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ゼフィルス、結婚は嫌よ  作者: 多谷昇太
第二章 運命の出会い、義男と惑香
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あなたはやはりストーカー?

この時の義男の表情は一瞬だが実に無念やる方ないといったもので、それは恰も義男がストーカー然として、この時分の惑香の身辺に現実に居たかのごときものであった。しかし万が一そうであったなら、またいまは分からぬが何某かの事情で惑香の前に顔を出せない身であったのなら、彼の惑香へ寄せる情と思い入れから鑑みて、その折の彼の心情はまさに痛切きわまりないものであったろう。そんな義男の風情にこちらも一瞬で鋭く感応した惑香が先の「な、なぜ…」以下を義男にはぐらかされずになおも聞いてみたかったが義男は「それよりその高山先生とのお約束は何時ごろなんですか?時間はまだ大丈夫なんですか?」と話をふった。

「え?ええ…そ、それはまだ大丈夫です。約束は(午後)5時ですから」

「そうですか。(腕時計をちらっと見ながら)じゃまだ充分時間がありますね。よかったあ。じゃ、じゃあまた審問を再開しますよ。いいですね?ははは。高山花枝先生についてですが…」しかしそれを遮るように「審問ですか。こわいなあ。ふふふ。でもちょっと待って。さっきの〝木枯らしが吹くような寒さを感じる〟っていったいなぜ…どこからそんな感じを抱かれたんですか?」

「…うーん、それは…まあ、その、感応力ということにしておいてください。あなたが〝特別な思い入れがある〟と語った時の、その、あなたの表情に、何か険しいものを見ましたもので」これで納得してくれるかな?と聞くような義男の目にしかし「ううん」とばかり微笑みながらでもわずかに頭をふる惑香。その目がなおも義男を問い詰める。義男は苦笑いをしながら「いや、これじゃこっちが尋問されてるな。ははは。いや、ですから、その、あなたの美しさに鑑みてですよ。例えばどこかの金持ちの御曹司にあなたが見染められて、仮に婚約まで行ったとして…」義男の口元に目を見張る惑香『まあ、驚いた!この人は私のあの経緯を知っている!でもなぜ?ひょっとしてこの人は探偵か何か?…い、いや、もうかなり前からのストーカー?』と心中で疑わざるを得ない。

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