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慟哭の時  作者: レクフル
第1章

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人間として


コンコン


ドアがノックされる。


ドアが勢いよく開いてレクスが入ってきた。



「シスター、ご飯だぞ!」


「レクス!何度も言ってるいのに……!」


「やべ!またやっちまった!ごめんよ!シスター!」


そう言ってバツの悪そうな面持ちで、シスターに持ってきた食事のトレーを、ベッド脇の小さな棚の上に置く。


「アッシュ、あっちで一緒に食べようぜ!」


言いながらレクスは小走りで行った。


申し訳なさそうに会釈をするシスターに、私も同じ様に会釈を返し、レクスの後を追う。




食卓には買ってきた食料の他に、野菜のスープも置かれていた。

今日の夜ご飯として、子供達が用意していた物だった。


レクスの横に座るように案内されると、皆でお祈りをする。


「いただきます!」


そう言って、皆でワイワイ喋りながら食べる。




「この串焼き、うっめぇー!」


「この香草煮も美味しいよ!」


「パンと一緒に食べれるのが最高だな!」


本当に楽しそうに美味しそうに、皆笑顔で食事をとっている。


「この野菜のスープも美味しいよ。」


私が言うと、マーニは嬉しそうに私の顔を見て、顔を赤らめながら


「良かったぁ!」


と安堵の表情を浮かべた。


皆で食事をすると、美味しく感じる。


これは本当の事だったんだな。


こんな大人数での食事が始めてだった私は、今まで感じた事の無いような感情が、胸に暖かく広がっていく。




始めてのこの感覚に、まだ自分が人間であることを分からせて貰った気がする。




色んな能力を使える様にもなって、自分が人間ではない者の様に感じていた私は、段々と感情が薄れていってる様にも感じられたのだ。




いつまでもこの感情を噛み締めていたい。




しかし、そんな事は私にはきっと許されないのだろう。




分かっている。




分かってはいるんだ。




でも今だけは




この胸に広がる暖かな気持ちに身を委ねるとしよう。







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