163：忍耐の塔と輝翼の塔も強化します！
■ドロシー 24歳 ドワーフ
■第500期 Ｃランク【忍耐の塔】塔主
こないだの塔主戦争が終わって、その翌日からは侵入者が大量に押し寄せた。
直前にはほぼ空になるまでＴＰを使いこんでウリエルの部隊を創ったから正直助かったわ。
少しは数も落ち着いたけど今日も侵入者は多い。ええぞ。もっとＴＰ落としてくれ。
あの塔主戦争ではミスリルゴーレムをはじめ多くの魔物を失った。
眷属の土精霊までやられたからな。
さすがにあのレベルの戦場だとＣランクはキツイっちゅうことやな。教訓にせなあかん。
とは言えミスリルゴーレムも天使たちも普段は上層に配置している魔物やから、侵入者対策として補充せなあかん魔物というのはほとんどおらん。その点だけは助かった。
Ｃランクの塔となって全十階層。最前線は未だに五階層のままやし。
新規で創った七～九階層はまだ魔物を置いとらんからな。
そこの配置よりも塔主戦争の準備で天使部隊を創らなあかんかったし。
ちゅうわけで報酬も入った今、やっと魔物を配置できる。
「土精霊の代わりの眷属はよろしいのですか？」
「眷属枠が５になったからあと２余っとるな。せやけどどの魔物にするかは悩んどんねん」
今のうちの眷属はクリスタルゴーレム、スフィンクス、そしてウリエルや。
これで塔主戦争を想定した場合、どれも防衛向きな魔物ばかり。まぁ【忍耐の塔】やから当然なんやけど。
スフィーやウリエルは飛べるし攻撃側もいけるっちゃいけるけど、やっぱ本質的には防衛やろ。
そうした場合に攻撃の主軸となる魔物がいない。
ついでに言えば魔法攻撃の手段が限られとる。光か神聖やな。属性不足や。
そこを補えるような魔物、それを率いる眷属ちゅうのが一番欲しいところや。
「土魔法でしたらアラクネやマッドゴーレムなどでしょうか」
「せいぜいＤとかＣランクやろ？ それにクイーンのいないアラクネやと戦力的にたかが知れとるし、ゴーレムにしても攻撃側では使いにくいねん」
「【魔杖】の報酬のフレアドレイクはいかがでしょう」
「火属性な。アリやけど体長10ｍくらいあるで？ 攻撃側で塔の攻略とかできるか？」
「……無理ですね。通路の罠にかかるのが目に見えます」
せやな。階段上ったりは出来ると思うけど罠のある通路が無理やと思う。
「【打突】の報酬の亜人、巨人などおりますが」
「攻撃側に組み込むならライカンスロープを指揮官にするのが理想やな。Ｂランクやし魔法は捨てる感じやけど」
「【猫髭】のサンダーファングや【暁闇】のアサシンリンクスはいかがです？」
「それもアリや。でもＡランクとＣランクの一体ずつやろ。それに付いて行ける地上部隊がおらん。せいぜいＥランクのハリネズミかＤランクのアラクネくらいとちゃうか？」
「それこそゴーレム部隊と合わせて攻撃陣を形成してはいかがでしょう。足は遅くなりますが」
最前線の壁をゴーレム、斥候がハリネズミとアサシンリンクス、後衛がアラクネで指揮官兼アタッカーがサンダーファング、もしくはライカンスロープと亜人系。
加えて空にガーゴイルや天使がおれば一応はまともに見えるな。
防御を固めながらジリジリって感じやけど、それもアリかもしれん。
「そしたらサンダーファングかライカンスロープを眷属化するか……いや、他に召喚しときたい魔物もおんねんけど」
「優先順位を決めましょう。例えばどれです？」
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□フレアドレイク★／Ａ／28,000ＴＰ（１回限り）
□レジェンダリスケルトン／Ｂ／3,500ＴＰ（全36回限り）
□ヴァンパイア／Ａ／6,000ＴＰ（１回限り）
□アサシンリンクス／Ｃ／1,000ＴＰ（１回限り）
□ライカンスロープ／Ｂ／3,000ＴＰ（1回限り）
□スクイッシュドラゴン★／Ａ／25,000ＴＰ（１回限り）
□パープルモス／Ｂ／2,900ＴＰ（１回限り）
□サンダーファング／Ａ／7,500ＴＰ（１回限り）
＝＝＝＝＝
□巨兵ティターン／Ｓ／20,000ＴＰ
□玄武ロックタイタス★／Ｓ／60,000ＴＰ
＝＝＝＝＝
下二つはうちのリストのやつやけどおそらく防衛向きやろうから今は考えない。いずれ欲しいけどな。
あとはこれ以外に打突の固有魔物のヘカトンケイルとか巨人系の魔物とかもおるな。
まずはパープルモス。これは状態異常を使える飛行戦力やし、今の二階層『湿地』や四階層『沼地』でも使いやすい。これは確定やな。
それとやっぱりフレアドレイクとスクイッシュドラゴン。共に大型地竜みたいなもんやから防衛側になるやろうけど、それでも欲しいは欲しいな。やっぱ安心感と迫力が違うし。
レジェンダリスケルトンで攻撃側の前衛を形成するってのもいいな。Ｂランクなら十体くらいだけでも十分脅威や。
攻撃側の前衛指揮と考えればライカンスロープのほうが向いているかもしれん。
それからサンダーファングとアサシンリンクス。共に敏捷が高く、攻撃と斥候の軸になれる。
「こんな感じや。スフィーはどう思う？」
「ん～サンダーファング、ライカンスロープ、アサシンリンクスの順でしょうか。懸念していた攻撃陣がほぼ埋まりますし」
