じぇいなやつ
ウルが少し落ち着いてきて、ふと私の後ろにいるエリアスを見た。
「なぁ。後ろのあれ、姉ちゃの彼氏か?」
「えっ?!」
「あれって言い方!まぁ、俺はそのつもりだけどな。」
「そうなんか?」
「えっと……そう……なのかな……」
「なんや、歯切れの悪い。」
「まぁ色々あんだよ。で、どうなんだ?ウルは腕輪、直せんのか?」
「分からんけど、やってみる。」
「そっか!ありがとな!」
リビングに戻ると、ウルは部屋を見渡して驚いた。
「あれっ?!テーブルも棚も色々無いやんか!なんでや!」
「あ、まだ戻してなかった。」
空間収納していた物を出して行く。
それを感心した顔でウルは見ていた。
「なんや凄いなぁ。」
「ウルがさっき放った魔法って、どんな魔法だったんだ?いきなり物が飛んできたけど。」
「アタシは木が操れんねん。だから、木で出来た物は、なんでも思うように出来るねんで。」
「そうだったのか。だから木でできた物だけが飛んできたんだな。」
「うん。まぁそこに座っとき。お茶くらい出したるわ。」
「知らん奴からちょっとレベルが上がったな!」
「アンタの事は変わらへんからな!」
「俺はエリアスだ。」
「名前だけ聞いたところでやで!」
「まぁ、気にすんなよ。」
「調子のええ奴やな。姉ちゃはこんなんのどこがええねん。」
「え……どこがって……」
「それは俺も聞きたい。俺にどこか良いとことかあんのか?」
「えっと……その……優しいところとか……強いところとか……」
「男が優しいのは当たり前や。優しくない男に価値なんかあらへんで。」
「厳しいな……!でも、強いって言ってくれてんだろ?」
「姉ちゃも強いやん。私の攻撃を弾き返したんやで?それなりに強いと思うけど。」
「そう言う強さだけじゃなくて……その……もう良いじゃないか!お茶は私が入れるからっ!」
「なんや恥ずかしがって。可愛いなぁ。」
「だろ?アシュレイは可愛いんだ!」
「で、エリアスは姉ちゃとずっと旅をしてたんか?」
「離れてた時もあったけどな……これからはずっと一緒に旅をするつもりだ。」
「離れてたって……好きやったら離したらアカンやろ!なんや、喧嘩でもしたんか?!で、離れてから気づいたとか、そんなんか?!」
「そんなんとは違うけど……でも、もう俺は離れるつもりはねぇよ。」
「ジェイでポップな歌によくあるヤツやな!アカンでホンマ!」
「なんだそれ?」
じぇいでぽっぷってなんだろう……って思いつつ、エリアスとウルの話を聞きながら、お茶の用意をする。
それから三人でテーブルを囲んでお茶を飲みながら話しをした。
しかし……
母が錬金術を使えるとは知らなかった。
隠してたのか、話す必要が無かったのか、錬金術を使う必要が無かったのか……
それはどうなのかは分からないけど、母は私の腕輪を作ろうと、その材料である鉱物と鉱石を探してここまでやって来たんだな……
私の元からいなくなってから、母はここにいたんだ……
しかし母は今、オルギアン帝国にいると、前にエリアスが言っていた。
オルギアン帝国の聖女として、そこから離れられないみたいだ。
そんな母の帰りを、ウルはずっと一人で待っている。
母はもうここには帰って来れないのに……
「ウル……ウルはこのままずっと、ここにいるつもりでいるのか?」
「え……」
「リサの……母の帰りをずっと待ってるつもりでいるのか?」
「……………………」
「ウル?」
「ほなどうしたらええの?!どこに探しに行ったらええの?!リサもお母さんも帰って来ぇへんけど……エルフが一人でどこに行けるって言うん?!」
「ウル……」
「ここはまだ安全な所って、他のエルフの仲間は言うてた!でも他の場所やったら、珍しがられて捕まるかも知れへんって!もしかしたら、お母さんもそうやって連れ去られたかも知れへんって!……アタシは待つ事しか出来ひんかってん!それしか……でも……誰も帰って来てくれへん……!」
「ごめん……ウル……」
涙をポロポロ溢して、ウルは耐える様にしながらも泣いていた……
どうにかしたい、でもどうにもできない……
そうやって幼いウルは、一人でずっと何も出来ずにここにいたんだな……
「なぁ、ウル。俺達と一緒に来ねぇか?」
「……え……?」
「実はリサのいる場所、俺は知ってんだ。」
「ホンマか?!」
「あぁ。オルギアン帝国って所だ。ここからは結構遠い場所になんだけど、リサはそこから離れられねぇんだ。」
「それは……なんでや?!」
「まぁ……色々あんだよ……また詳しく説明してやるけど……どうする?」
「オルギアン帝国……」
「知らない所は怖いか?俺達がウルを守ってやるしよ。そこは気にすんな?」
「ち、ちゃうわ!怖いとか!そんなんちゃうっ!……けど……」
「けど?」
「アタシが行って……リサは邪魔とちゃうかな……」
「それならその時だろ?ここで一人で待ってるよりも、リサに会ってそれからどうするか決めたら良いんじゃねぇか?また戻って来たかったら、いつでもそうすりゃ良いしな。」
「……ええんか……?」
「ダメなら、最初から聞かねぇって!なぁ、アシュレイ!」
「うん。一緒に行こう?このまま一人でここに残しては行けないよ。」
「姉ちゃ……」
「じゃ、決まりだな!」
「エリアス……」
また涙を溢すウルをぎゅって抱き締める。
ウルは嬉しそうに微笑んで涙を流していた。
しかし、母がいるオルギアン帝国……
母は回復魔法を使える事が分かって捕らえられたのか?
こんな遠い場所でオルギアン帝国まで?
それとも、自分からオルギアン帝国まで行ったんだろうか?
それはなぜ?
それに、なぜ私から愛する人の記憶を奪ったんだろう……?
母に会いに、オルギアン帝国まで行かなくてはいけない。
私が知りたい事を答えて貰うためにも……!
因みにですが、ウルが言う「姉ちゃ」は関西弁ではありません(´_`。)゛
関西弁、主に大阪の言葉で喋ってます。
分からなければご質問等、よろしくお願い致します。
これからも頑張って書いていきますので、どうぞよろしくお願い致します(* ̄ー ̄)




