船の女
例に漏れず、俺はまた牢屋に入れられて嬲られている。
ったく……コイツらはどこに行ってもやる事は変わんねぇんだな……
兵達のストレス解消なのか、色んなヤツ等から殴る蹴るを受ける。
体の表面に風魔法を纏い、なるべく内蔵に響かない様にする。
そうしてると、あまりにヘコタレない俺にイライラして、更に暴行は酷くなっていく。
っとに、弱いもんイジメが好きなんだな。
けど、俺はお前等より強ぇけどな!
そろそろ殴るのも疲れてきた様で、そこから尋問が始まった。
普通は先に尋問からだろ!
「お前はどこの奴隷だった?どれくらい逃げてたんだ?」
「知んねぇな……」
「強情な奴隷だな。だからそんだけ痛め付けられたんだろうがな。」
「ぐぁっっ!!」
俺の右の掌に、でっけぇ杭を打ち込まれた。
ったく……字が書けなくなるじゃねぇか!
「お前の名前を言えっ!そこから調べてやる!」
「……奴隷に…名前なんてねぇんじゃ……ねぇか?……あっっくっ!!」
次は左の掌に杭を打ち込まれた。
両手ヤラレたら飯が食えなくなるだろ!
兵達にどこの奴隷だと聞かれても、俺はこの国の奴隷じゃねぇから何も言えねぇ……
両足にも杭を打たれて、まるでどっかの宗教の教祖様みてぇになった。
それからも聞かれるけど何も言えずにいる。
俺が壁に固定されたから、それを的にしてなんか投げてくる。
おいっ!俺をダーツの的にすんじゃねぇよ!
笑いながら、心臓に当たったら1000点な!とか遊んでやがる……
ここの兵達の質が問われるな……
あちこち地味に痛ぇんだぞ!これ!
風魔法で深く刺さらないようにはしてっけどな!
一番に俺を嬲っている奴がニヤリと笑い出す。
なに憎たらしい顔してんだよ!
くっそ!殴りてぇっ!!
「やっぱりお前はあの孤児院の連中を庇っていたんじゃないか?アイツ等をもう一度調べる必要があるか……」
「……ねぇ……よ……かん、けい……なんて……」
「では雇い主を言ってみろ!言えないのなら……」
「…ノエ…………オ……カ………、ニャ……」
「あぁ?!なんだ?!」
「ノエリ………オル………カーニャ………」
「何!?ノエリア・オルカーニャ?!嘘をつくなっ!」
「……聞け……ば…い、い……おれ……は……エリ………アス……だ……」
「そんな……っ!おいっ!すぐに確認しろっ!!」
ここまでされて、ようやく船であった女を思い出した。
けど、本当なら頼りたくなかったんだけどな……
しかしここは寒いな……
全身がすっげぇ寒い……
あぁ……そっか
俺から血が流れていってるから……
だから寒く感じんだな
あれからどんくらい経ったか分かんねぇな
結構血が流れたのかな
段々寒くなっていく
ちょっとこれはヤバいかな
最後に
アシュレイを見たかったな
アシュレイの……笑顔が見たかった
遠くからバタバタした音が聞こえて来たけど
顔を上げんのもしんどくなってきた……
……誰かが
名前……呼んでる……?
うっせぇな
そんなに何回も呼ぶなよ……
少し顔を上げて……
ボヤけた目で何とか見たら
あれは
ノエリア………?
なんだ
アシュレイじゃねぇのか
いや
アシュレイはここに来ちゃダメだから
これで良いのか
ノエリア
そんなビックリした顔すんな
笑っちまう……だ……ろ……
それから俺は全身に激痛を感じながら、暗闇の中に落ちていった……




