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慟哭の時  作者: レクフル
第3章

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別れ


唇と唇が触れそうになった時




「あーーっ!!なにやってんだよっ!」


レクスがやって来て怒りだした。


「ディルク!ダメだぞ!またアッシュが怖がるだろ!」


「レクス……」


恥ずかしくなって、顔を下にする。


木に手をついて、ディルクも下を向く。


「くそっ!レクス!俺は怖がらせていないぞ!」


「俺はアッシュを守るんだ!」


「俺もだ!」


また何やら追いかけっこが始まった。


そんな光景を見ているのが凄く嬉しくて、ただじっと2人を見つめていた。










村に3人で戻ると、村のみんなが集まってきていた。


「村長から話を聞きました。アシュレイさん、ディルクさん、ありがとうございます!」


マリーの父親、ガルフが頭を下げると、皆一斉に頭を下げた。


「本当に、何とお礼を言ったらいいのか……」


オルグがそう言うのを手で遮り


「大丈夫ですよ。私も同族なんです。出来ることなら何でもすると言ったじゃないですか。力になれて、良かったです。」


「アシュレイ様!やっぱりアシュレイ様は凄いです!」


マリーが飛び出して、私に抱きついてきた。


「マリー!何やってるんだ!離れろ!」


そう言ってセルジがマリーと私を引き剥がした。


セルジに、私は少しビクッとしてしまったが、ディルクが庇うように私の前に来てくれた。


「何よ!セルジ!またいきなりそんな事を言い出して!」


「マリー、落ち着いて。」


「はい、アシュレイ様。」


マリーは私の言うことなら、何故かちゃんと聞いてくれる。


「オルグ、まだ見せていない物があった。」


私はナディアから譲り受けた、もう一つの宝を取り出した。


「これは……」


「ナディアがナタリアの魔力が高いことに困って、魔力制御の石を、その時の村長に言って貸し出して貰った物だそうだ。特に目の魔力が強かったからと、頭に巻けるようにベルトを着けたのがそれだ。」


「そうでしたか…魔力制御の石なんてのもあったんですな。それは知りませんでした。」


「ナタリアに渡す前に村が襲われたと。貴方がそれを持つのが良いのではないでしょうか?」


「…いえ、それはアシュレイ殿がお持ちください。貴方こそ魔力制御が必要なのではありませんか?」


「それはそうですが…」


「ナディアがそれを託した、と言うことは、そう言う事だと思います。遠慮なくお使い下され。」


「ありがとうございます。」


そう言うと、私は頭にそれを装着した。


それから魔力の制御をやめてみた。


すると、凄く体が楽になった。


しかし、本当に魔力制御出来ているのだろうか?


自分では分からない……


そう思っていると、ディルクが瞳を覗き込んでくる。


何度か瞳を見られているから、もう慣れてもいい筈なのに、なんでいつまでもドキドキ言うんだろう?


「付与はされてないみたいだな。」


ニッコリ笑ってディルクが言う。


「あ、ありがとう、ディルク。」


これのお陰で、かなり楽になる。


譲り受けはしたものの、私が使って良かったのか気になっていたから収納していたけれど、使わせて貰えて良かった。


「オルグ、これは渡しておきます。」


そう言って、ナディアから譲り受けた腕輪を渡した。


「それは部属の宝では無かったようだが、ナディアの思い出がつまっている。」


そう言って、ナディアが流行らせた御守りの話をした。

それから、なぜヘクセレイを魔法の街に発展的させたのかも。


話を聞きながら、ナディアを知る者以外の人達も、自分達に会える為にしていた事を嬉しくも切なくも思い、涙を浮かばせていた。


「それでは、これは私が受け取らせて頂きます。本当にありがとうございます。」


オルグ達は、深々と頭を下げた。


それから、旅に出るのに必要だからと、食料と水を持たせてくれた。


「あぁー!やっぱりアシュレイ様と一緒に旅に出たいよー!」


「それはダメだぞ!マリー!」


「何でよ!」


マリーとセルジが言い合っている。


良かった……




皆が見送ってくれているのを背に、3人で村を後にした。



因みに、この森には私とディルクは問題なく入れる。

まぁ、それは私達の精霊が施した事だから当然なんだけれど。




色々あったけど、この村に来たから母の情報が聞けた。




ナディアの事も伝えられた。




そして、ディルクにも会えた。




それが一番




嬉しかった……









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