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慟哭の時  作者: レクフル
第4章

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失言


情報が洩れない様に、場所を昨日の客室を借りて話し合う事にした。



エリアスの言う事はこうだ。



拐われた人達が、闇のオークションに出品される、と言う情報を掴んだ。それを開催するのが『闇夜の明星』。


そこには多くの貴族や富豪達が集まるが、今回のオークションは今までない位大きく開催されるらしいから、殆どの『闇夜の明星』のメンバーが集まるだろう、と言うことだった。


開催中は客の出入りがあるので、こっそり潜り込める可能性が高い。


そう考えて、その日に潜入して内側から殲滅していく、と言った事だった。


しかし、それを決行するには、見るからに冒険者と分かるような奴ではなく、もし見つかっても客だと思われる様な出で立ちをしている者が好ましかった様で、そこで私が良いのではないか、と考えたらしい。



「まぁ、それだけじゃねぇけどな。アンタみたいに腕の立つ奴が幹部にはいる。それが3人程いるらしい。手強い奴3人を1人で相手にするのは難しいって思ってたところだったんだ。」


「なるほどな。しかし、客の出入りが多いとは言え、貴族や富豪等の類いで、しかも秘密裏に開催するとなれば、誰でも入り込める訳でもないだろう。恐らく招待されている、と言った感じではないだろうか?まずは招待状等が存在するのかの確認と、もし招待状があるならば、それを何処かから入手するか偽造する等して、堂々と入場する。しかし、それだけでは心許ないので、出入り業者等を装い、裏側からも別に潜入できるのが良いな。」


「あ、あぁ。」


「裏側から潜入した者は、囚われている人達を助ける事をメインとする。客を装い入った者は、『闇夜の明星』の幹部を叩く。こう言う事で良いか?」


「すげぇな、アシュレイ……」


「なにがだ?」


「いや、俺、考えるの苦手でよ。そうだな、簡単に潜入は出来ねぇよな。」


「下調べは必要だな。その闇オークションの情報は確かなのか?」


「それは間違いねぇ。この王都にある地下の会場で開催される。」



エリアスとそれから2人で、どうやって潜入するか等を詳しく話し合った。


エリアスも、反対していたことを忘れたかのように話に夢中になっていた。


しかし、途中でやはり気づいた様で



「いや、やっぱりダメだ!俺はアンタに協力して貰うつもりはねぇんだってば!」


「今更ではないか?ではどうするんだ?私がいなくても事は上手く運びそうか?」


「いや、それはっ!」


「このまま闇オークションを見逃すと、拐われた人達を取り戻す事が出来なくなる。それとも、他に何かチャンスはありそうか?」


「………」


「私とエリアスが客を装い幹部を叩き、他の者に裏側に潜入して貰うのが妥当だと思えるが、どうだ?」


「いや、でも、あ、ほら、アンタ俺とやり合った時さ、アイツらに面が割れてしまってるだろ?」


「その者達が幹部かどうかは分からないだろ?それに、それを言い出すとエリアスもじゃないか?」


「ビシッとスーツとか着てよ、髪型を変えれば意外と分からねぇと思うぜ?」


「では私もそうすれば良い。」


「いや、あの場所にいた野郎2人でいくのは、流石に怪しまれるだろ!?」


「では私が女の姿で潜入する!」


「えっ?!」


「え?」


「アッシュ?」


「いや、まぁ、恋人同士って事だと怪しまれにくいが……」


「あ、その、えと、それはやっぱり…」


「いや、やっぱりダメだ!アンタにそんな危険な事はさせられねぇ!」


「では私無しでどうやって助けるのか言ってみろ!」


「アッシュ!落ち着けって!」



レクスに言われて、ハッと気がついた。



「…すまない、エリアス。レクス、ありがとう。」


「アンタの気持ちは分かった。でもなぁ…」


「何がそんなに嫌なんだ?女のどこがいけない?」


「そう言う事じゃないんだ……ったくよぉー。アンタ、強情だなぁ。」


「そうか?でも、今も囚われている人達は、帰りたくて不安な気持ちでいる筈だ。しかもそれは女性と子供達だ。なんなら、私が囮になって捕まって、そこから叩いて行っても良いくらいだ。」


「それはダメだろう!…ったく、アンタには負けたよ!最初に声かけてしまった俺が悪かったよ。」


「アッシュ、大丈夫か?」


「レクス、大丈夫だ。」


ニッコリと笑ってレクスを見る。


「その笑顔も反則だろぉ…。ハァー、もう知らねぇからな!」


「私がどうなろうと、それは自己責任だ。エリアスが気に病む事はない。」


「そんな訳にはいかねぇよ!ったく、とんだお転婆なお嬢様だぜ。なぁ、ボウズ?」


「俺はアッシュを殺そうとしたお前が大嫌いだぞ!」


「エリアス、私を女扱いするなと言っている!」


「でも、潜入するときは女の姿で行くんだろ?」


「えっ……」


「まぁ、それが一番怪しまれねぇけどな。」


「あ、あぁ……」



どうやら私は余計な事を言ってしまったのかも知れない。










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