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慟哭の時  作者: レクフル
第4章

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飛ばされた先


周りがグニャグニャに歪んで、フッと暗くなったかと思うと、ちがう景色が目の前に現れた。



「どこだ?ここは……?」


エリアスは確認する様に、辺りを見渡していた。


私はディルクが目覚めた事が嬉しくて、ただ涙が溢れていた。


「アシュレイ?」


「あ、エリアス、何でもないっ!」


「アイツの為に泣いてんのか?」


「…ディルクは……私を助けてくれて…ずっと眠ってて目が覚めなくてっ!」


「そうか……」


エリアスは私の頭を自分の胸に押し付けて


「泣き止むまで、俺の胸を貸してやる……」



それから暫く…



私達はそのままでいた……








なにも言わずに、エリアスは胸を貸してくれていた。


暫くしてから


「大丈夫か?」


ようやく落ち着いて来た私を見て、心配そうにエリアスが訪ねる。


急に恥ずかしくなって、


「あ、ありがとう、エリアス、もう大丈夫だから……」


そう言って、エリアスから離れる。


不意にエリアスが私の腕を掴んで、自分に引寄せた。


それから、私をきつく抱き締める。



「エリアス?!」



「悪い、ちょっとだけ、このままでいさせてくれ……」



何も言えずに、そのままエリアスの腕の中にいる。


セルジの時の様に、嫌な感じはしなかった。



けど……



暫くして、エリアスが吹っ切れた様に、私を離した。


「悪かったな。」


エリアスはそう言って微笑んだ。


「ううん……」


そう返すと


「あのディルクって奴の事が好きなのか?」


そう聞かれて、恥ずかしくなって下を向きながら


「うん……」


そう一言呟いた。


「あー!もう!クソっ!」


何かに八つ当たりするかの様に、エリアスは辺りにある木や地面を蹴っていた。


そして、私の方を向いて


「でも、俺は簡単には諦めねぇからな!」


エリアスはそう宣言した。


「エリアス…」


「何だ?」


「……何を諦めないんだ?」


「………っ!」


エリアスは後ろを向いて、


「アンタには負けるよ……」


深いため息をつきながら、下を向いたままそう言った。





辺りをキョロキョロ見渡して、ここが何処なのかを確認しようとするけれど、今自分達が何処にいるのかさっぱり分からなかった。


周りは木々があって、他にはなにも分からない。


森を抜けたら、そこには門があって、薔薇が咲き乱れていた。


奥には大きな屋敷が見えた。


とにかく、ここがどこだか知りたかったので、その屋敷の人に聞くことにした。


門には魔道具の灯りがあって、その近くに呼び鈴があった。


それを鳴らすと、少ししてからその呼び鈴から声が聞こえた。


これも魔道具なんだろうな。



「どちら様でしょうか?」


「あ、すみません、この近くで迷ってしまいまして、帰り道を探している所なんですが…」


「そうなんですね。少々お待ち下さい。」


暫く待つと、女の子が走ってきた。


「こんばんは。迷われたんですか?」


赤い髪のメイド服を着た少女は聞いてくる。


「はい。ここが何処かも分からなくて…」


「それはお困りでしょう……もう夜ですし、このまま歩くのは大変だと思いますので……どうぞ、中に入って下さい。」


「えっ、良いんですか?」


「はい、ここの主人は、困っている人には優しくしなさい、と言っているので、大丈夫です!…多分……」


「多分?」


「きっと大丈夫です!どうぞ!」


門を開けて、少女は私達を受け入れてくれた。


こんなに警戒心も無くて大丈夫なのか?!と、こちらの方が心配になってしまう。


薔薇園を歩いて行く。


手入れがきちんとされていて、凄く綺麗な状態の薔薇達ばかりだった。


邸の一角に、大きな木があって、そこにベンチとテーブルがある。


落ち着けそうな場所だなぁ……と思って見ていると


「その場所、私共の主人のお気に入りの場所なんですよ!」


と、少女は嬉しそうに教えてくれた。


邸の中に入ると執事らしき人がいて


「ミーシャ、そちらの方々は何方ですか?!」


と聞く。


「この辺りで道に迷われたそうなんです。困っている人には、リディ様は優しくしなさいって言われているので、ご案内させて頂きました!」


「そうですか…」


執事の男は困った顔をしていたが、招き入れたのを追い出す訳にもいかないと思った様で


「では、こちらにどうぞ。」


と、部屋まで案内してくれた。



それにしても、大きな邸だ。



ここは多分貴族の家なんだろうな。



しかし、なんでこんな所まで飛ばされたんだろう?



案内されながら考えるが、分からないままだった。







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