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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
23/486

23:フゥさんにはちゃんとした目的があるようです



「私とドロシーさんは情報を得る手段を探しているのです。私たちは情報戦に弱い。そこを補わなければ高ランクの塔主たちに太刀打ちできないだろうと」


「なぜ高ランクを相手取る? 別に塔主戦争(バトル)の申請が来ても断ればよかろう。徐々に強くなりランクを上げていけばよいのではないか?」


「実はさきほど――」



 私はニーベルゲン帝国の騎士と思われる人に襲撃された事をお話しました。

 おそらくラスターさんが殺された事による報復だと。

 そしてそれは終わりが見えず、ドロシーさんをも巻き込む事態になりかねない。


 バベルの外ですらそんな露骨な襲撃をしてきたのに、『塔』に何もしないわけがない。

 帝国関係者による侵入か、はたまた関係者の塔主による塔主戦争(バトル)か。

 もし無理矢理にでも塔主戦争(バトル)を許可させようとするならば……悪い想像しかできません。


 その為にも情報収集して、誰が敵なのかをはっきりさせておきたいのです。



 ラスターさんは私のプレオープンの詳細をご存じでした。

 おそらく【赤の塔】のアデルさんも情報を得ているでしょう。著名な貴族のようですし。


 新塔主の同期でも情報を集めている人がすでにいる。

 しかし私には伝手がない。それでも情報戦で劣ったままというわけにもいかない。



「だからこそ、フゥさんにお仲間になって頂きたいのです」


「ふむ……なるほどのう」



 フゥさんは顎に手をやり、かなり悩まし気な様子。

 さすがに今日偶然出会った同期の塔主に「同盟を結ぼう」と言われても困りますか。


 ただでさえ、「私たちの同盟は帝国に狙われている」と言っているのです。フゥさんが同盟に入れば自分も狙われるかもしれない。

 そう不安になってもおかしくありません。



「わしも誰かと同盟は結ぶべきだとは思っておった。一人では限界があるし、何より大っぴらにできぬ身なのでな。せめて話せる者が欲しいとお主らにハイエルフである事を打ち明けたのだ。友としてなりうると」


「ではっ――」


「待てい。友となるのはよいが同盟を結ぶかと言われるとまた別の話じゃ」



 友達にはなりたい。ハイエルフである事を明かせても問題なく接する事ができるくらいの友達が。

 同盟も結びたいが、それは『誰かと同盟を結ぶべき』という考えで、それが友達とは直結しない、と言います。



「わしは塔主となり里から出る事になった。これも里の連中から猛反対されたが神の意思となれば塔主にならざるを得ん。まぁわしは里に籠っておるのが嫌だったからちょうど良かったんじゃがの」


「はぁ」


「そしてせっかく塔主となったからには目標がある。その為に同盟者は厳選しなければならんのじゃ」



 塔主でしか果たせない目標、ですか。

 私にはそんな大それたものはありません。ただ生き抜く為に精一杯やっているだけ。

 目標と言葉にするフゥさんはとても立派に見えました。



「その目標っちゅーのは聞いてもいいんか?」


「うむ。聞いてどうにかなるものでもないしのう。わしは――【精霊王】に会いたいのじゃ」


「「精霊王?」」



 ファムや土精霊(ノーム)といった精霊、そしてフェアリーやピクシーといった妖精。

 元々は共に『精霊界』という世界に住んでいる種族(・・)だそうです。


 この世界と共にあって、別の場所にあるのが『精霊界』。それは身近で遠い世界。

 そこの主が【精霊王】という存在だと。



「いくら精霊と近しいハイエルフであっても精霊界には行けぬし、精霊王と会おうなぞ夢のまた夢じゃ。しかし――塔主には『召喚』がある」


「召喚って……そんな存在を呼べるんか? 世界の王なんやろ?」


「分からぬ。しかし『魔物召喚』として精霊や妖精が呼べるのじゃ。天使とて『魔物』として召喚できる。となれば精霊王とて召喚出来てもおかしくはない」


「言われてみればそうかもしれんけど……」


「過去の実績がないので何とも言えぬが、可能性があるとすれば『特定の塔』の『固有魔物』じゃろうな」



 固有魔物は『その塔でしか召喚できない魔物』の事。

 それくらい厳しい条件でなければ召喚できるとも思えないとフゥさんは言います。



「【精霊の塔】とかいった分かりやすい塔があればよいのじゃが、あいにくとそんな塔はない。現存する塔でわしがもしやと睨んでおるのは……【聖の塔】【世界の塔】【魔術師の塔】ってとこじゃな。可能性は低いが」


