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新米女帝の塔づくり!~異世界から最強侍女を喚んじゃいました~  作者: 藤原キリオ
第八章 女帝の塔の二年目が始まります!
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145:何かが起こりそうな予感です!



■シルビア・アイスエッジ 22歳

■第501期 Eランク【六花の塔】塔主



「ふぅっ、とりあえずは目標達成だ。一安心だな」


「ガウ」「クルルゥ!」


「ああ、お前たちもありがとう。これからはEランクの塔としてオープンに向けて頑張らねばな」



 初めての塔主総会。画面上ではあるが中々にひりつく対面だったな。

 注目すべき点はいくつもある。



 まずは【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】の面々の画面だけ異常な華やかさであったこと。正直面食らった。


 歴戦の高ランク塔主を見てもあのような装飾を行っていないことから、独自に考え同盟で合わせて実行したのだと思われる。

 話題性の絶えない同盟ではあったがまさか侵入者の目に触れないこんなところまで目立ってくるとは思わなかった。


 ただアデル様はまさに王女・女王の風格と美しさであったと断言しておこう。

 あれはバベリオの民にも周知させるべきお姿だった。



 二つ目は神を初めてこの目で見られたことだな。

 長らくバベルに挑んで来てその存在を意識することはあったが姿を見るのは初めてだ。

 本当に無邪気な少年そのままといった印象。しかしながら他を寄せ付けない圧倒的な存在感もある。神とは恐ろしいものだ。



 三つ目は全体のランクアップ。

 私自身がAランク冒険者であったので挑戦していた塔を見てしまうのだが、Bランクで注目していた塔の一つ【闇の塔】がAランクにあがったらしい。


 まだ冒険者であったならば勇んで挑戦しに行くところだが……あいつらは果たして行くのだろうか。少し気になる。



 【彩糸の組紐(ブライトブレイド)】の面々がランクアップしたことは特に驚きもないが、【世沸者の塔】がDランクというのが少し意外だったな。


 あそこは力を持たないFランクだからこそ盛り上がっていたという印象だ。

 それが今度はE・Dランクが対象となる。Fランクでは入れない塔となったわけだ。


 これがどう転ぶか……まぁギルドでは悔しがるFランクどもが多そうだ。そういった者は是非【六花の塔】に来て欲しい。



 そして四つ目が私の件だな。成績1位でEランクに昇格。

 毎日毎時神経を使い、悩み苦労したのは間違いない。自分でもやりきった感はあった。


 しかし72人も新塔主がいて、しかも神定英雄サンクリオだの二十神秘(アルカナ)だのがいる中でトップをとれるなどとは到底思えなかったのだ。


 さすがに嬉しい。パーティーメンバーにも胸を張れる。

 アデル様にも散々アドバイスを頂いて、これで不甲斐ない成績だったらどうしようかと思っていたのだ。


 胸をなで下ろしたというのが今の素直な気持ちだ。



 ――ピロン



「おおう!?」



 驚いた。……なるほど、こうして手紙が届くというわけか。


 差出人は……アデル様ではないか! 噂をすれば何とやら。さっそく読んでみる。



 内容はランクアップと順位に関する祝辞であった。本当にありがたい。

 そしてこれから一週間後のオープンに向けての心構えなど懇切丁寧に書かれていた。


 曰く、プレオープンとオープンでは全く異なるし、FランクとEランクでも全く異なると。

 1位をとったことで注目はよりされることになるから、相応に難しい塔構成にしなければならないとのことだ。

 今までのようなFランクに対するご機嫌取りのような真似はダメだと。


 そして私を取り込もうとしてくる高ランク塔主、助けを求めてくる新塔主から同盟申請がバンバン入るはずだからそれは無視して却下するのをおすすめすると。私の裁量に任せるとは書いてあるが。


 さらに塔主戦争(バトル)申請も多く入るはずだから、これに関しては私の好きにして良いとあった。

 ただし受理するようなら先に一報入れてくれ。相談に乗るからと。



 なんともありがたいお言葉だ。私は本当に恵まれた。

 これは私も感謝の返信をせねばなるまい。えーとどうやって手紙を書くのだ……?



 ――ピロン、ピロン、ピロン



 うわわっ! なんだどんどん手紙がくるぞ! どうすればいいのだこれは!





