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慟哭の時  作者: レクフル
第6章

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新しい剣


ナルーラの街に起こった爆発は、一体誰が何の為に起こしたのか……


それはまだ解明できてはいないだろうけれど、まずは被害にあった周辺の被害状況等を確認する必要がある。


けれど、爆発して建物等にも影響があった筈なのに、その場所は何も無かったように、いつも通りの風景があった。


怪我をした人達も、いつの間にかすっかり傷が治っていて、不思議な事が起こったと口々に話していた。


しかし、少なくても犠牲になった人もいる。


その事もあって、爆発は気のせいだったのでは?等と感じていた人達も、現実に引き戻される。


それに、兵達は覚えていた。


聖女が現れて、この街を救ってくれた事を。


しかし、聖女を捕らえた筈なのに、領主や、その屋敷の使用人や駐屯している兵達は、何の事か全く分かっていない様な反応だったし、領主はいきなり病に臥せった様に、部屋に引き込もって誰にも会わない様になったりして、どうなっているのか分からない、と不思議な話として広まっていた。



そんな話を、インタラス国の王都コブラルで聞く。



あれからエリアスと私は予備の服に着替えて、王都の防具店へ行き、まずは私の肩当てと胸当てを購入した。


私とエリアスの装備していた物は、全てナルーラの領主の屋敷にあり、すぐに取り返しに行く訳にも行かなかった。


エリアスは防具類に予備があったから問題なかった様だったけど、武器が無くなった、と悔しそうにしていた。


それから武器屋へ行って、エリアスが代わりの剣を物色する。



「どうした、エリアス。おめぇの剣、どこやったんだ?」


「あぁ、ちょっと盗まれちまってな。取り返しには行くつもりだけど、丸腰じゃいけねぇだろ?」


「おめぇの剣を盗むとか、どんなヤバい奴なんだ?!」


「あ、すまない……私が借りてた剣も、その、盗まれてしまったんだ……」


「なんだそりゃ!!二人揃って何やってんだ?!」


「ハハ……そうだな……情けねぇ……」


「まぁ、おめぇら二人がそうなったって事は、よっぽどの事があったんだろうが……エリアス、おめぇの剣の代わりなんて、そうそう無ぇぞ?」


「あぁ、分かってる……」


「そんなに手に入らない剣だったのか?」


「そうだぜ!ありゃ魔剣だからな。滅多にお目にかかれるモンじゃねぇぜ?」


「そうなんだな……」


「まぁ、盗んだとは言え、誰にでも使える代物でもねぇしな。売りに出そうにも、使い手が分かってるモンは、簡単には売り買いできねぇさ。当分は流れたりしねぇから安心して良いとは思うがな。」


「あぁ。そうだな……」


「で、アシュレイ。待たせたな、おめぇの剣、仕上がったぜ!」


「そうなのか?!」


「どんなのだ!?早く見せてくれ!」


「まぁ、落ち着けよ。試し切りもしてぇだろ?裏手に回って待っててくれ。」



言われた通り裏手に回ると、剣が振れるように

藁を束ねて立てた柱と、木の柱がいくつかあった。


武器屋の店主が剣を持って来て、それを私に手渡した。


手にしっかり馴染むような感覚で、長さも重さも、振るうのに自分に合っている様な感じがする。



「魔力を這わせてみてくれよ。」



店主に言われた通り、魔力を剣に這わせる。


まずは雷魔法を這わせてみた。

すると、少しの魔力で剣全てが電気を纏った様に、雷剣となった。



「凄い……っ!」


「なんだ?!形もすげぇ変わってんな!」


「その魔法に合った形に剣自体が変化する。前は魔法を這わせて、剣の表面の魔力が形を変えた感じだったと思うが、この剣は自在に適した形に変わる様に仕上げたぜ!」


「そんな事が出来るなんて……っ!凄いっ!」



次に火魔法を纏ってみると、剣は火を纏った炎の形になった。

それで切ってみると、木の柱は切った後、一瞬にして燃え盛り、炭になってポロリと落ちた。



「うわぁっ!うわぁーっ!凄い!エリアスっ!この剣凄いっ!!見て見て!凄いんだっ!」



エリアスを見ると、エリアスも嬉しそうに微笑んでいる。


その様子を見て、店主は何故か首を傾げる。


ひとしきり試して、新しい剣がこんな凄い剣だと言うことが嬉しくて、ニコニコして剣を鞘に入れてつい抱き締めてしまう。



「おやっさん、すげぇ頑張って作ってくれたんだな。流石、伝説の名匠と言われるだけある!ありがとな!」


「そりゃおめぇ、あんな技見せられたら、それに合う剣を作ってやりてぇって思うじゃねぇか!」


「ありがとう!嬉しいっ!大切にするっ!!」


「……アシュレイ、おめぇ……可愛いな……」


「おやっさん!何言ってんだよっ!」


「いや……何か……そう思ってな……エリアスの、アシュレイを見る目も……なんつぅか……いや、何でもねぇ。」


「そんな事より、これの代金は……?」


「もうエリアスから貰ってんぞ?」


「えっ!?エリアス、私も出すっ!この剣なら、きっと凄く高いと思うっ!」


「大丈夫だ。気にすんな。ありがとな、おやっさん。」


「え……でもっ!」



エリアスがまた私の頭をポンポンする。



「で、エリアス、おめぇの剣はどうする?」


「あぁ、これにするわ。」



立て掛けてあった剣を手にして、店主に見せる。



「そうだな……無難だな。あの魔剣の代わりにゃならんが、代用ならそれでも問題なく使えるな。まぁ、それも当分は貸しといてやる。取り返したら、返しに来いよ?」


「良いのか!助かるぜ!ありがとな!!」


「アシュレイの剣でかなり懐が寂しいだろ?」


「そうだっ!エリアスっ!」


「大丈夫だ、アシュレイ。気にすんな。」


「エリアスなら、すぐにまた稼げるさ!なぁ!」


「当然だ!」


「それより、エリアス。その首の傷痕、どうしたんだ?おめぇ、傷が出来たら、治っても当分は痛みが続くだろ?注意しねぇといけねぇぞ?」


「え……?」


「大丈夫だ。もう全然痛くねぇ!じゃあな!」



そう言って私の手を掴んで、足早にエリアスは店を出た。



「エリアスっ!傷が痛むってっ!治っても痛むって!」


「ったく……余計な事……」


「エリアスっ!」


「大丈夫だ。ちょっと疼くくれぇだ。心配すんな。」


「でも……」


「アシュレイ、気にすんなって。それより、装備してたの、取り返しに行かなきゃな。」


「それはそう……だけど……」


「どこにあるのか、場所が分かれば良いんだけどな。」


「うん……」


「んな顔すんなよ。あ、そうだ、スラムに差し入れ行かねぇか?またアシュレイに炊き出しして欲しいんだけど、良いか?」


「それは勿論!良いに決まってるじゃないか!」


「じゃあ行こうぜ!」


「うんっ!」



エリアスの気遣いが嬉しいけれど、私はきっとエリアスに甘え過ぎてる様に思う……



どうやって彼に返していけば良いんだろう?



そんな事を考えながら、私はスラムへと向かったんだ……








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