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慟哭の時  作者: レクフル
第1章

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ダンジョン 1


イルナミの街を出て西に1時間程歩いた場所に、洞窟のダンジョンがある。


行くまでには、森を抜けて行くのだが、ここにも魔物は存在する。


ただ、ダンジョンよりは弱い魔物が殆どで、Fランクの冒険者だと簡単に討伐できる。

Gランクはどうかと言うと、油断しなければ勝てるだろうと言うレベルだ。



森を抜けてダンジョンに向かう。

早めにダンジョンに到着したかったので、威圧を纏う。

これで弱い魔物であれば向かってくる事はないだろう。

途中何度か魔物に出くわしたが、私を見るなり逃げて行くものばかりだったので、然程時間もかからずにダンジョンまでたどり着いた。



入口にはちらほらと商売人が見えて、ポーション等を割高めに販売している。


あのポーションの質はあまり良くないな。


まぁ、彼らも商売だ。

何も言いはしない。


そんな中をすり抜けて、ダンジョンに潜り込む。

ここの魔物はどんなだろうか。

威圧を解いて、進んで行く。



ダンジョンの中は、魔道具の明かりが等間隔で設置してあり、暗くて見えない等と言う事はない。


1階の地図は持っていないので、適当に進んでみる。


朝だから冒険者の数が多かったので、1階の中頃まで進まないと、魔物が現れなかった。




やっと見つけた魔物。




ゴブリンだ。




ゴブリンは一匹単体では弱いので、集団で襲ってくることが多い魔物だ。

体は小さいが、俊敏な動きをする。

石と棒を組み合わせて武器を作る等、知恵もある。


私が一人だと分かると、口元をニヤつかせて3匹で同時に襲いかかってきた。


剣を抜くと同時に、そのまま横凪ぎに振るう。

3匹のゴブリンの体は腰から上下に別れ、1匹の腰から下だけが数メートル走って倒れた。

他のゴブリンも上半身と下半身がバラバラになった事に数秒気づかず、武器を振るおうとするも力が入らず、その内ビクンビクンと体を震わせて絶命していく。


ゴブリンは素材になるものが少ないので、解体はせずにそのまま放置する。

暫くすると、小さな魔石を残して消滅した。


ダンジョンに住む魔物は、倒してからすぐに解体するか、そのまま持っていくかしなければ、ダンジョンから魔石だけを残して消滅してしまうのだ。


大容量の収納鞄があれば、そのまま解体せずに収納して、仕事が終わったらギルドに持ち込んで解体してもらうのもアリだ。

しかし収納鞄は高価で、ある程度実績を上げて資金を稼がないと手に入らない。


まぁ、貴族だかの子供が最初から持っていたりする事もあるが、魔物を解体する技術も冒険者であるなら必要で、初めから収納鞄を持っていたら全て鞄に詰め込んでしまう傾向にある。


そうなると、自分で解体しようとはせずに解体屋に全て任せてしまう場合が殆どになる。


自分で解体しなければ、必要な部位とそうでない部位を見分ける技術も身に付かず、悪どい解体屋にボラれる事もよくある話しなのだ。


新人冒険者は、小さな仕事からしっかり手間をかけ、学んで成長して行くことがとても大事で、その行程を経て上級の冒険者へとなっていくものなのだ。




ゴブリンの魔石を拾っている時、後ろから



「オメェ、案外やるなぁー。」



と、クオーツが声をかけてきた。


どうやら心配して後をつけてきたらしい。


とは言っても、つけられてるのは分かっていたのだが。


本当にクオーツは心配性で、面倒見がいいヤツだ。



「そんなに頼りなく見えたか?」


口の端を上げながら、クオーツの方に振り向く。



「まぁ、な。

その細腕じゃ魔物一匹切り殺せねぇんじゃないかってね。

それが、どうしたどうした。

なかなかやるじゃねぇか。

剣を横に振るっただけだが、一振りで3匹とも一片に片付けるには、タイミングが大事だ。

その微妙な間を見つけて剣を振るうのは、すげぇ難しい事くらいは分かる。

アッシュ、オメェ名うての剣士だったのか?」


「いや、たまたまだ。」


「そんな事はないだろうが、まぁいいや。

これで気にせず、自分の仕事ができらぁ。」


「本当にクオーツは優しいんだな。」


笑いながらそう言うと、


「ダレカレ構わずこんな事しねぇよ。

ただ、なんつぅか、アッシュは放っておけなくてよ。

俺もよくわかんねぇが。」


「気持ちに感謝する。ありがとう。」


「す、素直に何でも言や良いってもんじゃねぇぞ!

じゃあな!」



そう言ってクオーツは、他の道へと足早に去って行った。


本当に彼は照れ屋だ。




さぁ、私もこのダンジョンを攻略するとしよう。






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