表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慟哭の時  作者: レクフル
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/363

アンネローゼの事情 4



この街に聖女がいる。


……かも知れない。



国にとって、聖女を確保出来ることは戦力強化に大きな影響を及ぼす。

よって、聖女を見つけ出した者は、功労者として称えられるのだ。

貴族で無いものは爵位を、貴族であれば爵位が上がり、報酬も多大なものとなる。


こう言うことから、聖女の情報には皆目の色が変わる程に敏感になる。


アンネローゼは特に報酬等に興味は無いが、騎士として国の戦力アップを望むことと、今まで何の功績も上げられていなかった事から、聖女の情報に心踊るのだった。


思わぬ情報に、まずは情報を収集したいところだったが、もう夜も随分と更けてきたので、浮き足立つ気持ちを抑えて宿屋に戻ることにした。



「アンネローゼ様、今日はもう遅いので、明日この街に派遣している諜報員に連絡を取り、情報を聞き出します。皇子の件も、明日再度確認致します。」


「分かりました。マティアス。じっとしていられなくて遅い時間に出てしまったけれど、良い情報を得られて良かったわ。ここに来た甲斐があります。」


「そうですね。ただ、まだ未確定の情報です。諜報員からの情報を得てから、他の者にも報告しましょう。」


「分かりました。マティアス、今日はありがとう。」


「滅相もございません。御一緒できるだけで光栄に思います。」


「大袈裟よ……」


そうして2人は宿屋へ帰って行った。




翌朝、宿屋の一階にある食堂で朝食をとる。


まだ部下達は、口々に食事の文句を言っていた。

庶民的な食事だったが、味は悪くはない。

それでもストレスが溜まっているのか、彼達の口は止まらなかった。


周りにいる他の客達は、こちらを迷惑そうに見ながらも、誰も口を出さないでいる。

見るからに貴族と思わしき集団に、誰も何も言えないのは仕方がない事だろうが、この店の中は雰囲気がかなり悪くなっている。


あまりの事に見かねて、アンネローゼが


「黙って食べなさい。失礼ですよ。」


と注意した。


その一声で皆が静まった。


上官が言うことは、やはり従わなければならない。

部下達は渋々黙った。


少しして、席を立った男がいた。


昨日受付で見かけた男だった。


会計を済ませて出て行こうとしているところを、マティアスが


「おいお前。ちょっと待て。」


と呼びかけて彼の元まで近づいて行った。


「なんだ?」


「この街に病人だか怪我人が、急に元気になったって言う噂を聞いた。お前は何か知らないか。」


「私は旅人だ。この街に来て数日だから、よく分からないな。」


「そうか。何か分かれば知らせてくれ。」


そう伝えてから、席までもどってきた。



「マティアス、どうしたのですか?」


「余所者があまり来ない街に来た旅人なので、昨夜の件について聞いてみました。何か関係がある可能性を探ったのですが、今の反応では何とも…」


「そうでしたか。」


「どうした?マティアス。何の話だ?」


副長のヘルベルトは聞く。


「昨夜ある情報を得たんですが、それは諜報員に確認してから、また詳しく説明致します。」


「皇子の事か。何かわかったのか?」


「それはまた後程・・・。」


「まぁいい。今日は少しゆっくりさせて頂きたい。部屋にいるので何かあれば声をかけて貰えますか。」


そうアンネローゼに伝え、副長は部屋へと帰った。


子爵であるヘルベルトは、男爵位からこれまでの実績で爵位を上げた一人だ。

彼は野心家で上昇志向が高く、もし聖女の事が分かれば、我先にと出てくるだろう。


まずは情報をしっかりさせてから動くことにする。


アンネローゼとマティアスは2人で目を合わせて頷いた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=849298090&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