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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第二章 女帝の塔はオープン後も忙しい!
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19:オープン直後は色々と慌ただしいようです

第二章開幕ッ!



■モコルフスキー 34歳

■第499期 Fランク【羊毛の塔】塔主



「メエエエエェェェ!!!」

「くそっ! 虎の子のホーンシープが!」



 いきなり塔に乗り込んで来た侵入者のパーティーに、俺の魔物たちは次々やられていく。

 事前に調べられていたのか罠も回避され、一階層、二階層と……。


 こんなのFランクなわけがない! 俺にだって見ただけで分かる!

 今まで侵入してきたヤツらとは訳が違う!

 きっとFランクを隠れ蓑にした傭兵団か何かだ!


 にしたって今は500期の新塔主がオープンしたばかり。狙うならそっちに決まってるだろ! なんでこっちに来る!


 一年間、耐えに耐えて、やっと500期の連中が入って来たんだ!

 これで新人狩りのように狙われる事はなくなる、そう思っていたんだ! なのになぜ!



「くそおおおお!!!」





■オルテリッヒ 28歳

■Aランク冒険者 パーティー【一心一天】所属



「順調だな。これでプレオープンと合わせてバベルジュエルが十二個か」

「依頼する出費は痛いが普通に買うより断然安い。ある意味稼ぎ時だ」

「失敗するヤツらもいるけどな。ったく」



 バベリオの酒場、その個室でパーティーメンバーといつものように打ち合わせをしている。

 若手傭兵団や若手冒険者パーティーに依頼していたその結果報告会みたいなものだ。


 俺たちの主戦場はバベルの中でもAランクやSランクといった最高難易度を誇る場所だ。

 そこを探索する上でバベルジュエルは必須。常に携帯しておく必要がある。



 バベルジュエルを確保する一番の方法は新塔主のプレオープンだ。

 塔管理のノウハウを持たない新塔主の塔は攻略しやすい。


 ただ情報がない中、Fランクの連中に突っ込ませる事になるから失敗もある。

 特に新塔主の中には規格外に強いのが紛れ込んでいる可能性があるからな。新塔主だからFランクになっているだけで。


 今期で言えば【赤の塔】と【女帝の塔】か。オープンからDランクに上がった異例の存在。



 しかしそういったのはごく僅かで、大多数は素人丸出しの新塔主ばかり。

 プレオープンは塔主が死んでも消える事はなく、同じ塔で何度もバベルジュエルを手に入れられる。美味しい機会だ。


 そのプレオープンが終わり、新塔主たちがオープンを迎えた今の時期、バベルジュエルの狙い目は二つに絞られる。



 一つは『プレオープンで死んだ経験のあるFランクの新塔主』。


 大抵がろくに改装できないままオープンを迎える。やっても防備を固めるくらい。死にたくないとただそれだけだ。

 一度攻略された塔は階層の構成や魔物の種類は判明している。そうなればある意味、プレオープン時以上に攻略はしやすい。

 何もせず死を望むヤツも結構いるからな。楽な仕事だ。


 ただ俺たちと同じようにバベルジュエルを狙う連中は多い。

 オープンしたからには早い者勝ちになるのでどうしても競争になる。



 二つ目は『既存の塔のFランク、またはEランク』。


 500期の新塔主がオープンを迎える今、最も油断しているのがそういった連中だ。499期以前の低ランク塔主。


 バベル全体で見れば、Fランクが150弱、Eランクが100弱もある。

 そのうちFランクの90ほどが500期。残りは全て499期以前の塔だ。


 一年、二年と生き延びているのにランクアップできない連中。理由は色々とある。

 挑戦者の邪魔をする事に長けていて、撤退はさせるが斃せない。攻略もされないが戦績はふるわないというケース。

 同盟を結んだ相手が強くて警戒されているというケースもある。援助を受けている可能性を考えれば手を出しづらい。


 しかし大多数は『たまたま生き残っただけ』というものだ。

 隣が美味しい塔だったとか、見向きもされないとか、存在を忘れられているとか、運良く防衛できていたとか。


 そういった塔主が一番油断するのが今の時期。

 一年生き残った。侵入者の目は新塔主に向いている。そう思っているからこそ狙い目となる。



「もうそろそろ打ち止めか?」

「だろうな。あとは地道に集めるしかない。中には攻略できそうなFランクも残るんだろうが」

「そこは調査してからだからな。『狩り』というわけにはいかん」

塔主戦争(バトル)も活発になる時期だしな」



 俺たちは通常営業に戻るか。

 Aランクの塔も増えた事だし、さて、どの塔を狙うか……。





■アデル・ロージット 17歳

■第500期 Dランク【赤の塔】塔主



「オープン二週間で16の塔が消えましたか。多いと見るか少ないと見るか微妙ですわね」


「まぁこの時期の風物詩みたいなもんだからな。弱者は速攻で喰われていくもんだ」


「こちらとしては侵入者が多くて助かる時期ではあったのですがね。さすがに下火になってきましたか」


「オープン直後の勢いまかせで入って来る連中はもうほとんど居ねえだろ。あとは調べつつ、対策を練りつつ攻めて来るんだろうさ。まぁそれが本来の『塔攻略』の姿ではあるがな」


