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慟哭の時  作者: レクフル
第6章

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そして黒の石は

前回投稿した分が、気づいたら途中までしか投稿できてませんでした!

中途半端な所で終わっていてすみません!

続きです!


テネブレはそう言うと光の粒になって、それが一つに小さくなって黒い石になった。



「あ……」


「こんな簡単に石になるんだな。」


「他の石に宿った精霊達も、名前を呼べば出て来てくれる筈ですよ。しかし、その石でいる時、眠らない私達は眠れているのです。それが何とも心地良いのです。滅多に自分で出ては来ないと思いますよ?」


「そう言うものなんだな……」


「ところで、そのユグドラシルってのは、今どうしてんだよ?」


「精霊は人間よりも長生きします。愛した人間の男が亡くなった後、精霊界へ帰りました。」


「え?!そうなのか?じゃあ、なんでアンタ達は残っているんだよ?!」


「言ったでしょう?この石であるのは、何とも心地が良いと。人と交われる事も、実体を持てて素晴らしい感覚を得られるのです。それに、子供達と関わっていると、やはりその後が心配でもあります。なので、彼女の代わりに見守る事にしたのです。」



そう言い残して、セームルグも光出すと、石に変わっていた。


私は石になったテネブレを手に取った。


すると、短剣に嵌めた訳でもないのに、石が黒く光り出して、私の中に吸い込まれるように一つになっていく……


身体中に広がる、あの感覚……


テネブレが私の中を這うような感覚が……凄く……快感で……




「……ん……あ……テネブ、レ……待っ……」


「アシュレイ!?」



身体中に行き渡った感覚がなくなって行くと、私の姿は変わった様だった。


とても体がスッキリしている。


力も漲っている。



「アシュレイ?……大丈夫か……?」


「エリアス?……心配そうな顔をして……」


「え、アシュレイ……?」



エリアスに近づいて、頬に手を添える。

何だかエリアスが困っている様で、それが楽しくなってきた。



「どうした?何が心配?」


「あ、いや、体とか……問題ないかなって……」


「フフ……変に見えてる?私、どこか可笑しい?」



そう言って、エリアスの首に手を回す。



「何やって……アシュレイっ!」


「なに?エリアス?」


「……っ!」


「どうした?何を考えてる?」



エリアスの顔を、微笑みながら下から見上げる様にして聞いてみる。


エリアスは私の頬に手を添えてくる。



「アシュレイ……俺……アシュレイの事が……」


「……エリアス?」


「……くそっ……!やっぱダメだっ!テネブレっ!」



名前を呼ばれたテネブレがそれに反応して、私の中からゴッソリ抜けて行った。

足元には黒い石が転がっていた。


また膝が崩れそうになったのを、エリアスはしっかり腰を支えてくれた。

私も倒れない様に、つい首に回した手に力を入れてしまう。



「アシュレイ……あぁ、良かった……ヤバかった……!」


「エリアス……あ、ごめん……」


「いや……分かってるっ!でも……俺にも我慢に限界があんだよっ……」


「え?!どうしよう?!怒ったよね?どう謝ったら……」


「怒るとかの我慢じゃねぇからっ……」



キツくエリアスが私を抱き締める……



「頼むから……俺を誘惑しないでくれ……」


「え……そんなつもりじゃ……」


「分かってる……っ」


「エリアス……そんなにキツくしたら……苦しい……」


「……すまねぇ……」



エリアスがそっと私を離した。


それから、足元に転がった石を拾った。



「とんでもねぇな……」


「この石を使うのは……やっぱり怖い……」


「そうだな。滅多な事じゃ使えねぇな。」


「うん……テネブレ……」



私が名前を呼ぶと、黒の石は再びテネブレへと戻った。



「アシュリー!何故我を受け入れぬ?」


「今はまだ……その時じゃなさそうだから……また力を貸りる時が来たら、その時は頼む。」


「仕方がない。またいつでも呼ぶが良い!ではな!」



黒の光の粒になって、テネブレが消えて行った。


テネブレが去った後は、ちょっと気まずいエリアスと二人きりになった……










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