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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第十章 女帝の塔の日常は何かと忙しい!
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187:世沸者の塔vs浄炎の塔、始まります!



■エキル 19歳

■第501期 Eランク【浄炎の塔】塔主



「じゃ、じゃあダリア、頑張ってね!」


『相変わらず緊張しぃだねぇ。アンタは塔主らしく玉座でふんぞり返ってりゃいいんだよ』


「う、うん、ドモヴォーイ(ヴォーイ)も頑張って!」



 僕は一階でスタンバイしているダリアとヴォーイに声をかけた。

 ドモヴォーイはCランクの小さな亜人だ。眷属化していて部隊の魔物の指揮を任せている。

 今回は主に魔物の声を集めて僕やダリアに伝えるのが仕事だ。


 他にもコボルト(F)やレッドコボルト(E)を合わせて五十体。それとウィスプ(F)とファイアウィスプ(E)を念の為に二十体用意し攻撃陣としている。


 見れば分かるとおり、戦闘はほぼダリア一人。他はヒント探しや情報収集のための魔物たちだ。

 【世沸者の塔】が小部屋ばかりの構成ということで大きな魔物は連れて行けない。



 その攻撃陣は転移門から少し離れた場所に陣を布いている。最前線はもちろんダリアだ。

 そうして準備をしているとついに二の鐘が鳴った。



――カラァン――カラァン――



『二人とも準備はいいかなー?』


「は、はい!」『は、はい!』


『じゃあ始めようか! 交塔戦(クロッサー)! 【世沸者の塔】対【浄炎の塔】! 塔主戦争(バトル)スタートっ!』



 いよいよ塔主戦争(バトル)が始まった。

 ダリアは杖を転移門に向け、入って来る敵を……


 ……入って来ない。一向に敵が侵入して来ない。



『エキル、ウィスプを一体、侵入させるよ。画面で見てておくれ』


「は、はいっ」



 僕はウィスプの様子を画面で見る。すると……【世沸者の塔】の一階、見える範囲に敵はいない。



「ダリア! 誰もいないよ!」


『あいよ、やっぱり防衛策で来たようだねぇ。じゃああたしらも侵入するよ』



 これは事前に言われていたことだ。

 最初に向こうの攻撃陣を潰せればそれでよし。

 しかしそもそも【世沸者の塔】にそこまで攻撃の手札がいないとも考えられる。


 【世沸者の塔】は武力で崩すことのできない鉄壁の塔。その強みは防衛力にこそある。

 だからこそ交塔戦(クロッサー)であっても攻撃せず、全力で防衛することもありうると。


 そうなると注意すべきなのは道中の罠だ。謎解きギミックに混ぜて侵入者を討伐するための罠。それでこちらの攻撃陣を削りに来る。


 その上で上層に集めた戦力を一気にぶつける。

 完璧に防衛しきった後に攻めるつもりだろう。……とダリアは言っていた。



 であればまずは罠を警戒しつつ謎解きを進めるのみ。

 ダリアさえ上層に辿り着けばどんな戦力を集めたって無駄だ。

 仮にBランクが十体いたってダリアの強力な範囲魔法の餌食だし、Aランクが混じっていてもダリアなら勝てる。


 僕は【浄炎の塔】が攻められないのをいいことに、少し気を緩めてしまった。



 ――それがいけなかったのかもしれない。





■ノノア 16歳 狐獣人

■第500期 Dランク【世沸者(よわきもの)の塔】塔主



 【浄炎の塔】は強い塔だと思います。新塔主とは思えないほどの戦力を秘めていると。

 それを上回った【六花の塔】はもっと異常だと思いますが、アデルさんは一体どんな指導をしたのでしょうね……聞くのも恐ろしい気がします。


 【浄炎の塔】の強さの原因はやはり【荒天の魔女】ダリアさんの存在。それが全てといっても過言ではありません。


 塔運営のノウハウを知っていて最初から付きっ切りで塔主をサポートできる体制というのは、それだけで他の塔の何倍も有利になることでしょう。

 しかもダリアさん自身が火魔法と風魔法のスペシャリスト。英雄級の魔法使いです。


 私からすれば一年前の【赤の塔】や【輝翼の塔】と戦うようなものであり、今の【世沸者の塔】であっても戦いたいとは思いません。


