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慟哭の時  作者: レクフル
第3章

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初めての喧嘩


森の外まで3人でやって来た。


ここでディルクと別れる事になる。



「ディルク!俺達はここから南へ行くぞ!」


「かなり東へ来たから、南西の方かな。」


「そうか。俺はこれから西の方に行かなくてはいけない。ここで別れる事になるな。」


「そうだな…」


「またな!ディルク!」


「あぁ、またな、レクス。」


「色々ありがとう。ディルク。」


「アシュリー…」



ディルクは私の名前を呼ぶと、私の耳後ろに手をやって、私の顔をグイっと寄せた。



気づいた時には、私の唇とディルクの唇が合わさっていた。



ディルクの唇の柔らかさが、暖かさが、私の唇に伝わって、言い様のない気持ちが私の体に染み込んでいく……



何も考えられずに、ただディルクの顔を見続けていた。



そっと唇を離して、私の目を見つめながら



「アシュリー、またな。」



名残惜しそうに耳辺りにあててた手を離し、微笑んでディルクが去っていった。



「何するんだよ!ディルク!卑怯だぞ!アッシュ!大丈夫か?!」



そんなレクスの声にも答えられずに、ただ呆然と、暫くは去っていくディルクの姿を見続けていた……












「アッシュも油断しすぎだぞ!」



南西に向かっている道中で、レクスはプンプン怒っていた。


何も言えずに、ただ照れくさくて、なんだか申し訳なさそうに笑いながらレクスの言うことを聞いていた。



「アッシュ、アッシュはディルクが好きなのか?」


「えっ!?」


「だって、ディルクにはガードが甘いからさ。」


「そ、そうか?!」


「自分で分かってないのか?」


「そんな事は…」


「それは、好きってことじゃないのか?!」


「…そう、かな……」


「何だよ…それ…!」


「怒らないで、レクス!私はレクスの事も好きなんだぞ?」


「俺の好きと、ディルクの好きは違うんだろ?!」


「…それは…よく分からない……」


「なんで自分の事なのに分からないのさ!」


「こんな気持ちは初めてなんだ……これがどう言う感情なのか、私も戸惑っている……」


「ちくしょうっ!」


言いながら、レクスが私に触れようと向かってくる。


しかし、私の体をすり抜けて行ってしまった。


「レクス…」


「俺、俺アッシュの事、好きなんだぞ!他の誰よりも、大好きなんだぞ!」


「レクス…ありがとう……」


「そんな言葉を聞きたいんじゃないっ!」


言ってレクスが、何処かに消えてしまった。


レクスが消えて行った場所を見続ける。




何がいけなかったのか…



どうすれば良かったのか…



また私は答えを間違ったのか……



レクスの事が大切だ。



ずっとそばにいて欲しいと思っている。



この気持ちに間違いはない。



でも…



ディルクへの感情とは違う…



前にレクスが言っていた、自分の気持ちにも疎いって…



本当にその通りだな。



一人佇んで、レクスの言葉を一頻り考えていた。



しかし、答えは見つからなかった……










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