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第7話 裏方

ブックマークいただきました。ありがとうございます。頑張り続けます!

=城壁火災事件当夜=


ナディアたちを城壁の外へ送り出した後、アキは宿に忍び込んだ。

商人ギルドの職員の男に勧められた宿ではなくアキが見つけた宿だった。


もちろん宿代はきちんと払っていたが、一度も使うことがなく部屋は借りた時のままである。

幸運にも1階の部屋であったため外から直接あらかじめ解錠していた窓に忍び込む。ほぼ2徹していたアキの精神は限界であり、ベッドに横になるなり沈むように眠りに就いていた。


推薦してもらった宿にも訪れたアキであったが、警備が厳重だったためあえなく断念。ボロボロの安宿に変更せざるを得なかった。



次の日の朝、ダニに噛まれた体を掻きながらギルノート商会本店にアキは足を運んだ。放火魔は現場に戻るという話があるが、ギルノート商会の次の動きを察知することができればと考えていたのである。


「腕利きを集めろ!口の堅い、遣えるやつだぞ!」


かなり太った男が大声で老人に命令していた。


(こいつだな…)


確信めいたものがアキにはあった。イズモの友達、兎人族のカルメが昨夜涙ながらにアキに謝っていた。


「ごめんなさい。アキ兄ちゃん。わたしイズモちゃんのこと、ろうやのおねえさんにしゃべっちゃった。ごめんなさい。」


ずっと気になっていたのだろう。体全体を震わせながら謝罪を繰り返すカルメ。大丈夫だよ。とアキは優しくカルメに伝えるもイズモの身の危険を感じていた。

そこに目の前の奴らの発言である。




商人ギルドにアキはいた。

ギルノート商会が動く以上、アキも行動を早めなければならないからだ。


「おや、ジェイド君だったかな?こんにちは。」


声を掛けてきたのは先日アキを接客した男だった。


「あっこんにちは。え、え~と?」


「ああ。すまないね。まだ名乗っていなかったかな。商人ギルドのホストラ副支部長 ニックと言います。どうぞよろしく。」


丁寧なあいさつをし、アキに握手を求めるニック。


「副支部長さん!?そんな偉い方が俺なんかを相手に…」


「はは。全然偉くなんかないんだよ。皆忙しくて出払っているから、私が店番をしてるんだよ。それで今日は?」


「はい。こないだ貰ったお金で食糧を買いに来ました。」


「ふむ。どうやら奴隷は買えなかったようだね。」


「はい、とても高くて…」


アキが奴隷を買わなかったと聞くと、表情を緩めるニック。


「奴隷に頼った商法はいつか必ず破滅をもたらすからね。って君にこんなこと言っても仕様がないね。で、何が欲しいんだい?」


先見の明がある人。アキがニックに抱いた感触であった。


「えっと、必要なのは、、、、。」



購入した商品を持って城門に向かうアキ。覚悟していたとはいえ、人を殺してしまったこと、そしてその現場に戻ることで罪悪感に苛まれる。


<…そうそれでいい。それが戦士のあるべき姿…>


詩にも言われていたことであるが、命を守ることは誰かの命を奪うことである。

その覚悟と罪を背負うことができるなら剣を抜け。

それは人の命かもしれないし、動物の命かもしれない。生きるとはそういうことだ。と


平和な日本では生活していた頃は考えもしなかったことであるが、事実アキは狩人としていくつもの命を奪ってきている。

改めて命というものを実感させられた。

燃え尽きた詰め所を見つめアキは誓う。


(この十字架を背負って前に進む。)



