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慟哭の時  作者: レクフル
第3章

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何も出来なくて


「アッシュ!」



レクスの声が聞こえたその時、セルジが私から離れていた。



どうなったのかと驚いて見ると、ディルクがセルジを後ろから掴んで離したようだった。



「ディルク!」


「アシュレイ、大丈夫か?」


「だ、大丈夫っ!」


「なんだお前!邪魔するな!」


「嫌がってるのに無理やり力で押し通すのは、男のすることではない。」


「お前には関係ないだろ?!」


「関係ある。」


「なんだと?!」



こんな時、左手が使えれば問題無くなるのに!


なんで上手くいかないんだろう?!


歯痒く思っていると、ディルクがセルジの頭を掴んだ。


その途端、セルジはその場に崩れ落ちた。



「ディルク、何をした……?」


「安心しろ。殺してはいない。この男の記憶を1日程無くしただけだ。」


「闇魔法?!」


「アシュレイも使えるのか?」


「あ、うん、私は数日程無くす感じで、まだそんなに日を細かく調整はできないけど…」


「そうか、数日間も記憶を無くさせたら、皆が不信に思うかも知れないものな。」


「アッシュ!大丈夫か?!」


「レクスっ!」


「レクスが俺の所まで、助けを呼びに来たんだ。」


「そうだったのか?!ありがとう、レクス!」


「俺、止めたかったけど、俺は何にも出来なくってさ…ごめんよ?」


「ううん!本当にありがとう!レクスっ!」



言ってて涙が出てきた。


あとからあとから、涙が勝手に溢れてくる。


何でだろう?


何故涙が出るのか分からなかった。



「アッシュ、怖かったよな……」



怖かった……?



手をギュッて握って胸にあて、心臓を落ち着かせる。



そうか、私は怖かったんだ。



人をこんな風に怖いなんて思ったことがなかったから、なぜ涙が出るのか分からなかったけど、そうか……私は怖かったんだ……




魔法で対処することも忘れるくらい、私は怖かったんだ……









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