表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慟哭の時  作者: レクフル
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

158/363

母の思惑


「どうする?ランク上げるか?」


エリアスに言われてハッとして


「いや……今はこのままで良い。」


「そっか。まぁ、アシュレイがそれで良いんなら良いけどな。」


「換金はエリアスに任せてしまうけど……」


「それくらいどうって事ねぇよ。……ん?」


「ん?」


エリアスの目線を辿ると、私はエリアスの肘辺りの服を握っていた。


「あ!ごめんっ!」


「いやっ!良い!全然問題ねぇっ!」 


すぐにそれを離す。


「離さなくて良かったのによ……」



自分でもビックリした。


無意識に人に触れているなんて……


こんなこと、今までなかったのに……



「まぁ、換金したし、この街で一泊すっか?」


「うん……」


「さっきからどうした?」


「え?あ、うん、何でもない。」


「俺には何でも言えよな?一緒に旅をする仲間だろ?」


「……うん。ありがとう。エリアス。」


「飯でも食って、ちょっと話すか。」



それから2人で食事をしながら話をした。


私は気になっている事を、エリアスに話してみた。



「そうだな……今の話だけ聞くと、アシュレイの母親は何かから逃げている様にも考えられるな。」


「やっぱりそう思うか?」


「状況を考えればな。しかし、何から逃げてたんだろうな。」


「……分からない。もしかしたら、私が男を装うのも、逃げる為に必要な事だったんじゃないかな……」


「そう考えると辻褄が合うのか……」


「でも、じゃあ何でいきなり私の前からいなくなったんだろう?」


「アシュレイは物心ついた頃には旅をしていたんだよな?」


「あぁ、そうだ。」


「小っちぇのが大きくなったら、それは誰か分かんなくなるかも知んねぇけど、大人じゃ容姿はそう変わらねぇからな。」


「母といると、私が母の子だと分かってしまうから……?」


「一緒じゃねぇ方が、アシュレイの事は誰にも気付かれねぇから……か?」


「だから私が成人してから、母は姿を消したのか……?」


「それまでは心配で、離れられなかったのかも知れねぇな……」



考えれば考えるほど、行き着いた答えが、パズルのピースを嵌めるように埋まっていく。



母は何かから逃げていた。


終始目立たない様にしていたのはその為。


それは私を隠す為…?


だから、私を男の子にした。


大きな街や王都には近寄らなかったのは、人が多い所を避けていたから…?


私の前からいなくなったのは、自分といることで私の存在が分かってしまうから……?



何から逃げていた……?



私を誰から隠そうとしていた……?



新たな疑問が胸を覆いつくす。




「そんな不安そうな顔すんな……」


「え?あ、ごめんっ!」


「謝んなくていいぜ?大丈夫だ、俺がずっと一緒にいるからよ。アシュレイの母親の所へも、いつか飛んで行けるかもしんねぇだろ?」


「そうだな……エリアス。ありがとう。」


そう言うと、エリアスは私の頭をワシャワシャしだした。


これは彼なりの慰める行為なんだろうな。


ボサボサの頭になったので、私もお返しにエリアスの頭をワシャワシャした。


2人でボサボサの頭になって、また笑いあった。


誰かといるって事は、重たい気持ちを共有したりも出来るんだな。

そうして気持ちを軽くする事も出来るんだな。



ディルク……



ディルクは今どうしてる?



あれから石を何度握っても、ディルクからの返事はないままだった……










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=849298090&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