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慟哭の時  作者: レクフル
第1章

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石の効果


宿に帰って短剣を手に取る。



柄にある窪み。



そこには丸い赤い石と、ひし形の黄色の石が埋め込まれている。


これは母が置いていった短剣だ。


その近くに置いてあった、革袋の中にあった丸い赤い石と、ひし形の黄色の石。





一人になって暫くは、一人で旅をする事に必死だったし、何故か初めは短剣に石をあて填めるのに躊躇したのだ。

短剣は鞄の奥に仕舞い込んだままだった。



3年が過ぎ、一人旅が慣れた頃、何の手掛かりもない母の事に苛立ちを覚えて、思い出したように鞄の奥深くに仕舞い込んでいた短剣を手に取り、石を填めてみたのだ。




赤い石をあて填めたとき、全身に魔力の様なモノがみなぎった。


驚いて短剣を確認すると、うっすらと赤く輝いていた。


短剣から手を離してもその力は留まらず、全身を駆け回るように、体の中を確認するようにうごめいている。


戸惑いはあったが、不思議と何故かその感覚が懐かしくも思えたのだ。


よく見ると、私の体もうっすらと赤く光り輝いていた。


しかし暫くすると全身に駆け巡ったモノは、元いた場所に落ち着くように収まった。


私から赤い光は無くなっていた。




自分の体に何がおこったのか。




私は体に魔素を採り入れられる様になっていた。

それよりも驚くことに、周囲の魔素をコントロール出来るようにもなっていたのだ。


これは魔物に合った時に便利な機能で、魔法を打って来ようとする時に使えなくすることが出来るのだ。


魔法を使わない魔物にはあまり意味は無いが、その他にも魔素を多く必要とする薬草が欲しいときは、森の中で魔素を一定の範囲に留めると、とても稀少な薬草が育つのだ。

それも凄く早く育つ。


これのお陰で、私はお金には困らなくなった。





もう一つの黄色の石。


これを短剣にあて填めたとき、赤い石の時と同じ様な感覚に襲われた。


全身を駆け巡るモノ。

不思議と嫌な感じはしない。

体の隅々まで行き渡らせるように駆け巡り、落ち着いた時に、分かったことは。



この短剣に填めるであろう、他の石の存在が何処にあるのかが分かるようになったのだ。



とは言っても、近くにない場合は大体の方角しか分からず、今回の場合は淡い緑色が強くある方角に見えたのだ。


他の方角よりも、一際強く。


場所は他の石よりも遠かったかもしれないが、これだけ強く感じると言う現象に、いてもたってもいられなかったと言うのもあり、砂漠を選んでやって来たのだ。



それがこの街に来た理由。



黄色の石による力はそれだけではなく、五感が研ぎ澄まされる様になった。

遠くまで見えるようになり、遠くの音まで聞こえるようになり、鋭く匂いを感じるようになり、食事は何が使われているのか全て分かるようになった。


が、普段は疲れるので、制御するようにはしている。



一番気に入ったのは、鑑定が出来るようになったことだ。

物であっても、人であっても、魔物であっても、今のところは全ての物を対象に鑑定が出来る。





まぁ、鋭すぎる感覚も制御出来れば問題ないが、慣れるまでは感じすぎる事にホトホト疲れたものだ。




淡い緑色の石。




あのダンジョンにあるのは、恐らくそれだろう。











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