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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
22/486

22:それは色々と衝撃的な出会いでした



「うわぁ……シャルちゃん、あんな子供にまで知られてるばかりか、(たか)られんねんな……有名人は大変やわ……」



 ドロシーさん、他人事みたいに言わないで下さい。

 エメリーさん、ムッとしないで下さい。



「ええっ! あんた【女帝】さんかい!? 新塔主の!? いやホントに四本腕のメイドさんいるじゃねえか! あんたなら歓迎だ! 食っていってくれよ!」



 屋台のおじさんの食いつきがまたすごい。

 エメリーさん、今は「侍女です」とか言ってる場合ではありません。

 肉と野菜の焼き串ですか? いやまぁ美味しそうですし食べたいですけど先に子供の方を何とかしないとダメですよねこれ。


 そう思っていると……。



「頼む【女帝】! 同期のよしみじゃろ! 【忍耐】の方でもよいわ! あとで返すから!」


「えっ、ウチの事まで知っとるんかい。って言うか同期って……」


「あっ! もしかして【輝翼】の?」


「そうじゃ! だから同期と言うておろうが!」



 思い出しました。

 内定式で見かけたローブの子供。神定英雄(サンクリオ)でお爺さんを呼び出していましたね。

 おまけに【輝翼の塔】はEランクに上がった、同期の中でも上位の塔主です。



「ええっ! 【輝翼】ってこんな子供だったんか! 総会の画面じゃ顔だけやから分からんかったで! そう言えばフードはそのままやなぁ」


「だれが子供じゃ! お主の方が子供じゃろう! ドワーフの小娘が!」


「小娘ちゃうわ! ドワーフだからそう見えんねん!」



 わーわーぎゃーぎゃー言い出したので、仲裁しつつお金を貸して、私たちも屋台の串焼きを買いました。

 さっさとどこかに逃げましょう。目立ち過ぎです。





「いやすまんな【女帝】。わしもうっかりしておった。金も持たずに買ってしもうてのう」



 そんな事を喋りつつ美味しい串焼きを頬張ります。

 うん、久しぶりにこういうの食べました。エメリーさんの食事も美味しいですけどたまにはいいものです。


 そのエメリーさんも意外と慣れている感じで一緒に食べています。

 侍女さんが屋台の串焼きを食べるって違和感がすごいですけどね。



 それから場所を変えてお話します。

 【輝翼】の方が行ってみたいお店があるとかで、そこの個室で喋りながらお食事しようと。串焼き食べたばかりですけど。


 こちらとしても他の塔主の方と接することなどないので良い機会です。

 これも情報収集の一貫でしょう。

 ドロシーさんも賛成。エメリーさんも頷いていたので大丈夫そう。


 という事で少し洒落たパスタ屋さんに。暗い雰囲気でお酒も扱っているようです。

 ドロシーさんは飲むようですね。私はジュースでいいです。

 ちなみにお金は私の……というかラスターさんのお金で支払うつもりです。



「何から何まで出させてしまってすまんな。帰ったら返すからのう」


「お気になさらず。私もバベルにいて使う機会もないですし」


「シャルちゃん豪快やなー。【女帝】って感じやわー」


「ううむ、恩を受けて黙っているわけにもいかんな。改めて自己紹介しておこう」



 そういって【輝翼】の方はフードを下ろしました。

 現れたのは金色の長い髪に整った顔立ちの子供……なのですが、耳がピンと横に伸びています。



「「エルフ!?」」


「いや、ハイエルフじゃ」


「「ハイエルフ!?」」


「うむ、【輝翼の塔】塔主、ハイエルフのフッツィル・ゲウ・ラ・キュリオスという」


「「名前長っ!?」」


「フゥとでも呼ぶがよい。ちなみに五〇歳じゃからな? 小娘より年上じゃぞ」


「「五〇歳!?」」



 ちょっと混乱していてよく分かりません。

 まずハイエルフって言うのがエルフとどう違うのかが分かりません。

 エルフはすごく長寿の種族なので子供の見た目で五〇歳って言うのは何となく理解できるのですが……。



「ハイエルフって伝説の中の存在とちゃうん? ウチ、実在しないもんと思っとったけど」


「エルフの中でもたまにしか生まれんからのう。ただでさえエルフは子を()しにくいのにハイエルフは千年に一度とかそんなもんらしい。じゃから伝説と言われても嘘ではないな」