「うんうん、ウリエルは？」
「私は自分が戦った手前、スクイッシュドラゴンを推します。遅いですし飛べませんので攻撃陣には不向きですが、攻撃力と防御力はかなりのものでした。ボスとして鎮座させておけば私たちを攻撃陣に回すことも出来るかと」
「なるほどなー」
悩ましい。
でもこうして相談し合える今の環境は素晴らしいな。つくづく召喚して正解やったわ。
「ん～～～よし、決めた！」
「どうなさるのです？」
「手あたり次第に召喚するわ！ ＴＰ余っとるしガンガン使ったるで！」
「「…………はい」」
■フッツィル・ゲウ・ラ・キュリオス 51歳 ハイエルフ
■第500期 Ｃランク【輝翼の塔】塔主
「シャルもドロシーも召喚しまくっとるらしいのう」
「うちはどうしますかな？ 色々と後回しになっておりますが」
そうじゃな。取り急ぎ報酬分のＴＰで戦力の補充は行った。
相当な数を失ったからのう。まぁ鳥は打たれ弱いし、あれだけ無茶をさせれば当然なのじゃが。
それと精霊種のケットシーと樹精霊もすでに召喚済みじゃ。眷属化はしておらぬ。
以前に【風】の報酬で得た風精霊と合わせて最上階で元気にしておる。
ここに火精霊がおれば……悔やんでも悔やみきれん。
その火精霊とクリアパピオン。失った二体の眷属枠をどうしようかと悩んでおる。
特にシィルはその特性を活かしてわしの策の鍵となることが多かった。
なのでもう一度クリアパピオンを眷属化しようかとも思ったが……やはりＤランクでは荷が重い。
【輝翼の塔】はＣランクとなった。そこでＤランクの眷属を使い続けるというのは無理がある。
いや、無理があると今回の塔主戦争でよく分かった、というのが正しい。
例え前線に出ないサポート役であっても低ランクであるというだけで危険極まりないと。
つまり次の眷属は高ランクにせねばならぬということじゃ。
第一候補はフェンリル。Ａランクじゃしうちのほぼ唯一の地上戦力じゃからな。
他の高ランク候補はこんなところじゃな。
＝＝＝＝＝
□虹竜アイダウェド★／Ｓ／65,000ＴＰ
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□イスバザデン★／Ｓ／45,000ＴＰ（1回限り）
□ラヴァタートル／Ｂ／3,000ＴＰ（1回限り）
□ネクロトレント★／Ａ／30,000ＴＰ（１回限り）
□ククルカン★／Ａ／22,000ＴＰ（１回限り）
＝＝＝＝＝
これ以外では鳥系統になってしまうがＡランクのフレスベルグ、Ｂランクのヴィゾフニルやグリフォンなども候補にはなる。主力じゃしな。
【風見鶏】のサイクロンワームもいるが……まぁ考慮には値せんな。
で、上のリストを見るわけじゃが……どれもこれもデカイし防衛向きなんじゃよ。
出来ればフェンリル以外の地上部隊が欲しいところじゃが、強いて言えばククルカンくらいかのう。
いっそのこと守りの要として眷属化し、攻撃は鳥のみで行うというのも手ではある。
今の眷属はゼンガー爺とエァリスのみ。あと三枠も残っておる。
ならばフェンリルとフレスベルグあたりを眷属として、もう一体を上記リストから選ぶか……。
「守りの要でしたらイスバザデンかネクロトレントでしょうな。眷属化は悩みどころですが」
「うむ。眷属化するならば指揮官がいいのう。それが守りの要であっても防衛部隊に指示を出せるようなものがよい」
「ならばアイダウェド一択になるのでは？ 配下が鳥になりますから他の候補では指示にも難がありましょう。竜ならばまだマシです」
「ＴＰが高いからのう……ククルカンではダメかのう？」
「どうでしょう。万全を期すならばアイダウェドになるでしょう」
ククルカンは【傲慢の塔】の十七階層で指示を出しておらんかったのか？ ……ああ、エメリーが瞬殺したから分からんのか。
ならば試しにククルカンを召喚し、わしの目で見てそれを判断するか……？
それでダメそうならばアイダウェドを……その場合ククルカンの召喚とアイダウェドの眷属化で……152,000ＴＰ！？
報酬がキレイさっぱりなくなるではないか！ 魔物の補充分を考えれば赤字じゃぞ！
……いや、先行投資には違いないか。戦力増強となるのは確かじゃし。
「う～～ん、とりあえずフェンリルの眷属化をし、アイダウェドを眷属化し、ＴＰが溜まり次第ククルカン、ネクロトレントの順で召喚するか。……イスバザデンがどんどん遠のくのう」
「眷属化は二体だけですかな？」
「もう一体は残しておく。現状ではククルカンかフレスベルグが最有力じゃな」
「承知しました」
これで行くか。いつまでも眷属不足のままではいかんからな。
どうせなら派手にＴＰ使ってやるわい。
「一応言っておきますがルシファーやデーモンなどもおりますぞ？」
「あんなの死んでも召喚するか。戦力以外の面で使いづらすぎるわ」
「ほっほっほ、それもそうですな」
実際に何を召喚してどんな塔を創ったのかは数話あとで。しかしごちゃごちゃしてきましたねぇ。
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