触れた手
「貴女はなにか知っているのですか?」
問いつめる様にナディアを見つめてしまう。
彼女は話を続けた。
銀の髪の我が部族は、他の人より魔力が強く、魔法に長けていると言う特性があった。
森の奥の小さな村で、他の部族と交わらない様にひっそりと生活するには理由があった。
同じ部族同士であれば何も問題ないが、同じ部族以外の人と結婚し子供が出来た場合、その子供には異常が現れる場合がある。
しかし、殆どの子供は生き残る事はできず、産まれてすぐに亡くなる。
恐らく、異常な力に体が耐えきれないからだろう。
生き残る子供は、尋常ではない、大きすぎる魔力と魔法の力を持っていて、自分で制御する事が出来ず、周りを破壊する等の事故を起こし亡くなる事もあった。
そして体に、魔力以外の、何らかの力を持つ場合もある。
実際に見た訳ではないが、自分の親の世代で1人、異常に大きな魔力を持ち、異常と思われる力を持っていた者がいたそうだが、その、不必要で邪魔でしかない力に耐えきれず、その者は自害したそうだ。
今となっては、異常な力がどんな力だったのかは分からないが、人に会わないように、避けるように生活していたらしい。
ナディアがそう話すのを聞いて
私の母は、ナディアと同じ部族だったんだと分かった。
母の親の事は聞いた事がなかったので、どういう経緯だったのかは分からないが、もしかするとどこかで隠れる様に過ごしていたのかも知れない。
ナディアは私を優しく見つめ、両手で私の右手を擦るように触れた。
私は革手袋をはずし、そっとナディアの手を握り返す。
「私の右手は、触れた人の過去が、未来が見えます。
私の左手は、触れた人にあった、私の記憶が全て無くなります。」
そう呟くと、ナディアは大きく目を見開き、それから涙を流した。
「しかし、私は貴女の過去も未来も見えません。
もしかすると、貴女の血が、少しでも私に流れているからでしょうか……」
同じ部族の血が流れるからなのかは分からない。
しかし、そう考えるのが一番辻褄が合う。
ナディアは私の左手を握った。
少し驚いて手を強張らせて、そっとナディアを見て
「……私が誰か、分かりますか?」
と、恐る恐る聞く。
「あなた、は、 アシュレイ……我が 部族を、 護って、いた、 トネリ、コ の森、それが アシュレイ…よ。」
涙を流しながら、私の名前を呼んだ。
嬉しそうに、ナディアが私を引き寄せた。
優しく、そっと支え合う様に
お互い確認するように、私たちは抱き合った。
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まだまだ、アシュレイの旅は続きます。
孤独なアシュレイを見守ってやって欲しいです。
誤字・脱字、読んでいて意味が分からない等ありましたら、教えて頂けると幸いです。
これからも頑張って書きますので、よろしくお願い致します!




