることと、塔主として体験するのでは大違いだ。

 それこそ新年祭の沿道に見られたような群衆が、そのまま私の塔になだれ込んで来るのだ。


 その全てが私の命を狙いに……驚きと同時に恐怖を覚える光景でしかない。


「まぁまぁ、わざわざTPを落としに大勢お見えになられてありがたい限りですわ」とでも言うだろうな。アデル様なら。

 私はまだそんな余裕を持てない。

 これだけの侵入者をどう防ぎきろうかと思案するので精一杯だ。TPのことなど後回しだな。



 一階層などは魔物も罠もリスポーンが間に合わず、多くの侵入者を素通りさせている。

 おそらくFランクの連中も楽々と二階層へ到達するだろう。

 この分では最高到達地点を更新されるだろうし今日中に四階層まで来られてもおかしくはない。


 もしそれで大ボス部屋まで来られるようなら……フェンリル(シルバ)だけに任せていいものだろうか。

 今から魔物の召喚などはできないのでやるとすれば移動させるか私自らがシルバと戦うか、だが……。


 ここまで人が入るのであれば昨日のうちにもっと難易度を上げておくべきだったな。TPは過剰なほどに持っているのだし。



 昨日分けて頂いた報酬TPは明らかに分不相応なものだった。

 私などほとんど働いていないし、その一方でアデル様たちは自塔を荒らされ、眷属を含む多くの魔物を失っている。戦果で言えば百倍以上の差があるのだ。


 だと言うのに報酬は均等に分ける。召喚権利の選択順は最後にして頂いたがなぜか【青竜リヴァルナーガ(★S)】【デュアルドレイク(★A)】というとんでもない魔物を頂いてしまった。

 私なんぞ雑魚敵扱いのBランクの魔物でさえ使いこなせないというのに。



「シルビアさんは後期の塔主総会でDか、下手すればCランクに上がってしまいますわよ。その時の為に魔物を用意し、塔構成を考えておくべきですわ」



 とアデル様は仰っていた。他の皆様も同じようなことを仰る。

 新塔主となってまだ数ヶ月だというのに気の早い話だとは思ったのだが、考えてみれば塔主総会は半年に一度。

 もうすぐそこなのだな、と時の流れの速さに驚いた。


 TPの取得量でランキングが決められるとは聞いた。もしそれがランクアップの基準にされるのであれば確かに【六花の塔】がDランクになってもおかしくはない。Cランクはさすがにないと思うが。


 なにせあの一戦だけで十七万TPだからな……こんなの新米が受け取っていい報酬ではない。



 とは言え頂いたからには有効に使わざるを得ない。

 今後を見据えどのような塔構成にし、どのような魔物を用意すべきか……侵入者が多く入っている今だからこそ、これを参考として考えなくては。


 立派な塔を創り上げ、次にまた同盟戦(ストルグ)の機会があるならば、その時は必ずお力になる。

 足を引っ張り続けるのはダメだ。

 せっかく頂いたTPを無駄にしないよう、私はもっと精進しなければ。




この章は日常編と言いますか内政編と言いますか。そんな感じです。


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