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冥婚ドヲリズム  作者: 三石メガネ
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妙法寺-M


「あいつに近づくと呪われるんだよ」

 小学校の教室で、くすくすと笑い声が聞こえる。

 女子が三人、頬を歪めて窓際を見ていた。

「知ってる知ってる。お母さん、気持ち悪い人形ばっか作ってるんでしょ」

 声はまるで潜められる様子がない。教室の隅、席で縮こまっている私にまで、その会話は聞こえてくる。

「死んだ人と結婚させるための人形なんだって」

「じゃああいつの父親いないのって、まさか?」

「呪われて死んだんだよ、きっと。あいつと結婚したら死ぬんじゃない?」

「えーこわーい」

 言葉とは裏腹に大っぴらな笑い声が響く。私は顔を上げることができない。机の傷跡ばかり眺めている。意味もなくそれで迷路をしながら、早く終われと祈っている。

「そんなんじゃ誰とも結婚できないね」

「大丈夫だよ、お母さんの人形があるし」

「あれ死体用なんでしょ?」

「あいつも死体みたいなもんじゃん」

 げらげらげら。

 耳を塞ぐ代わりに心を閉ざす。反応をすればまた笑われるからだ。じっとやり過ごすしかない。

 死体のように。

 人形のように。


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