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慟哭の時  作者: レクフル
第4章

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別れの予感


エリアスが私の手首を掴んだまま、ギルドの裏手にある公園までやって来た。

そこには木があって、レクスはその木の枝に座って待っていた。



「エリアス?!どう言う事なんだ?!」


「そのまんまだよ。俺はアンタと一緒に旅に出る事に決めた。」


「なんでそんな事……っ!」


「アンタを一人に出来るかよ。」


「私はレクスと一緒に……」


言ってる途中で、レクスを見た。


レクスは泣きそうに笑っていた。


その表情を見て、エリアスを見る。


「俺、ボウズに全部話したからな。」


「エリアス!何でそんな事っ!」


「じゃあこのままで良いのかよ!」


「……っ!」


「アンタだって分かってんだろ?このままじゃダメだって。ボウズも分かってんだよ。」


「レクスっ!」


レクスは枝から降りてきて、私の側までやって来た。


「アッシュ…。俺……、俺……。」


「レクス、レクスは森にいれば大丈夫なんだろ?もう森から離れないから。そうしたら、ずっと一緒にいれる!」


「アッシュ……」


「イルナミの街に帰っても良い!あそこは森も近いし、孤児院の皆もいる!うん、そうしよう、レクス!」


「アシュレイ……」


「ずっと一緒だって言った!レクス、ずっと一緒にって……っ!」


知らずに涙が出ていた。


「アッシュ…ごめん……」


「なんで謝るの?!レクス?」


「や、やっぱりさ、ここにいてるの、疲れるからさ、ずっとは無理だったな!」


「……っ!」


「今度のさ、満月の時が良いって言うんだ、エリアスがさ!」


「レクス……」


「俺、ちょっと用事あるからっ!」


レクスがフッと消えてどこかに行った。


涙が出てどうしようも無くて、ただそこに佇んでいた。


「アシュレイ……」


エリアスが私を抱き締める。


でもそれを両手で突っぱねた。


エリアスの元から、思わず走り出す。


「アシュレイっ!」





それから、レクスを探して王都を歩いた。


あっちへこっちへ、レクスの姿を求めてただ歩く。



分かってるんだ。



レクスは天に還してあげた方が良い。



この世にとどまっていたら、レクスは悪霊になってしまうかも知れない。



それはレクスの為にならない。



心優しいまま、天に還してあげなければ……



エリアスが言い出さなければ、このままズルズルしていた筈だ。



エリアスは、私とレクスの事を思って、一番言いにくい事を言ってくれたんだ。



分かってる……



分かってるんだ……



王都中を探し回り、気づくと空には星が出ていた。



宿屋に戻り、部屋に入る。


レクスはまだ帰って来ていなかった。


外套を脱ぎ、革手袋を外し、肩当てと胸当てと、頭のベルトと腰のベルトも外して、ベッドに横たわる。


レクスは帰って来てくれるのかな……


そんな不安が胸を襲う。


不意にピンクの石が光だした。


すぐに握ってディルクを想う。



『アシュリー?』


「ディルクっ!目が覚めた?!大丈夫?!もう痛くない?!」


『ハハ・・・もう大丈夫だよ。』


「本当に?」


『本当だ……アシュリー、レクスはどうした?』


「レクスが…いなくなってしまう……」


『どう言う事か、話してくれるか?』



それから今までの経緯をディルクに話した。



「ディルク……」


『うん?』


「会いたい……」


『俺もだ。』



私は紫の石の指輪を握り締めて、ディルクの事を想った。



視界が歪んでいって、それから暗闇に包まれて、新しい歪みが現れてから、それが形を成していく。



そこはディルクの部屋だった。











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