空間移動
西に向かう。
ディナと契約した事によって得た新たな力、空間に歪みを作り出し、この場所の空間と、他の場所の空間を繋げる力。
これによって、空間移動が可能になった。
ただ、目的の場所の大体の距離と、具体的なイメージがないと、この能力は使えない。
だから基本的には、行ったことのある場所の移動と言う事になる。
それでも、この力は凄い。
何日も、何ヵ月もかかる道程が、一瞬にして移動出来るようになる。
とんでもない力だ。
早速使ってみることにする。
今いる場所から、目的地とする場所を思い浮かべる。
慣れ親しんだ森がある。
森を抜けていくと、門が見える。
門を通って、薔薇園を暫く歩いていく。
薔薇園には、庭師が薔薇の剪定をしている。
その先の方へと進んだ先にある、俺のお気に入りの場所。
大きなチュペロの木の下にある、ゆったりとしたベンチ。
一階にある部屋のベランダからもその場所に行け、そこで寛ぐのが好きだ。
そう考えていると、目の前の景色が歪んで見え出した。
その歪みに入って行くと、そこは思い描いていた、チュペロの木があった。
周りを確認すると、もう歪みは消えていた。
初めての感覚に、暫く佇んでいる俺の後ろから声が聞こえた。
「リドディルク様!いつの間にお帰りになったんですか?!」
「コルネールか。今帰って来たところだ。」
「皆さん、お探しになられていたんですよ!どちらに行かれていらっしゃったんですか?!」
「俺が出掛けて何日も戻ってこないのはいつもの事だろう?なぜ探す必要がある?」
「やはり、何もご存知ないのですね。」
「何かあったのか?」
それから執事のコルネールに、父親から後継ぎとして指名された事を知らされた。
「俺は後を継ぐつもりはないぞ?」
「何を仰いますか!リドディルク様!こんな光栄なことはありませんぞ!」
「継承順位が低い俺が継ぐ意味が分からん。」
「リドディルク様が優秀でおいでですから!」
「世辞はよせ。コルネール。」
「とんでもない事でございます!」
何とか説得しようとしているコルネールを後に、自分の部屋に帰る。
ソファーに座り、首にある首飾りを触る。
先に淡いピンクの石がついているだけの、簡素な作りの首飾り。
これは昔、リーザが俺に渡した物だ。
俺がすぐにどこかへ行ってしまうので、その首飾りを渡されたのだ。
リーザが亡くなってから俺が持っていたのを、アシュリーに渡した。
本当なら離れたく無かった。
こんなに心惹かれる人に逢えるなんて、思ってもいなかった。
初めて会った時から、彼女の事が忘れられない。
こんなに焦がれる気持ちになったのは、アシュリーが初めてだったんだ。
何とか100話まで書けました!
三日坊主になりがちな私でしたが、こんなにずっと続けて書いていけるのも、読んで下さってる方々がいて下さるからです!
これからも頑張って書いていきますので、応援して頂けると嬉しいです!
よろしくお願い致します<(_ _*)>




