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慟哭の時  作者: レクフル
第8章

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三人での旅


私は今、シアレパス国の港町ラブニルにいる。


これから、旅に出るんだ。


オルギアン帝国まで、三人で行く。


食材もいっぱい持ったし、水も充分ある。

旅に出るのに、準備万端な状態だ。



「じゃあ、行こう。」


「うん。姉ちゃ。」


「あぁ。行こう。」



私が微笑むと、二人は微笑んでくれる。

やっぱり一人で旅をするより、誰かと一緒に旅をする方が楽しいんだな。


空間移動で、イルナミの街までやって来た。

そこから歩いて、まずグリオルド国まで行く。

私が記憶にしっかり残っている所はどこか聞かれて、真っ先に答えたのはここだった。

そう言ったら、じゃあまずそこに行こうってなったんだ。



「ここのシスター達に会っていくか?」


「え?……あぁ、そうだな。うん、そうしよう。」


「シスター達?」


「あぁ、ウルは知らなかったね。この街に孤児院があってね。そこにレクスと言う少年がいたんだ。レクスは私を庇って亡くなってしまったんだけど……それから少しの間、私はレクスの霊と一緒に旅をしてたんだよ。」


「えぇ?!霊と?!」


「うん。私は霊とか精霊とか見えるから。それで、孤児院の人達と仲良くなって……それから……あれ……?」


「どうしたん?姉ちゃ?」


「ううん……なんか……よく思い出せなくて……」


「大丈夫だ。無理に思い出さなくて良いから。行くか?」


「あ、うん。ディルク。」



私がディルクに微笑むと、ディルクも私を見て微笑む。


私とウルとディルクの三人で、これから旅をする事になったんだ。

でも、なんでこうなったのかは、実はちゃんと覚えていない……


ディルクが言うには、私は高熱を出して何日も意識不明の状態になって、それで目覚めたら記憶が曖昧になっていて……

思い出せないところが色々あって不安だったんだけど、傍にはディルクがいてくれて、無理して思い出さなくて良いからって言ってくれたんだ。


ディルクと一緒に、ウルリーカって言うエルフの女の子がいて、私が目を覚ますと泣きながら抱きついてきた。

この少女の事を私は覚えてなくて……


私の前からいなくなった母は、リフレイム島と言うところまで行って、ウルと一緒に暮らしていたんだそうだ。

小さな頃からずっと一人だったウルは、母と一緒に暮らせた事が嬉しかったみたいで、でも母は突然いなくなってしまって、それからまた一人で帰りを待っていたそうだ。

その後母はオルギアン帝国にいることが分かって、なぜそこにいるのかは分からないけれど、私達はオルギアン帝国まで行くことになってたんだ。


ディルクは旅をしている人で、前に弟を探しているって言っていて……

だから、今も多分弟を探して旅をしてるんだと思う。

ディルクにその事を聞いても、そうだなって言って微笑むだけなんだ。

けど、ずっとなかなか会えなかったんだけど、今は私の傍にいてくれる。

それが凄く嬉しいんだ。


それに、私はディルクに触れても大丈夫なんだ!

私の右手は触れた人の過去や未来が見えて、左手は触れた人にあった私の記憶が亡くなっていくという力があるんだけど、ディルクと、それにウルに触れても何も起こらないんだ!

人に触れる事が出来るのが凄く嬉しくて、好きな人と触れ合える事が幸せで……

私は今きっと、凄く幸せなんだと思う。


なぜ触れる事が出来るのか、それは私達には精霊の血を受け継いでいるからなんだって、ディルクが教えてくれたんだ。

だから、精霊に近い存在であるエルフのウルにも、触れる事が出来るんだって。

そう言われてから、ディルクと銀髪の村で会った事を思い出した。

あの時、私はディルクの事が好きになったんだな……

ううん……本当は初めて会った時から、ディルクは私にとって特別だったんだ……


ずっと、母にしか触れられないと思っていたから、こうやって他の人にも触れられる事が嬉しくて仕方がない。

だから、思わずディルクの肘あたりの服を掴んでしまう……

そうするとディルクは微笑んで、私と手を繋ぐんだ。


孤児院に着いて、先にディルクが挨拶しに行ってくるって言って走って行く。

私とウルは手を繋いで、孤児院まで歩いて行く。

ディルクとシスター達が出てきて、シスターは私達を歓迎してくれた。


子供達が増えていて、驚いてそれを聞くと、シスターは少し困惑した感じになったけれど、人が多くなって楽しいんですよ、と微笑んで言っていた。


中に入って皆でお茶を飲みながら、子供達の様子を聞く。

ウルは子供達と一緒に外で遊んでいて、凄く楽しそうに大きな声で笑っていた。

笑い声って良いな……って思いながら、思わず私も笑みが溢れてしまう。

子供達は元気で明るくて、貴方達の寄付があったから生活に困る事がなくなった、とお礼を言ってきた。

そんな事、いつしたんだろう……?

それでも、日々子供達も出来る事をして稼いでいるんだそうだ。


話が一段落した所で、行くか、となって席を立つ。


ウルは皆にいつまでも手を振っていて、名残惜しそうに孤児院をあとにした。


ここイルナミの街は、アクシタス国の国境沿いにある街だから、このままアクシタス国へ空間移動で行ってからグリオルド国へ言った方が近いからそうしようか、と聞くと、ウルはアクシタス国には行きたくないと言う。

じゃあ、そのままグリオルド国まで行こうってなって、私達は歩いてグリオルド国まで行くことにした。


オルギアン帝国にも行ったことがあるから、空間移動で行こうか?と聞いたけど、ゆっくり旅をしながら行こうって話し合って、ウルに早く母に会いたくないの?と聞くと、旅を楽しみながら行きたいから良いって言う。


そう言う訳で、私達はグリオルド国へ歩いて向かう事にしたんだ。







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