「うわぁ……SランクとAランクやん……」



 現在のバベルにSランクは三塔しかありません。


 【聖の塔】【黒の塔】【世界の塔】。


 それぞれ六元素(エレメンツ)十色彩(カラーズ)二十神秘(アルカナ)に属されます。それくらい歴史的にも実際にも力のある塔だという事。


 そして【魔術師の塔】もまた二十神秘(アルカナ)のAランク。

 Aランクも15塔くらいしかなかったと思います。

 400以上あるバベルの塔の中でも本当にトップクラスの塔という事です。



「仮にその塔が『固有魔物』として召喚できるとして、わしが精霊王に会えるとすれば方法は二つ。

 一つはその塔と同盟を結ぶ事じゃな。それによってわしが会う機会が出来よう。

 もう一つは召喚した塔と塔主戦争(バトル)をし、精霊王を斃した上で勝負に勝つ。これでわしに精霊王の召喚権利が生まれる」


「そういう事かい。どっちもハードル高いなぁ」



 SランクやAランクの塔と同盟を結ぶというのは、ある意味利用されると同じ。

 私にAランクの塔から同盟申請が来ていたように。

 かと言って、そういった塔と塔主戦争(バトル)をして勝つというのは……。



「願わくば後者がよい。精霊王を味方につけられるのであれば、それに越したことはないからのう。ハイエルフとしてはより身近に置きたいものじゃ」


「そりゃあウチらに精霊王を斃して、尚且つ高ランクの塔に勝てっちゅーとるんか」


「わしがお主らと同盟を結ぶならばそこを目指すと言っておる」



 フゥさんが同盟相手に求める条件は分かりました。

 よほどの強さ、もしくは強くなるための資質が必要だと言うことですね。



「プレオープンや塔主戦争(バトル)の内容を聞くに、正直そっちのエメリーならば精霊王をも斃せるのでは、と考えておるが……」


「どうでしょうね。見知った敵ではないので何とも言えませんが」


「エメリーさん、考える余地があるのが異常やねんで? 精霊の頂点とかどう考えたって人の斃せるもんやない。ジータかて無理やろ」


「普通ならばな。しかしファムから聞く限りエメリーはすでに常識の範疇にない。じゃから可能性を感じている反面、現時点で同盟を結んでいいものかと悩んでおるんじゃ」



 エメリーさんを褒められて、私としては嬉しい気持ちもあります。……褒められてるんですよね?


 でもフゥさんじゃないですが、エメリーさんならば誰にだって勝てそうな気がします。少なくとも負けるイメージは湧きません。

 竜とか斃せるって言ってましたしね。本当に一人で斃せるんですかね?



「これでわしの塔で召喚できるのであれば話は早いんじゃがのう」


「無理なんやろ? 【輝翼の塔】って精霊王が翼持っててもおかしくなさそうやけどな」


「わしも少しは期待したんじゃ。しかし無理じゃった。妖精系は召喚できても、精霊系は見事に召喚不可じゃな」


「ウチは土妖精(ノーム)だけやな。妖精はシャルちゃんトコもおったよな?」


「はい。うちも精霊系は無理ですけど、妖精系ならピクシーから妖精女王(ティターニア)まで――」


「「妖精女王(ティターニア)!?」」



 え、あれ? ドロシーさん、私が『固有魔物』で妖精女王(ティターニア)召喚できるの知りませんでしたっけ?





■アデル・ロージット 17歳

■第500期 Dランク【赤の塔】塔主



『神様通信

 【輝翼の塔】が【女帝の塔】【忍耐の塔】と同盟を結びました!

 以上お知らせでした! 神様より』



「あらあらあら」


「おおー、これは驚きだな」



 第500期新塔主、プレオープン成績の二位・三位・四位が同盟を結ぶと。

 これはちょっと考えつかなかったですわね。わたくしもさすがに驚きです。


 【女帝の塔】と【忍耐の塔】の関係性も不明でしたが、一応初期配置が隣同士であったことから接点があると言えなくもないです。


 しかし【輝翼の塔】は神定英雄(サンクリオ)を呼び込んだという以外にさして情報もなく、階層構成も不明な点が多いままという印象。だというのにプレオープン四位という好成績でEランクになりました。


 【輝翼の塔】からすれば【女帝】も【忍耐】も目の上のたんこぶと言っても良いはずです。

 同期にしてすぐ上に居るのですから。敵対してもおかしくはない。


 しかしそうはならず、おそらく【女帝】側から申請して【輝翼】が受理をした……その理由は。



「こりゃ【赤の塔】包囲網か? ははっ!」



 ジータの言うことが尤もに聞こえますわね。

 二位から四位で同盟を結び、一位の【赤の塔】に対抗すると。

 世間的にもそう見られるでしょう。


 しかしこちらはどことも同盟を結んでいない。それで仕掛けてくるとすれば……。




三塔同盟。

防御と戦略の【忍耐】、情報収集の【輝翼】、規格外戦力エメリーの【女帝】。

それをどの塔もよく把握していないというのが強みですね。


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