「普通のエルフとは何が違うのですか?」


「うーむ、エルフ以上に長生きするとか、その分成長が遅いとか、魔力が高いとか色々とあるが……」



 そう言ってフゥさんは指先を上に向けました。

 するとその指先は暖かな光を放ち始めたのです。

 いえ、まるで小さな光が集まっているような……魔法ではないと思います。これは……。



「こうして精霊に愛されるというのが一番の違いかのう」


「精霊やて!?」


「え、それが、精霊……なのですか?」



 私の知っている精霊というのは火精霊(サラマンダー)土精霊(ノーム)のような存在です。

 生き物として形作られた……だからこそ『魔物』として召喚の対象になるのでしょうが。



土精霊(ノーム)などは『大精霊』と呼ばれるものじゃ。こいつらはファムと言うて、言わば精霊の赤ん坊。『小精霊』未満といった所かのう」


「精霊の赤ちゃん……ですか」


「ファムはそこら中におるんじゃが、エルフであってもそれを感じる者はおらん。わしは今、こうして集めて見やすくしておるが、こんな事ができるのもハイエルフの特徴と言われておる。逆に言えばファムを見れて、接する事ができるからハイエルフと見なされておるわけじゃな」



 はぁ~、すごい人だったのですね、フゥさんは。

 さっきまで屋台で騒いでいた子供にしか見えませんでしたけど。



「いやでも、そんな事ウチらにバラしてええんか? めちゃくちゃ重大な秘密やと思うで? ウチら仮にも塔主同士やし」


「誰にでも話すような真似はせん。ハイエルフどころかエルフという事さえ隠しておるからのう」



 ここバベリオは国に属さない自治都市。差別は薄いと言っても、ないとは言えないかもしれません。

 だからこそエルフであるとも言わないでおいた方がいいというのは分かります。

 ましてやフゥさんはハイエルフ。尚更隠しておくべきでしょう。



「ただお主らはそれを知って利用するような真似はしないであろう? 悪人とはほど遠い」


「まぁバラしたり情報売ったりするつもりはないけどもやな……」


「ドロシーはお喋り友達のソリッドヘッジホッグに毎朝起こされておるのだろう?」


「んなっ!? なんでそれをっ!?」


「シャルは毎晩大きな風呂でプカプカ浮いておる」


「ちょ!」


「そんな間抜けな連中が悪人なわけないじゃろ」



 なんで私のひそかな楽しみを知ってるんですか!? エメリーさんがいない時じゃないとやらないのに!

 ちらりと隣を見れば「お嬢様、わたくしの知らない所で何やってんですか?」とでも言っているような目です。

 やめて! 見ないで下さい!



「ふふっ、言ったであろ? ファムはそこら中におると」


「「!?」」


「お主らのそばにいるファムがそう言ったのを聞いただけじゃ。わしが見たわけじゃないから案ずるでない」



 まさかそんな事が……ちらりとエメリーさんを見ます。

 首を横に振っています。エメリーさんも気付いていない。<気配察知>で気付けるような存在ではないと。

 エメリーさんにも気付かれず私の事を知れるだなんて……。



 つまりファムというのは――とんでもない諜報員って事じゃないですか!



「ドロシーさん、フゥさんは……」


「ああ、ウチもそう思っとった」


「エメリーさん」


「賛成です」


「ん? なんじゃ?」



 私はフゥさんを向いて姿勢を正します。



「……フゥさん、私とドロシーさんの同盟に入ってくれませんか?」




フゥさんは1話から登場してたんですけど性別とかは曖昧にしてたんですよね。

一度神様が「ちゃん付け」で呼んじゃいましたけど。


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