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慟哭の時  作者: レクフル
第7章

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精霊に近い存在


少女はなぜか室内にいた筈なのに、マントを着ていてフードを被っていた。

そのフードから見えた髪の色が、銀色だった。



「なんやねん!アンタらっ!さっきからウルウルウルウル煩いっちゅーねん!」


「いや、なかなか出て来ねぇから。」


「こっちも色々忙しいっちゅーねん!それに知り合いでもないのに、なんで何回もウルって連呼されなアカンねんっ!なんやねん!アンタらっ!」


「用があって来たんだよ。中に入って良いか?」


「アカンっ!訳の分からん奴を家に入れる訳には……って、何勝手に入ってんねん!!」



エリアスがウルを気にせず家に入って行くから、それはどうかな……とか思いながら、私も一緒に部屋に入った。



「へぇ……中はまぁまぁ広いんだな。」


「せやから、なんで勝手にテーブルに着いてるねん!」


「あ、別にお茶とかいらねぇから。」


「誰が出すか!」


「そうそう。聞きたい事があんだけど。」


「なんやねん!」


「なんでそんな喋り方なんだ?」


「えっ?!アンタらと喋り方、そんな変わらへんやろ?!」


「いや、すっげぇ違う。まぁ良いけど。」


「良いんやったら聞かんでええやないかっ!」


「ここにいた錬金術師について聞きたいんだ。」


「え?!何?!錬金術師?!って……アンタ……」


「ん…?何?」



いきなりウルは私の顔をマジマジと見だした。



「え、なんか付いてるのか……?」


「え?あ、いや、何でもないわ……リサはおらへんで?今はアタシ一人や。」


「どこに行ったか、知んねぇか?」


「知らん。アタシも知りたい位や。」


「ウルも錬金術、使えんのか?」


「まぁ……ちょっとはな。」


「あ、じゃあこれ、ちょっと見て欲しいんだけど……」



私は割れた腕輪をウルに見せた。



「えっ?!ええっっ?!なんでこんなん、アンタらが持ってんねん!」


「え?!この腕輪の事、知ってるのか?!」


「これっ!リサが作ってたヤツや!アンタら!リサからこれを奪ったんか?!」


「リサがこれを作ってた?!え?!どう言う事なんだ?!」


「問答無用じゃ!成敗したらぁ!」



言うなり、ウルは私達に向かって魔法を放ってきた!

家にあるテーブルや棚、椅子等が一斉に私達まで飛んできた。

結界を張ろうとしたその時、右手薬指が輝いたと思ったら、飛んできた物が全部弾き返されて、ウルの頭に椅子が当たった。


咄嗟に空間収納を発動させて、棚やテーブル等を空間に入れる事ができた。

あのままだったら、棚やテーブルがあちこちに当たって、家の中がぐちゃぐちゃになってた筈だ。

良かった……


頭に椅子が当たったウルは、その場に倒れて気を失っていた。

ゆっくり近づいて、そっと右手でウルに触れてみる。

しかし、ウルの過去は見えなかった。



「エリアス……ウルの過去が見えない。この子は銀髪の部族なのかな……?」


「いや……そうじゃねぇと思う。耳、見えるだろ?」



言われて、フードから少し出た耳を見ると、その耳は大きくて尖っていた。



「この子は……エルフ……」


「エルフは精霊に近い存在とされてるからな。もしかしたら、それで触っても何も起こらねぇかも知んねぇな。」


「エルフには触れるのか……」


「俺はまだ触るの、ちょっと怖ぇけどな……」


「うん、仕方ないよ。」



エリアスが風魔法でウルを浮かせて、奥の部屋のベッドまで連れていって、そこにゆっくり下ろして寝かせた。

頭にあった大きなタンコブを、回復魔法で治す。


しかし……


ウルはここに一人で住んでるんだろうか……?

年は11、2歳位で、まだ一人で暮らすには幼い年齢と思われる。

この家でリサと一緒に暮らしていて、もしかしたらここでずっとリサの帰りを待っていたんだろうか……?


そっと頭を撫でると、ゆっくりウルは目を開けて私を見て



「リサ!」



そう言って私に抱きついてきた。

ビックリしたけど、そのままウルを優しく包み込む様にして、何度もウルの頭を優しく撫でた。



「リサ!どこに行ってたんや!ずっと待ってたんやで!?」


「あの……ウル……?」


「え……?」



顔を上げて、私の顔をマジマジと見て、それからビックリしてウルは私から離れた。



「な、なんや!リサちゃうやんか!って、なんでここに……あ、そうや!アンタらリサの腕輪っ!」


「だから違ぇって!これは俺が赤ん坊の頃から俺の腕にあったヤツなんだよ!そのリサって奴も知らねぇよ!」


「そんな嘘が通用するとでも思てんのか!」


「ウル……本当なんだ。これは能力制御の腕輪なんだろ?この腕輪があったから、私達にある異能の力が抑えられていたんだ。」


「え……?アンタ……もしかして……アシュリーか……?」


「え?!」


「なんで知ってんだ?!」


「そうか……やっぱりそうなんか……」



そう言ってからウルは一滴、涙を溢した……


なぜ私がアシュリーだと分かったんだろう?


なぜウルは泣いてるんだろう?


しばらくの間エリアスと私は、ウルの様子を見守っていたんだ……







いつもお読み下さって、ありがとうございます。


ブックマークに登録して下さった方、凄く嬉しいです!ありがとうございます!


評価して下さった方、感謝しかありません!


今回、ウルを関西弁にしましたが、もし意味が分からない等があれば、教えて頂けると助かります。


物語は終盤に向かって進めております。


少しでもお読み頂いてる方がいる事が、何よりの励みになっております。


今後ともどうぞ、よろしくお願い致します!

<(_ _*)>



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