■レイチェル・サンデボン 70歳

■第450期 Sランク【世界の塔】塔主



「レイチェル様、我々も塔章をつくりましょうよ」


「うふふ、ダメですよ。今さらあのような真似できるわけがないでしょう? もう三〇年若かったら考えますけれどね」


「今でもまだ間に合いますって」



 セラがいつになく興奮気味ですね。困ったものです。

 見事ではありましたけれど自己主張が激しすぎますよ。


 あの子たちはまだ未熟なのですから下手に敵をつくるような振る舞いは危険なのですがね。

 若さ故の特権と言えばそれまでなのですが……。


 しかしバベルの塔主に新しい時代の訪れを感じるものではあります。

 彼女たちの勢いが他の塔主に伝染するような。

 昨年から続く塔主戦争(バトル)の多さ、侵入者の数の多さはそれを物語っています。


 私はと言えばそれをただ見守るのみ。

 せめて若き新時代の担い手の手助けとなれるよう助言に留めておきましょう。



 ……ただあれを真似する塔主も多そうですけれどね。どうなるのでしょう。

 次回の塔主総会が楽しみですね。





■シャルロット 16歳

■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主



 塔主総会が終わり、予定ではすぐにでも【傲慢の塔】同盟との塔主戦争(バトル)をするつもりでした。


 あまり放置も出来ないからタイミングを見て早めに決着をつけるべき、というのは同盟全員での共通意思でしたし。



 【傲慢の塔】側からのお手紙も定期的に届いています。

 それは例によって厭味ったらしいものなのですが、【雨林の塔】の神授宝具(アーティファクト)――例の透明外套を返せというのが本題のようになっていますね。さすがに捨てたとは思われてなかったと。


 塔主戦争(バトル)の申請もとっくに来ていまして、ご丁寧に同盟戦(ストルグ)の条件まで考えられています。



=====

塔主戦争(バトル)形式は同盟戦(ストルグ)

 【傲慢】【死屍】【雨林】【砂塵】【猫髭】の同盟vs【女帝】【赤】【忍耐】【輝翼】【世沸者】の同盟。

・【傲慢の塔】の十五階層以上と【女帝の塔】の五階層以上を使用しての交塔戦(クロッサー)とする。

 一階から指定階層までの転移魔法陣を用意する必要あり。

・同盟者の魔物を戦場となる塔に集めるものとする。

・勝負が決するまで継続する。

=====



 こんな感じです。ずいぶんとさっぱりした内容。

 本当はこちらから完全に条件を提示し、ちゃんとした内容を作りたいところなのですが、「根負けして渋々了承した」という風に持っていきたいので向こうの案をベースに少し訂正するくらいのものを代案として考えていました。


 当然こちらは【世沸者の塔】を使いたい。それは最初に考えました。


 しかし、もし仮に相手の神授宝具(アーティファクト)か限定スキルに謎解きを捗らせるものがあったら、と考えた時に【世沸者の塔】では戦うスペースが限られます。そういう懸念がありました。


 まぁ今となってはDランクに上がったことによる改装でそれどころではなく、戦場として利用するのは無理だろうとなったのですが。



 他の四塔であれば普通に塔としての防衛戦を行うことはできます。【忍耐】と【輝翼】も改装中ですが形にはなると思いますし。


 ただ改装もせずそのまま使えるという意味では【女帝】か【赤】になるでしょう。

 でも向こうから指定されている【女帝】を使うのもなぁ……少し嫌な感じですよね。まぁ私は自分の塔で問題ありませんが。



『なんで向こうは【女帝】を指定したんやろ。代表塔だからちゅうのとはちゃうよな。アデルちゃんとこでもええわけやし』


『おそらくメルセドウ貴族の地に踏み入るのが嫌だったのでは?』


『諜報型スキルか何かで【女帝の塔】の情報を得ているという線はないかのう』


『だったら【雨林】【砂塵】【猫髭】あたりからそういう話が漏れてますわよ』


『それもそうか。ファムで探ってもシャクレイが【女帝】を攻めるということしか言っておらんようだし』



 消去法なのか同国民だからなのかは分かりませんが、やはり私がターゲットのようです。

 まぁこれだけお手紙が来ているのですから分からなくもないですが。


 しかし使うにしてもAランクの【傲慢の塔】とCランクの【女帝の塔】ですからね。絶対向こうが有利でしょう。


 階層の数で差をつけたり、魔物の数で差をつけたりといったことが必要になるんじゃないかと。

 でも階数を揃えたことで「平等だ」と言われるかもしれません。難しいところです。



 魔物の数も明記していないのでいくらでも配置できる条文なのも気になります。

 Aランクの塔なんてそれこそ多くの魔物を抱えているのでしょうし、それらが全て指定階層に集められたら厳しいどころの騒ぎではありません。



「全階層が魔物部屋のような形でしたら面白そうなのですがね」



 などとうちの侍女長様は仰っていますがいくら何でも嘗めすぎです。

 相手には大悪魔やら固有魔物やら神定英雄(サンクリオ)やら沢山いるんですよ!?

 さすがにエメリーさんでも厳しいはずです。苦手のリッチもいるのですし。


 いずれにせよ、ドロシーさん、フゥさん、そして特にノノアさんの改装が終わるまでは申請を受理するわけにはいきません。


 それまでよく相談し、ちゃんとした計画を立てて挑まなければ。

 おそらく今までの敵とは次元の違う強さでしょうしね。



 Aランク【傲慢の塔】――なんとか斃せるといいのですが。





というわけで次回から長々とバトルです。お楽しみに。


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