城門では通常通りの検査が行われている。どうやらあの火事は事件ではなく、事故として処理されている雰囲気だった。入城券を返却し、アキは西へ向かう。



「にいに!!」


ホストラから徒歩で約1日。朝日が昇り始めてしばらくした頃。

事前に狐人族のコウと決めていた合流地点に到着すると、イズモが真っ先に飛びついてきた。

ここ数日はヒュウガしか側におらず、寂しい想いをさせていたのはアキも理解しており出来る限り甘えさせてあげようとイズモを抱え上げる。


「ただいま。母さんは?」


「えっとね。あっち!でも…ママ…ちょっとおかしいの。」


イズモが指を指して方向を教えてくれる。ナディアのことを話す際に沈んだ気配を漂わせたイズモにアキの不安が的中する。



アキによって解放された集団は、城壁から少し離れた場所で待機していたラウ村の男衆に保護されていた。事前の取り決めでアキが犬笛を吹いて脱出する方角を指示しており、夜になるまでひたすら息を潜めて待っていたのだ。


報告を聞くと1人の騎士が追撃してくるというトラブルにも見舞われたが、バサラが迎撃しようとするもいくつか言葉を交わしただけで何もしてこなかった。

既にコウらが手配をし、故郷へ帰りたがっていた幾人かの違法奴隷はアキが商会から盗みだした金を分け送り出したが、それでもほとんどが村狩りによって身内がいなかったり、孤児であったため村人たちが保護することに決めたのだという。


「母さん…。」


皆から少し離れた位置でナディアが膝を抱えて座っていた。ヒュウガがずっとナディアの手をなめて元気づけようとしている。


「アキ、ごめんにゃさい。わたしがもっと強かったら、リリさんは…。」


ナディアがそこまで言い及んだところでアキがナディアの手を取る。


「母さん、ばあちゃんは、最期幸せだったって言っていたんだ。」


リリの最期の様子を伝えるアキ。ナディアはただそれに耳を傾けている。


「ばあちゃんから、手紙を預かっているんだ。」


リリの遺言を読み始める。


ナディアが次第に体を震わせ始めた。必死で泣くことを耐えているのであろう。


「、、、、だから精一杯生きてください。またね。母より。……母さん、ばあちゃんは許してくれるよ。いつもみたいに。だからまた家族で楽しく暮らそう?じゃないと、またばあちゃんに怒られるよ。」


ふぐっ、ふえっ、、おっ、おがあざ~~ん。


声を張り上げ泣き出すナディア。左右からはアキとイズモ、ヒュウガがそっと抱きしめていた。

村人たちもしばらく彼らに話かけることはしなかった。



アキが合流したことで次の行動に出る一行。2班に分かれる。

このまま村に戻り、移転の準備をする班。

そしてギルノート商会を迎え撃つ班。


ナディアは村に帰る必要があった。まだ自宅の整理が終わっていなかったからだ。


「じゃあアキ。また後でね。あっ、お弁当持った?」


少し調子を取り戻してきたナディア。皆もその様子に安心する。


「持ったよ。じゃあ母さん、イズモ、ヒュウガ。また後で。」


家族を見送り移動を始める。ホストラとラウ村を結ぶ直線上で、休憩に適した場所は多くない。

ある程度の予想はしていた。



太陽が頂点に差し掛かる頃、馬車とそれを囲うように何人かの騎馬がこちらに向かっていると見張りから連絡が来る。


顔を確認できるまで襲撃はできない。相手に見つからないように一定の距離を保ちながら追跡する。

やがて馬車が止まり、中からホストラで見掛けた男が降りてくる。


(あいつだ…。)


攻撃の合図はアキの一矢からであった。最初の矢を放つとアキは馬車に一気に接近する。かなり太った男は殺さぬよう皆には予めお願いしていた。


アキは気配を殺し、男の背後に立つ。護衛と思われる傭兵はすでに骸になっていた。


「振り向くな!お前はギルノート商会会長だな?」


聞かねばならないことが山ほどあった。


序盤の話を読み直してみました。自分で書いておいてなんですが、かなりくどい文だったとおもいます。大部分を削除しました。加筆はしてません。何か気になる点がありましたら、是非お教えください。

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