「こちらはじっくり腰を据えて……というのは苦手なのですがね」



 わたくしの【赤の塔】はDランクとなってオープンを迎えました。

 階層が増えたり広くなったりとオープン前は慌ただしかったわけですが、そこは英雄ジータの助言などもあり、予想以上の成果を上げて乗り切れたかなと思います。


 一番の問題はTPでして、増えた階層の構成を創り、魔物を増やし、罠を増やさなければならない。

 その上侵入してくるのはFランクからD・Eランクになると。強くなる侵入者に対抗しなくてはならない。

 そういったわけでTPはより多く必要になるのです。



 実家からの支援物資であるお金や魔石。これだけでは不足です。そもそもTP変換効率が悪いですし。


 その対策としてジータの助言から、【火精霊(サラマンダー)】を召喚し眷属としました。

 プレオープン前からです。最初からジータはTP対策をすべきだと言っていましたので。


 初期投資としてはかなり痛い出費でしたが、火精霊(サラマンダー)は魔力が高く、わたくしと火精霊(サラマンダー)が日々宝珠(オーブ)に魔力を注ぐ事でTPを貯蓄していました。


 それがプレオープン時の塔構成にも活きましたし、オープン前の改装ができた理由です。

 有り難い助言でしたね。さすがは歴戦の英雄ジータです。



 ちなみに眷属となった火精霊(サラマンダー)にはトカゲンと名付けましたが、なぜかジータには不評だったようで「うわぁ……」と苦い表情をしていました。わたくしはかわいらしいと思うのですが。



 ともかく、わたくしはそうして【赤の塔】を創り上げ、オープンを乗り切ったわけですが、同じくDランクに上がった【女帝の塔】はそのような手法も知らないでしょうし、さぞご苦労している事だろうと。


 塔主戦争(バトル)に勝った事で【正義の塔】のバベルジュエルを得たのでしょうが、それがどれほどのものか。

 はたしてそれでどのようにオープンを乗り切るのか、気になっていた所です。


 依頼していた報告書に目を通しますと……存外まともな塔を創っていらっしゃいますね。

 プレオープン時に見せたエキセントリックな手ではなく、ちゃんとした塔構成をしているようです。


 むしろ新塔主としては『巧い』と言えるほど……。


 これはやはり一筋縄ではいきませんわね。

 わたくしの覇道の邪魔となるか、共に並ぶべき存在となるか、はたまた失速していくのか。

 一番気になる同期なのは確かです。



「できることなら同盟を結ぶか、塔主戦争(バトル)をするか、して欲しいもんだが」


「極端ですわね。理由は?」


「四本腕のメイドと戦ってみてえ!」



 はぁ……どうもジータは戦いたがりで困ります。

 戦闘狂というわけではないんですがね。強い相手と剣を交えたいという自己鍛錬目的だそうですが。

 同盟として模擬戦するか、塔主戦争(バトル)で殺し合いをするか、という事ですか。



宝珠(オーブ)によればすでに【女帝の塔】は【忍耐の塔】と同盟を結んでいらっしゃいますね。わたくしがそこに入るか、という話になってしまいます」



 わたくしの元には同盟申請の通知がひっきりなしに入って来ていましたが、あの中に【女帝の塔】はありませんでしたからね。

 誘いがあれば考慮していたかもしれません。

 しかし【忍耐の塔】も新塔主の中ではかなり優良な塔に違いありません。良い同盟が結べたのではないでしょうか。


 それに塔主戦争(バトル)するにしても……。



塔主戦争(バトル)を挑んできているのは高ランクばかりなのですよね。しかも国が絡んでいるような面倒なものばかり」


「ははっ! 公爵家ともなれば大変だな! それが目立つ新塔主ともなれば他国の連中は潰したがるか!」


「TP確保の手段としてはそれも一つの手だとは思いますがね」



 難しいところですわね。それを考えるのも塔主の務めなのでしょうが。




エメリー「ほう」

英雄逃げてー! 早くしろー! 手遅れになっても知らんぞー!


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