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慟哭の時  作者: レクフル
第2章

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青の石


大魔法使いナディアの訃報が街中に拡がり、人々は悲しみに暮れた。



彼女がこの街で、人々に愛されていたのがわかる。



街をあげての、追悼式がおこなわれた。



ナディアが亡くなってからの3日間、街は喪に服し、静まり返っていた。





葬礼でナディアを送り出したあと、ナディアのメイドが家に来るよう、伝えてきた。


言われるがままナディアの家に向かう。


部屋に通され、リビングへと案内される。


そこには、前に魔法学園の前で会った、初老の白髪の男性がいた。


ソファーに腰掛けるよう促され、私は男性の対面に腰を掛けた。


メイドはそっと離れ、キッチンへと向かった。



「お会いするのは2回目ですね。

私は校長代理をしておりました、リオネルと申します。」


「貴方が校長代理だったんですね。

私はアシュレイと申します。」


挨拶を交わしていると、メイドがお茶を持ってきた。


お茶を置くと、メイドは校長代理の横に座った。



「私はミレイユと申します。

私とリオネルは夫婦です。」


「そうだったんですね。」


「昔、ナディア様に大変お世話になり、それからナディア様のお側で働かせて頂いておりました。」


2人はそう言って、顔を見合せ微笑んだ。


「今日お呼びしたのは、ナディア様の事について、お話しがあったからです。」


「私が…無理をさせて話を聞き出したから…ナディアは……」


申し訳ない気持ちで、そう伝えると、


「い、いえ!そう言うことではありません!」


驚いた様に、ミレイユが言う。


「医師の方からは、もって2日程だと言われておりました。

それでも、最後まで校長は、探されていた方の情報を求められておりました。」


リオネルが言うと、少し落ち着いたミレイユが


「ええ、ずっとずっと、ただナディア様はお嬢様や同郷の方に会える事だけを夢見て、この、なにもなかった小さな街を、こんな大きな魔法の街へと発展させたのです。

最後に貴方に会う事が出来て、ナディア様も喜んでおりました。」


涙を浮かべて、ミレイユが私に伝える。


「私達はナディア様から、亡くなる数日前に伝言を預かっておりました。

自分が亡くなった後に、自分の同郷と思われる方が現れたら渡して欲しい物がある、と言って……」


涙ぐみながら、ミレイユが席をたった。


それから少しして戻ってきたミレイユは、装飾の美しい箱を私の前に差し出した。


戸惑っていると


「開けてみて下さい。」


と促される。


手にとって開けてみると、そこには腕輪と、ベルトらしき物が入っていた。

腕輪には、赤、黄、緑、青、紫、白、黒の石が嵌め込まれていた。

ベルトらしき物には、碧い石がついている。


「その腕輪には、ナディア様が大切にされてた青の石がついていました。

それを数日前にそこから外し、別の、御守りに使われている石に付け替えられました。

ですので、今その腕輪には青の石はついていません。

ですが、使われている全ての石に、魔法が付与されています。


それと、そのベルトですが、着いている碧い石は魔力制御の石です。

ナディア様のお嬢様は、人より魔力が高めで、それをもてあましていたそうなんです。

碧い石は、部族の中でも貴重な物として宝物庫にあったそうですが、お嬢様の為にと何年も頼み込んで、やっと貸し出された石だったそうです。

それをナディア様が縫製をし、頭につけられるようになさいました。

特に瞳への魔力が強かったお嬢様の為に……

しかし、お渡しする前に兵に村を滅ぼされた、と、嘆いておられました。」


「これを、私に?」


「亡くなる少し前、私は息も絶え絶えなナディア様から言伝てを頼まれました。貴方にそちらをお渡しする事。それと……」


「それと?」


「石を全て集める様に、と。」


「なぜ、石を…?」


「それは、私にも分かりません。お聞きする時間がありませんでした……申し訳ありません。」


「いえ、こちらこそ、すみません。」


「それと、青の石は、森の中で…と。」


「森の中で…」


「はい、その様に。」


そう言って、小さな革袋を出した。


「こちらが青の石です。」


「私が持っていても良いのですか?」


「ナディア様が残した物は、この街に溢れています。魔法も、学園も、人も、全てです。ですので、私達はいつでもナディア様を感じて生きていけるのです。街を離れる貴方には、ナディア様の思い出としてそれらをお持ち頂けると、私達も嬉しいです。」


「ありがとうございます。彼女との時間は短いものでしたが、私の大切な人でありました。有り難く、受け取らせて頂きます。」





それから2人は、ナディアの話を嬉しそうに、楽しそうに、そして悲しそうに、それから幸せそうに、これまであった色々な事を話してくれた。




そうしてしばらくして、2人に見送られながら、私はナディアの家をあとにした。






区切りの良いところで話を終わらせているつもりなので、話の内容によって、長かったり短かったりがあります。

ご了承下さいませ!(。>д<)


これからも、よろしくお願い致します!

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