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慟哭の時  作者: レクフル
第1章

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何事もなく


大きな樹木に、手袋を外した右手を添わせて語りかける。



この木は、永年この地でこの街を見守ってきた、心優しいトネリコの木だ。



光魔法でレクスを優しく包み込み、トネリコの木に託す。



淡く白い光が輝き、トネリコの木とレクスが光に包まれていく。



光がゆっくりと消えていくと、そこにレクスの姿は無かった。




溢れ出る涙も拭かず、その場からそっと離れる。




トネリコの木が風に吹かれてサワサワと優しい音をたてる。




フッと暖かな風が私の身をまとわりつくように通りすぎていった。












イルナミの街を覆っていた淡い緑の光が少しずつ消えていくと、徐々に気を失った人達が目覚めていった。


目覚めた人達は、この数日の事が分からず、なぜここにいるのかが思い出せないでいた。


街を見渡すと、老朽化した建物や、舗装された道等全てが、なぜか美しく元通りになっていた。


体を患っていた者は元気に、怪我をした者はすっかり治っていた。


あの農家の娘ジュリも、足が動くようになっていた。


冒険で腕を失った者も、気づくと腕がそこにはあった。


何がおこったのか、だれも分からず不思議な現象として、後に語り継がれる事になる。






孤児院も建てたばかりの頃の様に、キレイな建物になっていた。



その場で目を覚ました人達も騎士達も、訳が分からず皆その場から去って行った。



子供達とシスターは、いなくなったレクスを何度も探したが、それからレクスの姿を見ることはなかった。




そして ただ穏やかに




何事もなかったように、いつものイルナミの街へと戻っていった。





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