表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慟哭の時  作者: レクフル
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/363

王都へ


目覚めると、既に昼頃だった。



「おはようございます!リディ様!」


「おはよう、ミーシャ。なぜ俺を起こさなかった?」


「ゾラン様が、なるべくリディ様を休ます様にと言われたので。それと、昨日からまたお熱が出ていらっしゃいました。」


気づくと額に濡れたタオルが乗せられてあった。


「大袈裟だな。もう大丈夫だ。」


タオルを取ってミーシャに渡す。


「いつもリディ様はそう仰います!でも、いつも無理をされ過ぎです!」


「そう怒るな、ミーシャ。」


「怒ってる訳じゃないですっ!…心配なんです……」


「そうか。すまないな。ゾランを呼んで貰えるか。」


「分かりました。それから食事とお薬をお持ちしますね!」


ミーシャが出て行った後すぐに、ゾランがやって来た。


「おはようございます。リドディルク様。」


「王都に向かう準備は出来ているか?」


「はい。既に整っています。」


「どの設定で行くつもりだ?」


「グリオルド国の貴族と言う事で。私はその執事です。」


「名前は何と?」


「リドディルク様はディルク様で、ガルディアーノの姓を名乗って下さい。承諾は得ています。」


「ディルク・ガルディアーノ伯爵、と言った所か。」


「私の事は、そのままゾランとお呼び下さい。」


「分かった。」


「…お体は大丈夫ですか?」


「もう大丈夫だ。心配するな。」


「昨日も高熱を出されていました。心配するなと言われても無理です。」


「今日が終わったら、暫くはゆっくりする。それで良いだろう?」


「その言葉をどこまで信じていいのか…」



それからミーシャが持ってきた食事を摂って薬を飲み、入浴してから着替えを済ませた。



「では行こうか、ゾラン。」


「はい。」



空間を歪ませて、王都コブラルの中まで入った。



「そう言えば、アシュリーが怪我をした時、ゾランにアシュリーを託したが、あの場所から後宮までは結構日がかかる。どうやって帰ってきた?」


「そうですよ。置いてきぼりにされましたからね。魔道具を使いました。それで街から街へ即座に移動できたのです。」


「登録してある街同士を繋ぐ、空間移動の魔道具か。よく手に入れられたな。」


「手に入れるのは問題無かったのですが……」


「あぁ、結構高額だからな。それをあの距離分使ったとなると……」


「大損害です。」


「ハハハ、悪かったな!また買ってやるぞ!」


「笑い事では無かったんですからね!」


「ところで、今アシュリーが何処にいるか分かるか?」


「2日程前は王都にいた、と言う情報は得ています。しかし、まだいるのかどうかは不明です。」


「そうか…」



そんな話をしてゾランに案内されながら進むと、馬車が停められてある場所にたどり着いた。

その前に、背が低めで小太りの、一人の男が立っていた。



「はじめまして。私はストリア商会の代表をしております、マルティン・ストリアと申します。」


マルティンは深々とお辞儀をした。


「力を貸して貰えた事に感謝する。俺はリドディルク・アルカデルトだ。今日はよろしく頼む。」


「!ア、アルカデルト、様っ!こ、こちらの方こそ、今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます!」


恐縮した様に、更に深々と頭を下げた。


「しかし、今日はディルク・ガルディアーノ伯爵だ。間違えるなよ?」


「勿論でございます!」



そんなやり取りの挨拶を終え、3人で馬車に乗り込む。



「リドディルク様、少しの間でもお休み下さいね。」


「あぁ、分かった。」




揺られる馬車の中で、目を閉じる。



ゾランの心配している感情と、マルティンの緊張と野心の感情が流れてくる。



石を握りしめたが、今日もまだアシュリーの声は聞こえない……








 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=849298090&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