そして黒の石は
前回投稿した分が、気づいたら途中までしか投稿できてませんでした!
中途半端な所で終わっていてすみません!
続きです!
テネブレはそう言うと光の粒になって、それが一つに小さくなって黒い石になった。
「あ……」
「こんな簡単に石になるんだな。」
「他の石に宿った精霊達も、名前を呼べば出て来てくれる筈ですよ。しかし、その石でいる時、眠らない私達は眠れているのです。それが何とも心地良いのです。滅多に自分で出ては来ないと思いますよ?」
「そう言うものなんだな……」
「ところで、そのユグドラシルってのは、今どうしてんだよ?」
「精霊は人間よりも長生きします。愛した人間の男が亡くなった後、精霊界へ帰りました。」
「え?!そうなのか?じゃあ、なんでアンタ達は残っているんだよ?!」
「言ったでしょう?この石であるのは、何とも心地が良いと。人と交われる事も、実体を持てて素晴らしい感覚を得られるのです。それに、子供達と関わっていると、やはりその後が心配でもあります。なので、彼女の代わりに見守る事にしたのです。」
そう言い残して、セームルグも光出すと、石に変わっていた。
私は石になったテネブレを手に取った。
すると、短剣に嵌めた訳でもないのに、石が黒く光り出して、私の中に吸い込まれるように一つになっていく……
身体中に広がる、あの感覚……
テネブレが私の中を這うような感覚が……凄く……快感で……
「……ん……あ……テネブ、レ……待っ……」
「アシュレイ!?」
身体中に行き渡った感覚がなくなって行くと、私の姿は変わった様だった。
とても体がスッキリしている。
力も漲っている。
「アシュレイ?……大丈夫か……?」
「エリアス?……心配そうな顔をして……」
「え、アシュレイ……?」
エリアスに近づいて、頬に手を添える。
何だかエリアスが困っている様で、それが楽しくなってきた。
「どうした?何が心配?」
「あ、いや、体とか……問題ないかなって……」
「フフ……変に見えてる?私、どこか可笑しい?」
そう言って、エリアスの首に手を回す。
「何やって……アシュレイっ!」
「なに?エリアス?」
「……っ!」
「どうした?何を考えてる?」
エリアスの顔を、微笑みながら下から見上げる様にして聞いてみる。
エリアスは私の頬に手を添えてくる。
「アシュレイ……俺……アシュレイの事が……」
「……エリアス?」
「……くそっ……!やっぱダメだっ!テネブレっ!」
名前を呼ばれたテネブレがそれに反応して、私の中からゴッソリ抜けて行った。
足元には黒い石が転がっていた。
また膝が崩れそうになったのを、エリアスはしっかり腰を支えてくれた。
私も倒れない様に、つい首に回した手に力を入れてしまう。
「アシュレイ……あぁ、良かった……ヤバかった……!」
「エリアス……あ、ごめん……」
「いや……分かってるっ!でも……俺にも我慢に限界があんだよっ……」
「え?!どうしよう?!怒ったよね?どう謝ったら……」
「怒るとかの我慢じゃねぇからっ……」
キツくエリアスが私を抱き締める……
「頼むから……俺を誘惑しないでくれ……」
「え……そんなつもりじゃ……」
「分かってる……っ」
「エリアス……そんなにキツくしたら……苦しい……」
「……すまねぇ……」
エリアスがそっと私を離した。
それから、足元に転がった石を拾った。
「とんでもねぇな……」
「この石を使うのは……やっぱり怖い……」
「そうだな。滅多な事じゃ使えねぇな。」
「うん……テネブレ……」
私が名前を呼ぶと、黒の石は再びテネブレへと戻った。
「アシュリー!何故我を受け入れぬ?」
「今はまだ……その時じゃなさそうだから……また力を貸りる時が来たら、その時は頼む。」
「仕方がない。またいつでも呼ぶが良い!ではな!」
黒の光の粒になって、テネブレが消えて行った。
テネブレが去った後は、ちょっと気まずいエリアスと二人きりになった……




