集めた先に
拐われた娘を探す為、ダレルとキアーラは村を出た。
それから彼らは帰って来なかった。
また盗賊や兵が襲ってきては困る為、仕方なく村を別の場所に移す事にした。
それが今の村だ。
この村に来てからは20年程になるそうだ。
「母は、拐われたんですね……」
「それからラリサが何処でどうしてたかは分からないのです。生きていたのが嬉しく思います。貴方の父親はどんな方ですかな?」
「それは…分かりません。物心ついた時から、母と2人で旅をしていました。」
「そうでしたか…」
私は気になった事を聞いてみた。
「私は今、石を4つ持っています。ナディアに石を集めるように言われています。」
「な!石を!?」
「はい。そして、今も石を探しています。」
「み、見せては貰えないですか?」
言われて、私は短剣を出した。
「それはっ!」
恐る恐る、手に取る。
私は黙ってそれを見ていた。
「間違いない…これは村の宝物庫にあった石と短剣です。」
「やはり、その短剣もそうだったんですね。」
「そうです。この短剣に石を嵌め込む事で、その石の効果がより大きくなります。しかし、石を扱える能力の無い者には、この短剣に石を嵌め込む事等できません。」
「そうだったんですか?」
「貴方は余程の適性があると思われますな。石が4つも嵌まっておる……」
「石を集めたら、どうなるかご存知ですか?」
「この短剣に全ての石をあて嵌める事が出来るかどうかは分かりませんが、もしそうできるのなら、とんでもない力を持つことになるでしょうな。」
「とんでもない力…」
「そして、その力が大きいが為に、自分にあった元の力が弱くなると言われております。」
「っ!本当ですか?!」
「貴方の髪は銀ではない。と言うことは、我が部族以外の血が混ざっている事になる。失礼だが、よく生きて来られましたな。」
「その事は私もナディアから聞きました。」
「想像するに、貴方には尋常ではない力が備わっているのでしょうな。それ以上に、厄介な力があるのではありませんか?」
「よくお分かりですね。私の右手は、触れた人の過去や未来が全てわかります。私の左手は、触れた人にあった私の記憶を無くさせます。」
「なんとも厄介な…!それはお困りだったでしょう……」
「しかし、銀髪の人達には反応しませんでした。ナディアもそうでしたが、先程のセルジと言う青年に拘束された時も、マリーに抱きつかれた時も。」
「同族だと反応しないと言うことでしょうか。しかし、石を集める事で、その能力が無くなる可能性がある訳ですな?」
「そうだと、とても嬉しいのですが…」
「赤の石はダレルが、黄色の石はキアーラが持っておりました。貴方がダレルとキアーラの孫であることに間違いない。全て探し出せる様に祈っております。」
「これらは私が持っていても問題ありませんか?」
「貴方は私達と同族です。それらを扱うことが出来るのであれば、貴方が持つのに相応しいのでしょう。どうぞ、お持ち下さい。」
「色々とありがとうございます。」
「いや、礼を言うのはこちらの方です。ナディアの事を聞け、ラリサの事も聞けた。そして、ダレルとキアーラの孫に会うことが出来た、こんな嬉しい事はない。」
「私もです。」
私と村長は微笑みながら握手をした。
「それと、さっきから気になってたのですが…」
「え?」
「貴方の横にいる少年。」
「!見えるのですか?!」
「俺が見えるのか?!」
「私は精霊や霊体と言った者が見えます。」
「そうなんですね。私は青の石を手に入れてから見えるようになりました。」
「彼には精霊の加護が見える…だから何事もなくついて来れてるんでしょうな。」
「どういう事なんですか?」
「普通であれば長く霊体でいると、悪い影響を受けやすくなりましてな、悪霊になりやすいんです。生きてる者の生命力に焦がれる様になってしまうのは仕方の無いことでしてな。出来る事なら天に還してあげるのが宜しいでしょう。」
「俺は大丈夫だぞ!アッシュと、ずっと旅をするって決めたんだぞ!」
「レクス……」
「まぁ、精霊の加護があるので、今は問題はないとは思いますがの。」
「そうだ!俺は大丈夫だ!」
「貴方にも精霊の加護があるようですな。何やら特種な感じがするが、精霊自体は加護を与える者に不利な事はしないから問題はないでしょうな。」
「それなら良いのですが…」
レクスはこのままいても大丈夫なのだろうか……
ふと不安が過る。
あっと、いけないな、また1人で考え込んでしまっている。
この事はまた、レクスと話し合おう。
しかし、有意義な話が出来てよかった。
石を集めると、誰とでも触れ合える様になれるかも知れない。
石を集めたい、そんな気持ちがすごく強くなってきた。




