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慟哭の時  作者: レクフル
第4章

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行方不明者


ギルドを出て、宿屋に帰る。


宿屋の一階にある食堂で、軽く食事をとることにした。


今は昼過ぎ頃で、客は疎らにいる感じだった。


注文を済ませ、食事が運ばれて来るのを待つ。


その間、エリアスの事を考えていた。


エリアスの過去は見えなかった。


恐らくエリアスには、銀髪の血が混ざっているんだろう。


その事をエリアスに確認してみたい。


彼も異脳の力があるんだろうか?


それによる弊害は無かったんだろうか?


あんなに皆に慕われているのなら、触れられない、と言うことも無かったんだろう。


彼はどんな風に生きてきたんだろう?



そんな事を色々と考えていると、注文した食事がやって来た。



「牛鴨のサイコロステーキとエールです。」



持ってきたのはこの食堂のおかみだろう。


しかし、元気がない。


こう言う所のおかみは、元気な人が多いんだけどな。


そう考えながら、左肩を使わない様に食事をとる。


「血が足らないから、肉を食べないとな!」


レクスは私の横に座って、ニコニコしながら言ってくる。


私もそれに答えてニコニコする。


レクスなりに、私が倒れた事を気にしているんだろうな。


もうこんな事は無いようにしなくては。



食事が終わり、会計をしようと、厨房近くにある会計場まで行くと、厨房の中でそこの主人と思われる男とおかみが深刻な顔をしていた。


私がいるのに気づいたおかみが、すみません、と言って出てきた。


おかみは泣いていた様だった。



「どうしましたか?」


「あ、すみません、お見苦しい所を……」


「それは良いが、何かあったんですか?」


「娘が…いなくなって……」


おかみの目から涙が溢れてきた。


聞くと、おかみの15歳の娘エレーヌが、2日程前から行方不明らしい。


もう成人したのだから、そんなに心配する必要はないだろうと主人は言ってるそうだが、何も言わずに帰ってこなくなる事は、今まで無かったようだ。


気が気じゃないおかみは、店の合間に探したり、知り合いに聞いたりしていたのだが、今のところ何の情報も得られていないらしい。


それを聞いて、ふと『闇夜の明星』の事が頭に浮かんだ。


もしかしたら、エレーヌも拐われたのかも知れない。


しかし、何の確証もなしに、そんな事が言える筈もない。


会計を済ませ、涙ぐんでるおかみにエレーヌの特徴等を聞き、見かけたら帰る様に言うと告げると、おかみは有り難そうに頭を下げた。



部屋に入り、光魔法で浄化し、外套と肩当て、胸当て、腰のベルトと手袋を外して、ブーツを脱ぎ、ゆっくりベッドに横になる。



「レクス、一緒に眠ろうか?」



レクスを見て言うと、顔を真っ赤にしたレクスが頷いた。


レクスも私の横に来て、一緒に眠る。


やっぱりベッドで眠るのは体が楽だな。



しかし…



身内を拐われた者達の心労は絶えないんだろうな。


そんな事を想像すると、胸が締め付けられる様な感覚が襲ってくる。



『闇夜の明星』



その組織が関わっているのが本当なら、それは許せないことだな。



撲滅できるのなら、そうした方が良いに決まっている。



エリアスの策を聞いてみようか…



ディルク、貴方ならどうする?



助ける為に、また無理をする?



ディルク、まだ目を覚まさない?



ディルク…



首飾りの石を握りしめながら、私はゆっくりと眠りに落ちていった……








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