表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慟哭の時  作者: レクフル
第1章
3/363

道程


物心ついた時から、私と母は2人で旅をしていた。


どこに行くでもなく、1つの街や村に長くいることなく、ただ旅をしていたと思っていた。

その事に関して、なんの疑問も持たなかった。

ずっとそうであったのだから。


母は私が他の誰かと接触することを極端に嫌がった。

何日かおなじ宿に泊まると、宿屋の主人やおかみ、近所の子供たちとも少しずつ仲良くなっていく。

私はそれが嬉しくて、内緒で同じくらいの子供同士で遊んだりしていた。


しかし、見つかるとすぐに離され、私は凄く怒られた。

私は何がいけないのか理解できなかった。

私が反抗すると母はいつも悲しそうに私を見つめていた。

そんな悲しそうな顔を見るのが嫌で、徐々に私は人と接触をしないようになっていった。


そうして数日すれば、また違う街へと旅立つ。


旅をしながら、母は色んな事を教えてくれた。

方角の知り方、時間の読み方、薬草の見分け方や採取の仕方、薬の作り方、字の勉強に計算に、剣の使い方、魔法の使い方、魔物の殺し方、さばき方、野宿の仕方等、旅で生きていく為に必要な事以外にも、この世界の事や社会についての事等多岐に渡って教えてくれた。


今思えば、こんなに色んな事が教えられる人は、そうそういないのではないか、と感じる。

しかし、私は人との接触をしてこなかった。

だから結局どうなのかは、まだ分かってはいない。

誰かに確認することも出来なかったのだ。


そんな毎日を送り、私が15歳になった頃、母が突然いなくなった。


母がなぜ、私が人と接触するのを嫌がったのか。

それは成長するにつれて分かってきた。


だから、そうならないように行動することだって出来るようになってきた。

他人との距離感が分かるようになったのだ。


そう立ち回れる様になっても、私には母しかいなかったのだ。


身を寄せ合える人は、母しかいないのだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=849298090&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