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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
20/486

20:情報が欲しいです!切実に!



■シャルロット 15歳

■第500期 Dランク【女帝の塔】塔主



 ―――カンッ! カンッ! カンッ!


「よっ! ほっ! せいっ!」



 【女帝の塔】の七階。住居エリアの一角に創られた訓練場で私は杖をふるっています。

 魔法じゃなくて杖で殴っている感じですが。私、<付与魔法>しか使えませんし。


 相手はウッドソルジャーです。模擬戦というわけではなく、真面目に攻撃してきてと指示をしています。


 それを私は斃さなければいけない……。自分で召喚した魔物を自分で斃すというのは何となく可哀想に思えるのですが、斃さないと経験値になりませんし。

 毎度呼び出すウッドソルジャーには「ごめんなさい」と心の中で謝りつつ、杖で殴っています。



 エメリーさんに守られているだけではなく、私も最低限は戦えるようになりたいと言い出したのがそもそもの始まりです。


 最初はエメリーさんに稽古をつけてもらうだけでした。

 でもそれだけではレベルが上がりません。魔物を斃す必要があると。それでウッドソルジャーと実戦するようになったのです。


 とは言え私はレベル1で攻撃手段もない。今では杖で殴れるようになりましたが最初は無理でした。


 そこでエメリーさんのマジックバッグに入っていた黒い短剣――【魔竜短剣】と言うそうです――をお借りして、そこから風魔法を放ち、ウッドソルジャーを斃し続け、レベルをある程度上げたのです。


 ……いや、魔法を撃てる武器、持ち過ぎじゃないですか?

 いくつ神授宝具(アーティファクト)持っているのかという話になりますよ。



 ちなみにヴィクトリアさんもエメリーさんとの模擬戦をやっていますが、ヴィクトリアさんにもエメリーさんが槍をお渡ししています。

 それは【魔竜槍】という水魔法が撃てるものです。真っ黒な槍。

 ヴィクトリアさんは火が苦手という事で水属性のものをと。



 閑話休題。ともかくある程度レベルを上げて以降は、私は杖で戦うようにしています。

 やはり私は<付与魔法>を活かすべく杖を持っているべきでしょうし。短剣の扱いなんて考える余裕がありません。


 この杖も【黒曜賢者の杖】というそうですが、真っ黒の木材っぽい杖でして、かなり固いのです。

 非力な私でも木製のウッドソルジャーを殴って割れるくらいに強い杖。


 まぁ杖の良し悪しなど私には分からないので「エメリーさんが持ってたくらいだから多分すごい杖なんだろうなー」くらいに思っています。



「そろそろウッドナイトでもいいかもしれませんね」


「そうですか? 大丈夫ですかね?」


「アーマービーやサンドアントなどと戦うのも手ですがお嬢様の場合、対人を意識した方がよろしいかと。ピクシーでもよいとは思いますが」



 ピクシーは小さい女の子の妖精なのでそれを杖で殴るのはちょっと……。

 魔法使いと戦うという意味ではありですけどね。いくら弱くてもピクシーは勘弁してもらいたいです。


 ちなみに今のステータスはこんな感じ。



=====

名前:シャルロット

職業:【女帝の塔】塔主

LV:1 ⇒10

筋力:F ⇒E

魔力:E-⇒E

体力:F ⇒E-

敏捷:F-⇒F

器用:F+⇒E-

スキル:付与魔法、礼儀作法(New!)

