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慟哭の時  作者: レクフル
第7章

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光る理由


身体中に力が漲って、隅々までその力が行き渡っていく感じが凄く心地良くって、今まで抑えられていた感覚は無かったけれど、解放された感じが凄くした……


そんな状態だったけど、エリアスと私は暫く、落ちて壊れた二つの腕輪を見続けて動けないでいた。


少しして、私が壊れた腕輪を拾い集めて、持っていた革袋に入れていくと、漸くエリアスも同じ様にして拾い始めた。

青の石を拾って、それをエリアスに渡す。



「アシュレイ……なんでこの石、俺に渡した?」


「え……その方が良いかなって思って……」


「この石の効果が分かるか?」


「えっと……何だろう……」


「無意識か……いや、良いんだ。これ持ってねぇと、もしかしたら精霊とか見えなくなるかも知んねぇからな。」


「そうなのか?!」


「あぁ。これはそう言う石なんだ。」


「そうだったんだ……」


「腕輪、壊れちまったな……」


「ごめん……」


「なんで謝るんだ?」


「だって……私が外せば良いって言ったから……エリアスの腕輪も壊れてしまった……」


「アシュレイが悪い訳じゃねぇよ。俺を思ってしてくれた事だろ?謝る必要なんてねぇって。」


「けど……腕輪がないと、エリアスも人に触れなくなる……」


「そうだな。けど、俺もアシュレイに触れたらそれで良いって言ったじゃねぇか。」


「エリアス……」


「けどこれ、どうにか治せねぇかな?」


「治すとしたら……鍛冶職人とか……錬金術師……か……」


「そうだな……おやっさんに頼んでみっか……それで無理だったら、そう言う奴らを探しながら、また二人で旅でもすっか?」


「二人で旅……うん、そうしたい。でもその前に、エリアスをちゃんと治させて?」



もう一度回復魔法をエリアスに施す。

エリアスは手を動かして確認して、痛みが無いことを教えてくれた。


良かった……


それからエリアスは、私から預かっていたと言う短剣を渡してくれた。

この短剣に嵌められてある石の効果で、私は空間移動が出来るようになって、魔素も集められるし、五感も鋭くなったし、第六感も得られたと教えてくれた。


そして、実はもう一つ預かっていて、それは白の石だけど、それをディルクに見せた時、ディルクが触った途端に体に吸い込まれていってしまった、と教えてくれた。

預かっていたのに、返せなくてすまねぇって謝ってくれたけど、その存在自体忘れているし、白の石は私に効果が無かったようだったから特に気にはならなかった。


それから、ピンクの石の首飾りについても話してくれた。


私も不思議に思っていた。

夜になるとこのピンクの石が光るんだ。

朝や昼に光る事もあったけど、夜は必ずと言って良い程光る。

それは、ディルクが私を思ってピンクの石を握っているからだ、とエリアスが教えてくれた。

光っている時に握ると、その人と会話する事が出来る魔道具らしい。

私も握った事がある、と言ったら、相手を思って握らないと光らないし、会話が出来ないと言った。


毎日毎夜……


ディルクは私を思ってこのピンクの石を握ってくれていたんだ……


そう思うとなんだか、心が温かくなってくる……



「やっぱり、そんな顔になんだな……」


「え?何が……?」


「ディルクを想ってる顔がな、いつもそんな嬉しそうな顔になってんだよ……」


「……そう……なのか……?」


「やっぱアイツには勝てねぇのかなぁ……」


「違っ……!それは……エリアス……!」


「良いって。仕方ねぇ事なんだ……あ、俺、ディルクに連絡しなきゃなんねぇ!ちょっと話しするな?」


「え?あ、うん。」



エリアスが自分のピンクの石を握って、それから何も言わずに黙って暫く動かずにいた。

それを私が不思議そうに見ていたからか、少しして私の方を向いて、ピンクの石は頭の中で話せるから、声に出さなくても会話が出来ると教えてくれた。



「ディルクは今手が離せねぇみたいで、話しは出来なかった。また後で連絡するな?」


「うん……」


「どうした?」


「……いや……その、ディルクって人と会って良いのかどうなのか、分からないんだ……」


「それは……なんでだ?」


「それが……よく分からないんだ……」


「そっか……けど……それじゃあ、どうするよ?」


「うん……ここまで来てしまったけど、もう一度シアレパス国まで戻りたい。これからどうするかはまだ分からないけど、ユリウスにも挨拶したいし、孤児院にも行きたいし……」


「そうだな……この二年間、アシュレイはシアレパス国の世話になったもんな。他に世話になった奴のとこも、あれば行くか?」


「うん。それで良い?」


「ったりめぇだろ?けど……ディルクとは……どうする?」


「うん……皆の所に挨拶に行って……彼の事はそれからでも構わないかな……?」


「分かった。そう伝えとくな?」


「うん……」



私のことを想ってくれているディルク……


でも、なんだろう……


何故か会うのが怖いんだ……


会っちゃいけない気がする……


なんでだろう?


気のせいかな……?


そうだと良いんだけど……







 

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