流涕
「レクス?!」
驚いて、大きな声でレクスを呼ぶ。
枝からレクスが飛び降りて
「アッシュ!」
と笑う。
「レクス!なんで?!」
「やっと見つけて貰えたぞ!
俺、ずっとアッシュのそばにいたんだぞ!」
「レクス!」
手を伸ばしてレクスに触れようとする。
手が体を通り抜ける。
「ごめんよ、アッシュ。俺、霊体だからさ、触れないんだ……」
「いや、私の方こそ、すまないっ……私のせいで、レクスは……!」
目が潤んでしまう。
「泣かないでくれよ!俺、アッシュを助けられて良かったって思ってるんだ!って言っても、アッシュは強かったから、俺は余計なお世話だったけどさ!」
「そんな事は……!レクス……レクスっ!ありがとう……っ」
言ってて涙が溢れてきた。
「俺の事で泣くなよ。アッシュ。男が女を守るのは当然だろ?!」
そう言ってレクスは笑った。
「アッシュは女の子だったんだな。俺は男だから、当然の事をしただけだぞ!」
胸を張って、レクスは言う。
口を手で覆い、涙を堪えようとするけれど、涙が後から後から溢れてくる。
「また…会えて……良かったっ……!」
「うん、アッシュ、俺もだぞ。ずっと一緒にいてアッシュの事、色々分かったんだ。アッシュ、今までいっぱい大変だったんだな。」
その言葉に、首を小さく横に振る。
「俺、これからずっと、アッシュのそばにいるからさ。もうアッシュは一人じゃないぞ!」
レクスの言葉に、しばらくは何も言えずに、ただ涙が溢れてとまらなかった。