固有スキル:統率

=====



 全体的に一段か二段は上がりました。杖で殴っているせいか筋力の伸びがいいです。

 まだまだ弱いですけどね。毎日訓練して少しずつ強くなるしかありません。


 それと<礼儀作法>を身に着けました。これは素直に嬉しい。

 毎日の淑女教育の成果です。エメリーさんの<教育>の賜物だとも思います。





 オープンから半月が経ちました。

 新人のDランクという事もあるでしょう、最初の数日はかなり侵入者が多かったです。

 ですが今は日に二〇組、百人くらいじゃないでしょうか。落ち着いてきた感があります。


 さすがに慎重に探索を進める人が多くなってきました。マップを自作して持っている人もいます。

 まぁ色々と微妙に毎日変更はしているのですが、それでもマップを作れば傾向と対策が練れますからね。警戒されてしまいます。



 第一階層の城門前広場には二~三組のパーティーで挑む光景が増えました。

 ウッドソルジャーとナイトとは言え、さすがに一組のパーティーで三〇体もの魔物を相手にするのは厳しいのでしょう。


 複数パーティーで分担して攻め、そのままの流れで二階層のエントランスに突入。

 エントランスのピクシーを速攻で斃す、というのが常套手段のようです。


 そこから先は大人数での探索に向いていないので分かれるようです。

 そして三階層まで行ってもそこで苦戦すると。未だに三階層を突破する人は出て来ていません。



 三階層は牢獄エリア。

 檻で創られた通路と牢屋を巡りながらゴールを目指す創りです。


 それの何が難しいのかと言うと、一つは三階層の主戦力である人面蜘蛛。そして三階層のボス的な配置になっているアラクネ。


 これはヴィクトリアさんの<統率>下にありますので通常より強くなっているはずです。

 おまけに人面蜘蛛に関してはヴィクトリアさんが<配下召喚>で出した魔物ですのでTP消費がなく数も多いと。


 アラクネも<召喚>できるようですが魔力の消費も考えて、三階層は人面蜘蛛だけです。ここのアラクネは普通に200TPで出しています。



 ともかくそこら中に蜘蛛がいて蜘蛛の巣がある。おまけに遠くにアラクネが見える。

 これだけで普通のDランクパーティーは尻込みします。



 難しいという二つ目の理由が罠です。

 中には意気揚々と探索に挑み、蜘蛛を斃していくパーティーもいます。そうなると罠の餌食。

 スライムが何体も降ってくるような罠もあります。蜘蛛の巣に隠れて見えにくい罠も。


 ここら辺はドロシーさんがテンション高く配置していました。……私の塔なんですけど?


 全体が檻で出来た階層というのは、遠くまで様子が見えるという点では侵入者が有利ですが、目の錯覚を起こしやすく罠を見落としやすくなるというこちら側の利点もあります。


 ……まぁ完全に副産物だったのですが。そこまで考えていたわけではありません。


 しかしドロシーさんにとっても良い発見だったようで、さっそく【忍耐の塔】に取り入れようとしていました。

 【忍耐の塔】ですと【牢獄】というわけにはいかないと思いますが。何かしらで利用するのでしょう。


 そういったわけで、ある程度順調には塔の管理ができているという印象です。


 魔物の再配置、罠の再配置などを差し引いてもTPは黒字。

 侵入者の撃破率は激減しましたが――エメリーさんが殲滅しすぎてただけです――滞在時間も長く、ダメージもある程度は稼げていたので、10,000TPに盛り返しました。


 所々手直しをしたい箇所もありますので、まずはそちら優先で使いますかね。

 またクイーンを召喚しておきたい気持ちもありますが……名付けを考えるともっとTPが欲しいところです。


 そうして宝珠(オーブ)に触れて眺めていると――



「お、また塔主戦争(バトル)ですか。今度はEランクの【博打の塔】とFランクの【海鳥の塔】ですって」


「多いですね。そういう時期なのでしょうか」


『そうらしいなー。ウチにも結構申請きとるで』


「ドロシーさんいつの間に……ナチュラルに通信入ってきますね」



 こちらにもいくつか塔主戦争(バトル)の申請はきています。

 同盟の申請は【忍耐の塔】と結んでから激減しましたけどね。



 ドロシーさん曰く、塔主戦争(バトル)をしたがる理由というのは大きく二つあるそうで。


 一つは『相手をどうにか潰したい』時。

 邪魔だから消したい、名声に繋がるから消したい、ライバルを減らす為に消したい、など。


 もう一つは『TPを手っ取り早く稼ぎたい』時。

 普通に侵入者を斃しているだけでは遅い。宝珠(オーブ)に籠める魔力もない。お金もない。

 だから塔主戦争(バトル)で一気に稼ごうとする。それが命を懸ける事になっても。



『TP不足でいずれ侵入者に殺されるのが目に見えてたら塔主戦争(バトル)に賭けてもおかしくないやろ。実際今回は500期Fランクの【海鳥】が499期Eランクの【博打】に喧嘩うっとるわけやし』


「なるほど」


『低ランクの塔主戦争(バトル)なんかほとんどTP目的やろうな。高ランクの場合だとまた事情が違うんやろうけど』



 高ランクの人がTP目的で低ランクに塔主戦争(バトル)を仕掛けるっていうのはありえませんからね。

 そういう場合は『消しておきたい』という感じでしょう。


 まぁ私も目立つ立場にいるので『消しておきたい』リストに入っているのでしょうが……上のランクの方々から『お誘い』とかありますし……。



 と、そんな事を話していると――



 ――ピコン、ピコン、ピコン


『神様通信

 本日行われた塔主戦争(バトル)にて【赤の塔】が勝利!

 【駿馬の塔】が消えました! 以上お知らせでした! 神様より』



「おおー、【赤の塔】勝ちましたか」


『Cランク相手にようやるわ。【駿馬の塔】かて十年くらい塔主やってたんやろ? それをルーキーが斃すなんてなぁ、さすがやわ』


「ジータさんが戦ったんですかね」


『どうやろな。ウチらそこら辺の情報を得るのが苦手やからなー。想像しかできひんし』



 私もドロシーさんも友人もいなければ伝手もないですからね。

 【赤の塔】がどんな感じの塔で、どう戦っているのかなど知る由もありません。



「同盟を増やす事も考えないとダメですかねー」


『せやなー。信用できて、尚且つ情報戦に強いのがおれば……ってそれを探る術もないやん、ウチら!』


「あはは……耳が痛いです」


『どうしたもんか……あ、今度バベルの外行く予定やん? その時に聞き込むとかどっかに依頼するとか』



 なるほど、それも手ですか。

 依頼するにしてもラスターさんから拝借したお金がいっぱいありますからね。多分いけると思います。


 ……ただどこに依頼するのかが分からないんですけど。




エメリー「転移門さえなければ忍び込めるんですがね」

シャル「やめてください。神の裁定者に消されます」


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