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戦場のラグナロク  作者: 荒家 守
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世界の価値観

  おれこと下山良哉はミュータントだ。そしてミュータントは基本的に人間より下位の存在であるとされている。その理由は「ミュータントは人類を救うために作られたものだから人類に従うのは当然である」という世界に蔓延る価値観だ。


  おれ達ミュータントは人間に従うようにできている。できているといっても元々の作りの先天的なものという訳ではなく、生まれてから教え込まれた後天的なものだった。しかしどちらであっても人間に従うという点では変わりなく、おれ達を縛る枷の役割を果たすには充分だった。


  しかし先ほど伸也に言われた「学校に来るな」ということについては従わなくても良いことになっている。その理由は学校内からの人間の保護である。いじめなどは外側から見てわからにくいものだから内側から人間を守れ、ということだ。しかしおれはいじめられている人間を見て保護したことなど一度もない。それはいじめがないのではなくいじめられているのがミュータントなのだから当然のことだろう。


  「ほんとなんでだろう、お前を見てるとなんだかイラつくんだよなぁ♪」

 気軽な声と共に伸也は椅子の上に足を乗せて見下ろしていた。

  「………これは仕事だからよ、あんたにどうこう言われる筋合いは無い」

  「しっかりあるよぉ、まぁそれ以前に物如き口開いてるんじゃねぇ♪」

 そういうと同時に伸也が指を鳴らす。いつもの合図だった。椅子から足を退けて一歩退いた伸也と椅子の間から何人かのクラスメイトがおれのワイシャツの胸の部分を掴んで引っ張り上げる。そして殴る、殴る、殴る。体中全身をサンドバッグのように殴られた。殴るだけでは飽き足らず蹴り出した者までいた。


  暴虐の限りにクラス中が好奇と憐れみの視線が入り混じった頃、伸也の気がようやく済んだのか「やめとけ♪」というと鈍い打撃音は鳴り止んだ。満足げに笑っている伸也はこう言った。

  「うーん、邪魔だし汚ねぇよなぁ。廊下に出しといて♪」

「 「オーケー」」

 取り巻き連中がおれを引きずって廊下に投げ出すと、廊下で喋っていた奴らはそれを見て嘲笑いながら全員教室の中に帰っていった。


  廊下には誰もいなくなり教室から嘲笑が聞こえる。それを聴きながら全身に痛みが響く中ゆっくりと体を起こす。

「よく飽きねぇよなぁ……」

 と呟きこのまま教室にいても同じことがまた起こるだろうと思ったおれは教室には帰らずにこのまま帰ることにとにした。幸い今日は水曜日で5時間授業。これからの授業はないから大した減点にはならないだろう。

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