1
ある日夢の中で自称女神に出会った。
その自称女神は助けてほしいとのことで、寝る直前まで転移系の小説を読んでいた為夢かと思ったのだ。
何をどう助けてほしいのか詳しく聞こうとするが『使者を送るのでその者に聞いて欲しい』とのこと。
ずいぶんいい加減な夢だなと思って黙っていると、交換条件として何でも3つ願いを叶えると言い出す始末。
たいてい夢だとよく分からない中途半端な変な夢なのに随分とはっきりした夢だと思い『何でもいいのか?』と聞くと『何でもいい』と言って来る。
『本当に何でもいいのか?タブーや出来ない事とかないのか?』と聞くと流石に無茶苦茶な事を言って来るのかと警戒したのか『出来る事には限度がある』と言い出す。
まあ『願いを百個に』とか言い出したらきりがないし、言った後の反応を見てみたいなとか思いつつ、無限の願いに近く俺に都合のいい願いは何か無いかと考える。
しばらく考え『3つの願いが連動してるのでどれか一つでも駄目だと全部だめなんだが、もしダメだった場合願いをやり直していいか?』と尋ねる。
『それで構わない』と言うので願いを言う事にする。
一つ、今俺が所持しているスマートフォンを常にベストコンディションにする。
ベストコンディションとは常にどんな状況でもスマートフォンを使えると言う事。
例え穴が開いても即座に修復されネット回線も常につながっており、水の中だろうが火の中だろうが使える状態にすること。
二つ、俺が所持しているスマートフォンを俺と共にある状態にする。
共にあるとは呼べば来るし呼ばなくても有り俺にしか使用できない状態にすること。
三つ、俺が所持しているスマートフォン内に存在しているものを俺の意思で取り出せるようにする。
取り出せるとはスマートフォン画面に表示されているありとあらゆる物を俺の意思で取り出し所持できるようにすること。
例えば画面に表示されているリンゴをその設定通りの大きさ・味・構成・性能・生きている状態で取り出せるようになる事。
平然と無感情の顔で自称女神に願いを言う。
自称女神は『何でもと言ったわりには』と言い少し迷ったみたいだが『大丈夫でしょう』と承諾する。
『ちなみに、取り出した場合リンゴはどうやって精製されるんだ?』と聞くと『スマートフォンが存在する星にある様々な物から、無機物・有機物問わずそれらが構成するにあたって問題ない量をちょっとづつ取り込み精製されます』と理想的な返答をもらう。
『願いは叶えました。ではお願いしますね』と言われ思わず笑う。
自称女神は不思議そうな顔をしながら薄れていき、俺は変な夢だったが叶うと良いなと思いながら目が覚めた。