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コンペティション第3戦は、第2戦と同じ試技場で行われることとなった。
前回とはうってかわった晴天に、朝から気温が上昇していく。
「暑くなりそうだな」
手庇で空を見上げたリバルトが呟いた。班員たちは、現在の気温と今後の予測を確かめながら、最後の調整に追われている。
「弾数確認! ・・・おっけー!」
ライフル用のマガジンに特製ペイント弾を詰めたエリカが、大きく手で丸を作る。合図を見たテッサが手元の端末にチェックを入れ、機体の足元へと走った。
「装備品の確認、終わったよ」
「わかった。・・・クレーン動かすぞ!」
声を掛けられたアキトは、周囲の整備士たちに注意を促し、クレーンを操作した。ライフルが機体の側まで運ばれ、宙づりのそれに整備士たちが取りついて機体に固定していく。
「システムデータ異常なし」
「機体各部正常稼働中」
プログラムの最終チェックを終えたトバイアスとドナが、接続していた端末を切り離す。
そうして起動前の準備がすべて整い、全員が機体の下に整列した。
緊張した面持ちのイザベルが両手のクローブを何度もはめ直すのを見て、アーセンは軽く肩を叩いた。
「私たちは今日まで出来る限りのことをしてきた。そのすべてがきみの支えになる。気負うことは無い。きみだけの機体を、存分に踊らせてきたまえ」
「・・・はいっ」
きっちりとはめたグローブをぎゅっと握り、イザベルは唇を引き結んだ。
全員の視線の先には、第2開発班の機体がある。
その巨躯は、第2戦の時よりもさらに膨れ上がっていた。
試技場にその機体が搬入された時、第2戦の時よりも大きなざわめきが起きた。
「あれってありなの・・・!?」
悲鳴のような声が、班員たちの間から漏れた。
高さ8m、幅が6mであった機体は、ひとまわり大きく、高さ10m、幅8mほどもあった。
アーセンは班員を観覧席のジャッジの下へ確認に走らせたが、問題は何もない、という回答がされた。
機体の体高、重量、エンジン出力、武装等は、いずれも制限をしない。
確かに、コンペティション開催当初に提示されたレギュレーションの中で、そう明言されている。
しかし、第3戦は第2戦で作成した機体を使った模擬戦である。機体サイズといった基本的な所が変更されるのはルール違反ではないか、とした抗議は却下されてしまう。第1開発班の機体についても第2戦から変更された箇所がある、というのがその理由だった。
反論はジャッジの印象を悪くするだけと判断し、アーセンはそれ以上の抗議はせず、班員たちの動揺を抑えることに努めた。
班員たちは不満を持ちつつも、アーセンの判断に従い準備に入った。そして、手順に滞り無く、全ての作業が終わる。
「さあ、始まりだ。覚悟はいいか。『審判の鐘が鳴る。おのが誇りの行く末を見届けよ』」
蒼天の下、ついに最後の戦いの火蓋は切られる。
(to be continued・・・)