 防衛には自信があるんですけどね。

 三階層までは一応創りこみましたし。



 ……そうです。まだ四~六階層は空っぽなのです。だから余計に戦いたくなかったのです。



 一階層分の謎解きを考えるだけですごく時間が掛かるんですよ。そんなポンポン創れるものじゃないんです。


 毎日、案は色々と考えるんですよ? それを組み合わせて形にするのに時間が掛かるんです。

 使えるギミックの画面を開いてうんうんと唸るのが日常なのです。

 最近はディーゴも一緒になって考えてくれたりしていますが。



 そんなわけで実質三階層分の【世沸者の塔】なのですが、これを一から攻略しようとした場合、丸一日では終わらないんじゃないかと。


 例えどこかの国の文官さんが団体で乗り込んできても、一日では不可能だと思います。

 仮にダリアさんが文官何人分もの頭脳を持っていたとして、人海戦術で魔物にヒントを集めさせても厳しいのではないでしょうか。

 一応そのくらいの自信はあります。私ごときが烏滸がましいですが。



 とは言え油断はできませんし、私の持っている戦力など同盟の皆さんと比べれば全然ですし……と思っていたのです。



『何を言っておる。向こうの戦力は教えたじゃろ。これとノノアの戦力を見比べてみい』


「…………あっ、そういうことですか」


『分かったか? ではそれを以ってどう戦う?』


「えっと、まず――」





 神様の号令がありましたが、転移門から敵が入って来る様子はありません。

 やっぱり待ち構えてますか。シャルロットさんの【強欲の塔】戦を見ていて正解ですね。あれと同じです。


 向こうは私の攻撃陣を潰したい。つまり自塔に攻撃陣を入れたくない。

 それは攻撃陣にダリアさんがいるという証拠であり、戦闘の全てをダリアさんに依存していると言っているも同じです。

 だから不安の残る防衛陣にはなるべく戦わせないよう、こちらの攻撃陣を潰したいのだと。



 少しすると一体のウィスプが侵入してきました。先遣ですね。

 それからダリアさんを先頭に魔物の群れが次々に入ってきます。

 陣容はフゥさんから言われているのと同じですね。


 魔物たちはダリアさんの指示で方々へ散っていきます。コボルトなどを使ってヒントを集めるようですね。


 魔物の指揮官にドモヴォーイがいますが、それがどれほど統率できるかが一つの鍵でしょう。

 冒険者ギルドなどで情報を集めていれば一階層の半分程度はすんなり攻略できると思いますが……。



『さて、【荒天の魔女】ダリアのお手並み拝見ですわね』


『【世沸者の塔】に神定英雄(サンクリオ)が入るのは初やからな。どうなるもんか』



 神定英雄(サンクリオ)が入るのも初ですが、交塔戦(クロッサー)も初なんですよ。怖いです。

 今までは一人で戦うなら攻塔戦(アディケイト)の防衛側だけでしたしね。



『ノノアよ、どのあたりで仕掛けるつもりじゃ』


「調理場あたりを考えていますが……」


『えっ、二階層に上げないんですか?』


「や、やっぱり早いですかね。二階層だと移動が見つかりやすいと思ったのですが……」



 あとは私の心の平穏のために早めに仕掛けたいというのもあります。正直そっちの方が大きいです。



『ウチは二階層の第四応接室あたりがいいと思うけどなあ』


『わたくしは第三貴賓室あたりでもいいと思いますわ』


「に、二階層の最後じゃないですか。そ、そこまで粘るんですか?」


『粘ったほうが効果的なのはそうじゃろうな。ただタイミングが難しくなるかもしれぬ』


『私はノノアさんの好きにやるべきだと思います。これはノノアさんの戦いですし、もし間違っていればその時に私たちが言えばいいのですから』



 シャルロットさん……ありがとうございます。

 でも皆さんの意見も参考になるので本当に助かります。


 じゃあ私も我慢して二階層まで粘りましょう。長期戦になってしまいますが。

 さてどこのタイミングで仕掛けるか、ですね。緊張は続きますが頑張りましょう。




このバトルのポイントは何をどうして勝つとかではなく、その後の話の展開です。


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